牽牛星のよろず日記

自分の興味あることを思うがまま記述したいと思います。

もう一度あの場所へ(21/22ペップシティ展望)

 

8/13から始まるプレミアリーグを前にペップシティの展望を話すとしよう。

 

①最終生産者問題

 

白い恋人ケイン

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目下、シティ最重要議題が『ケインは本当に来るのか』、個人的には獲得可能で市場閉幕前に駆け込み的に獲得されると期待している。というのもケインの売り時としては今がベストで、コロナ禍で収益も下がる今、高額売却を見逃すと思えない。

 

ペップシティにとって最終生産者は永遠の課題でシティズンのアイドル、アグエロは耐久性とUT性に課題を抱え、重要な試合でスタメンを外れる事は少なくなかった。ペップ到来以降、オーバメヤン、サンチェスの獲得に動いた事は証左だ。

 

アグエロ最後のリーガ戦、試合後ペップはインタビューで涙を流しながらアグエロについて『代えの利かない選手』と語っていた。アグエロの実父は『あの涙はTV用だ』と批判を加えた。おそらく涙に嘘はない。ペップは人間としてのアグエロは好きだった、しかし9番としては評価していなかった

 

そして、最終生産者としてスパーズのケインがメインターゲットとなった。

 

ケインはUT性を持つタイプではなく総合力で勝負する9番だ。ベストではないがベターな選択肢になりうる。このベストではない、というのは年齢面とUT性に問題があり、無理してケインなら一年我慢してムバッペorハーランドで良くない?を生む。

 

おそらくムバッペはマドリーに向かう。ハーランドはバイエルンでハランドフスキーになるだろう。ライオラが代理人の後者は高値を狙うだろうがバイエルン移籍が濃厚と思われ、シティはダシに使われるだけだろう。

 

ケインは偽9番的に10番に降りてスペースを作ったり、クロスにも合わせられて、プレミアでの長い経験からもシティにとって最終生産性をもたらしてくれるだろう。推しは推せるときに推せ、クラックは獲れる時に獲れ。今がその時だ。

 

何故メッシを獲らないのか?

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『うそ、人文系の単位足りてないって事は卒業出来ないんじゃ、、、』的な大学生が卒業要件見落としてました的退団という、ある意味、歴史的な退団を迎えたバルサの象徴メッシ。

 

ペップはメッシの獲得には動かない事を退団早々に明言した。金銭的な問題ではない。守備をしない最終生産者を抱える事はバルサ退団以降の路線の変更を意味し、クライフ描像である即時奪還戦略の放棄に等しく、受け入れられないのだろう。

 

ペップはバルサ退団時に『お互いが傷つけ合ってしまう』と言っていたが、それは守備をしない生産者を粛清した初年度のロニー切りをメッシには出来ない、という意味なのではないだろうか。

 

そしてメッシが加入したPSGに関して夢の3トップに沸く人々を傍目に自分は懐疑的な感慨を抱いている。おそらくパリが描くのはエンリケバルサの再現MSN2.0だ。

 

(バイタル覇者)メッシ⇒メッシ

(外攻め)ネイマールネイマール

(裏攻め)スアレス⇒ムバッペ

(戦う10番)ラキティッチ⇒ディマリア

(創造性推進力)イニエスタヴェラッティ

 

ヘソ前はエンリケバルサの再現が可能。しかしバルサではメッシが守備を放棄し、その分ネイマールが走っていた。守る時はネイが下がっての440ブロックが基本だった。そもそもMSNが攻め倒すので守る時間は短く、この守備人数の少なさは問題にならなかった。

 

ネイは何故バルサを退団したか、それは自身が中心となるチームを望んだからと言われるが、一番は耐久力の低下を考えて、守備負担の少ないチームへ移籍したかったからではないかと思われる。

 

ネイは被ファール数がとても多い選手で、その『蓄積』とバルサでの守備負担は確実にキャリア延命における重要課題となりうる、故にイブラが抜け、守備放棄が許されそうなパリ移籍を望んだのではないだろうか?

 

そして、再びメッシがやってきた。メッシの守備負担を背負い走る日々が始まる。ムバッペも走るだろうが、彼もまた爆速9番としてケガは増え始める時期だ。守備バランスと耐久性から来る共存が可能なのか疑問が残る。

 

肉体的にメッシ守備分の負担に耐えられるのか、精神的にまたもやエースの従者という地位を受け入れられるのかがネイの課題となる。

 

ポチェと近しい思想を有していたサンパオリとメッシが揉めたのも気になるところだ。基本的にビエルサ由来のカウンタープレスを主軸とする監督が貴族守備をどこまで許容するのか、正直心配である。

 

②グリ獲得問題

 

グリーリッシュ獲得の是非

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一億ポンドの移籍金でやってきた英国人は、シティズンからの期待と不安、そして何と呼ぶべきか論争という様々な混沌渦巻く中で背番号10を背負いシティの戦士として自身の憧れデブライネと共にプレーする日が近づいている。

 

グリの特徴としては被ファール数が多い事を見ても持って運べるのは勿論だがパスでボールを運ぶ能力もあり、奪還にも意欲を示す万能戦士だ。初年度はシティの最適配置理論の理解に苦しむかもしれないが、ヘソ前全てを『横断』する能力があり理想的な補強と言える。

 

 左サイドを起点に『横断』させるのもアリだが、おそらくIHを起点に組立仕事や低い位置からの貢献も求められるはずだ。デブライネをプロテクトする役割も期待されるが、シルバロールによるスターリングの補助も期待出来『左のスターリング』をチームに搭載出来る可能性がある。

 

HG国産コア選手

●デブライネのプロテクト

●シルバロールでのスターリング再生

●『横断』可能な前線コアUT

●ベルナルド放出時の保険

 

 確かに1億ポンドに釣り合うか疑問を持つ人間も少なくないだろう。しかしシティにとって大きな貢献を果たす可能性のある選手であり、安くはないが、値札を気にせず温かい応援に包まれることを願いたい。

 

国産化帰属意識

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アブダビ時代に入った2008年から、巨額を投資し、スカッドを強靭化しユースチームにも力を入れ、ペップ招聘に向けソリアーノとベギリスタインをフロントに引き入れ、マンチーニ監督時代に成功体験を掴みプレミア優勝、ペジェグリーニ監督時代にポゼッション導入と大耳4強、着実にメガクラブへの階段を登ってきた。

 

そして16/17シーズンにグアルディオラが降り立った。気が抜け、戦術的なデザインが抽象的なチームに確固たるスタイルが建築され、リーガ優勝は義務、大耳優勝が成功ラインというメガクラブの要請を受けるようになり、ペップ時代に3度のリーグ優勝を果たし、シティは尊敬と注目を集めるクラブへと十数年で変貌した。

 

シティはペップ時代を迎え成熟期に入った。しかしポストペップ時代も考えねばならない。一時期強いクラブではなく、サスティナブルにコンテンダーであり続けるクラブを目指している。

 

ペップを『クライフ』とする最先端戦術の具現体としてのブランドイメージの創出に加えて帰属意識を強める必要がある。国産選手や生え抜き選手は人気が出やすく出場機会が著しく減ったり構想から外れたりといった事でもない限りコンテンダーのクラブが望めば残留してくれ計画を立てやすくなる。

 

ペップも、『英国出身の選手を軸にしたい』と語っている。

 

19/20シーズン前、独力突破要員サネが退団した。ペップは残留させたかったはずだ。年齢的にも20代中盤でこれからの選手、しかしドイツ人にとってバイエルンは特別なのだろう、サネはバイエルンでロベリの後継者として赤い巨人の翼となった。

 

サネ退団はシティにとって小さくない被害を生んだ。大耳決勝でハーフとバイタルを封鎖され、外攻めで単騎突破出来ず詰み、そして負けた。サネがいればと嘆いたファンは少なくなかったはずだ。

 

そのために、シティは帰属意識の高い国産主軸選手を基軸とし、英国を代表するクラブへの道、という新たなチャプターを選択したのではないだろうか?ストーンズとの長期契約締結もその一歩だろう。

 

ウォーカー、ストーンズ、グリーリッシュ、スターリング、フォーデン、ケイン

 

彼ら6人の英国人がスタメンを担うチームを思い描いているのかもしれない。そのためのグリーリッシュ獲得。グリは選手としてではなく、英国のバイエルンのような文化形成という重要な計画のピースなのかもしれない。

 

ジーニョは契約を延長したが、退団は来季にもやってくるかもしれない。リーズの4番であるフィリップスあたりを狙うのも面白いかもしれない。

 

③退団希望者問題

 

ラポルテの場合

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2年前の絶対的スタメンも放出候補になるのだからシティは恐ろしいチームだ。ルベン到来で433でのハイプレスではなく442でブロックで退いて守れるようになり、たった一人でチームを変えた。

 

ストーンズも復活を見せ3番手に降格となったラポルテだがストーンズが回復力に問題を抱える為、インターバルを設ける必要があり、その『谷間の先発』としてラポルテは極めて有用な選択肢になる。

 

本人は絶対的な先発を望むだろうし、年齢的にもまだまだやれるはずだ。ただ値札は安くは出来ず、今季は残留orレンタル移籍でアフターコロナマーケットでの放出になるのではないだろうか?

 

シティとしてはアケの第3CB可能性を観察しながら、パウトーレス等を狙う可能性もある。昨季のリバプールのようなCB全壊による不振もシティでも十分起こり得る。CB部門の運用は今季も重要な問題となるだろう。

 

 

ベルナルドの場合

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グリの獲得で、放出候補にあがるベルナルドだが、数年前のミルナー放出に近しいものを感じてならない。複数ポジションをこなせて球際にも強くサポーターからの評価も決して低くはない、しかし誰の目にも明らかなものを持っているわけではない

 

コアUTとして複数ポジションに顔を出し戦ってくれる。しかし最終生産性があるわけでもなく独力突破が出来るわけではない。組織と指揮官によっては評価が大きく変わってしまう選手なのかもしれない。だからこそ高い値札を期待できない

 

本人は移籍願望がある模様でアーセナルアトレティコが候補にあがるが、今季移籍は現実的ではないだろう。金銭面での折り合いが付くか微妙で、1年レンタル移籍で、来季以降に金銭取引するスキームを提案するので精一杯ではないだろうか。

 

ジェズスの場合

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『我々はストライカーなしでシーズンに挑むかもしれない』というペップの発言がジェズスという9番に対する率直な評価が表現されていると言える。ポジション取りや献身的な動きは買うが、点が取れない、とにかく得点が取れない。9番でもゴールが遠ざかるだけで、バックアッパーの域を出ない。

 

残酷な表現になるが、得点能力の低い選手を9番起用する事は最終生産過程においては数的不利で戦う事になる。サッカーという競技は最終生産過程による得点と失点以外には一切勝敗には関与しない。 これがペップバルサ模倣の0トップチームが苦しみ続けた理由である。

 

IHへの『横断』が厳しく、飛び出しての得点はギュンが出来る事を考えても、残念ながら放出要員となる。シティとしても値札には期待せず売りオペが実行されるはず。レンタル放出で様子を見る可能性もあるがケインが獲得されればベンチ入りさえ困難で移籍先を探す方が本人にとっても良いだろう。

 

 

シティには何か出来る選手しかいない、苦しんでいる選手がいるとすれば、それは相対的な問題や肉体的な状態の悪さに起因するものであり、その何かを受け入れてくれるクラブはコンテンダーにも存在するはずだ。

 

ラポルテのフィード力、ベルナルドのコアUT性、ジェズスのポジショニング、これらを必要とするクラブで、彼らが幸福を得られる事を祈るばかりである。

 

④今季のイシュー

 

スターリング再生計画

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スターリングはサネと違い独力突破に優れたキャラクターではない、有機的に味方とボールを運びながら崩すのが得意なタイプで、3年かけてペップによって『横断する』能力も身に着けた。

 

スターリングは右翼から左翼に移ると選択肢が減る。シルバやSBが補助に入り、選択肢を他者との有機性で提示して崩しにかかる特徴がある。

 

ダビドシルバが退団した事でシティは自己完結性の高い選手が輝く事になった。単独で複数の選択肢を提示できる選手が生き残り、マフレズは右ウイングで絶対的な存在として君臨した。この事で右翼を奪われ、左翼でスターリングは苦しみ続け、そこにコアUTかつユース上がりのフォーデンが出現したことで、シティでは完全に沈黙した。

 

ペップはスターリング復活のために、IHで使いUT性を活かそうとしたが、思うようにいかず、数年で身に着けた『横断』にも苦しむ様子を見せていた。

 

ペップシティはシルバ退団以降、『横断性』の集団に変容している。常に9番は不在で全員がIHであり、全員がWGであり、全員が9番、というヘソ前は完全にコアUTポジショナルの具現体と化している。そのスキームの中でスターリングは後半に入って左翼に苦しみ、大きくパフォーマンスを落した。

 

出来ない事をやらされすぎて、出来る事も出来なくなってしまったスターリングはオフの放出候補ともささやかれ始めた。しかしオフのEUROでは躍動した。

 

イングランド代表ではスターリングは左翼に位置しても、そこからの突破よりも、むしろ中に入り最終生産過程を建築する偽翼として使われていて、マドリー時代のCR7のような立ち回りとなった。シティでの共産主義ペンタゴンローテーションシステムにおいて苦しんでいたスターリングは偽翼の左翼として輝きを取り戻した

 

ベスト8まで無失点という堅牢を後方に構え、LSBショーが左方をカバーし選択肢を提示し、フィリップス、マウント、フォーデンが黒子として支え、序盤は調子が上がらなかったケインも献身的に奮闘し、スターリングは躍動した。

 

ただシティでの再現は厳しい。得意の右翼には絶対的なスタメンとなったマフレズがいて、左翼しかない。ペップも国産のスターリングを1年の不振で見切るとは思えず、右翼でのプレーを交えながら左翼での復活を促すはずだ。LSBでのメンディの復活も重要なファクターになり得る。メンディの上がり、グリのシルバロールでの下支え、ケインの配置も寄与するはずだ。

 

シーズン前のCSでのメンディ稼働実験、中盤での黒子にもなれるUTグリの獲得、代表でスターリングと組んだ経験の多いケインの獲得、これら全てがスターリングの復活に向けたもの、と見る事も出来る。

 

21/22シーズンのシティにとって国産翼の再建は重要課題となるだろう。

 

新たな地平へ

 

(1) ペップの愛した多角形

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ペップはバルサ時代からずっと多角形をピッチ上に描くように選手を配置しているように思え、それはバイエルン時代に様々なアナリストや識者から研究題材としてペップがピッチ上に描く多角形として注目を集めてきた。

 

まずボールを支配するために三角形をピッチ上に多く作るようにポジショニングし、4番がボールを持った時には周囲に6人の選手が位置するような六角形(ヘキサゴン)が出現する。そして上から見ると2つの五角形(ペンタゴン)が見て取る事が出来る。

 

 バルサではブスケツかチャビが下りて疑似3バックを形成し、ボランチではブスケツorチャビとイニエスタ2枚が位置しペンタゴンを形成、前線では両翼SBと10番メッシがMFラインを形成し、ペドロとビジャがFWラインを形成してペンタゴンを形成。

 

このようにDFライン、ボランチライン、MFライン、FWラインの4ラインが3232となって2つのペンタゴンが出現する。

 

バルサでは両翼がSBのため外攻めが出来ず、スピードを求めたペップはバイエルンへ向かい、ダブルペンタゴンシステムを改造する。

 

CBが大きく開き4番が下りてDFライン形成、そしてボランチラインにはSB2枚が内側に入る偽SBが採用、そして純正WG2枚とIH一枚でMFラインを形成、前線はレバミュラが2TOPを作り、ダブルペンタゴンが形成される。

 

幅取りWG外攻めを取り入れ、SBの上下動を封印しカウンター対策とWGへの経路確保を徹底、レバミュラへのクロス爆撃でドイツを支配した。

 

ペンタゴン構造はナーゲルスマンが532を用いて4番を殺しサイド迂回からの回収即時攻撃というスキームで再現していた、ペップもサイドラインは最大のDFである、と語っており、汎用性のあるモデルとして注目を集めた。

 

また、このダブルペンタゴンはボールの位置を軸先としてボールが右に流れれば全員が右に流れる。そうやって図形が崩れないように配置する。これにより最小限の移動のみで最適配置を取れ、走行距離を減らして支配を高める事に成功した。

 

スプリント数とパス成功数の反比例則の破れ、そして軸向きに合わせた全員の旋回に伴う歪んだ多角形というカオスの発生、これこそペップが望む秩序だった無秩序の形成による試合の支配構造の確立である。

 

しかしCBにケガ人が増えたバイエルンではBBCやMSNやデブライネといった質的優位にDFラインが耐えられず、シティ1年目でもムバッペにボトムペンタゴン(DFボランチラインで形成される五角形)を破壊され屈辱の大耳16強で散った。

 

そこでSBにメンディ、ウォーカーといった肉体派を獲得し、ウォーカーをDFラインの一角とし、LSBはメンディーのケガでジンチェンコやデルフを偽SBとしてボランチ横に位置させる事で新しいボトムペンタゴンを作った。

 

更にバイエルン時代から取り組んでいたペンタゴン内部での『横断』、そうコアUT選手による旋回とポジション交換もシティでは推進した。トップペンタゴン(FW、MFラインで形成される五角形)では本職の位置以外でも機能を発揮するポリバレント性のあるタレントが並び、欧州制覇に最も近づいた昨季は0トップの本格導入で流動的な『横断』に伴う幻惑攻撃が可能となった。

 

またカンセロロールという偽SBを超越したUTを使い、シティ対策で硬直化していた局面の打開に使うなど、『横断』も新たな領域を見せ始めていた。

 

そして今季、ケインの加入(仮)、スターリング再生によってペンタゴンがどう変化するのか注目である。リキッドな部分とソリッドな部分が混ざった新たなペンタゴンが生まれるのでは、と期待している。

 

早速CSではメンディを偽SB化しボトムペンタゴンは23と変更されていて、ボランチラインとMFラインでは32というミドルペンタゴンが形成されていた。新シーズンどう仕上げるか注目したい。 

 

(2) 偽中盤

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2番最強説、これは現代野球で盛んに使われる。送るという2番打者の古典的描像に対し強打者を2番に置くというものだ。しかし、実態としては中距離打者を1番に置けば2番はバントで送る必要もないので2番性を捨てて3番打者を2番に置き、それに応じるようにクリーンナップ345番を234番に設置するという思想である。だからこそクリーンナップという言葉より最近はコア、という言葉が良く使われる。

 

ペップバルサの到来はサッカー界の景色を変えた。それは質に依存する攻撃面よりも守備者が備えるべき素養を喚起し、GKとDFの足元の技術は大幅に向上し、中盤性をDFが身に着けるようになり、11人が攻守においてアクティブ化するようになった。

 

中盤の潰し屋的な6番は足元の技術要求によって厳しくなり、司令塔の役割をDFとGKが担いレジスタは死んだ、とまで言われた。

 

ペップバイエルン2年目の大耳ポルト戦、1stlegで2点のビハインドを背負ったチームは恐ろしい狂気を見せる。424による前輪駆動サッカーである。そこに中盤はなく、後方からの組立は最小限に前線に次々に配球され、ボランチ1枚を残して前線5枚が総攻撃を仕掛ける戦術で見事に逆転での大耳8強進出を決めた。

 

この一種の中盤過疎化ビエルサ率いるリーズもリーガでシティ相手に披露していた。ヘソ前の5枚がレーンに入って高めに位置し4番は広大なエリアを走りながらのビルドアップを実施していた。

 

1番が2塁に到達する長打を打てるなら2番が送る必要がなくなり強打者を置くようになったのと同様にDFとGKが繋げるなら中盤はいらない、それならレーン埋めして攻め倒す『強打者』を並べよう、とも見れる。

 

リーガでのチェルシー戦でIHにはスターリングとトーレスが使われ、中盤にはロドリ一人がたたずみ、4105という狂気が展開されていた。前線5枚はコアUTなためレーンを『横断』し続け、バイエルン時代の4204の進化系を披露していた。

 

試合には負けたものの、この中盤過疎化、事実上の偽中盤システムを更に磨き上げたものも今季見られるかもしれない。

 

ちなみにリーズで過疎中盤の4番として使われていたのがフィリップスで、ジーニョの後釜に欲しいと本記事に書いたのも、実はペンタゴンシステムの4番はロドリ、過疎中盤ではフィリップス、といった使い分けで面白くなるのでは、と感じたからだ。来季の獲得に期待したい。

 

 

⑤最後に

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昨季、最後の試合、大耳決勝での敗北は多くのシティズンの心に大きな悲しみが去来したことだろう。しかし、新しいシーズンが始まる。忘れられない悔しさを抱え新たな闘いが始まる。名実ともに過酷で厳しい最高峰のイングランドプレミアリーグが始まろうとしている。

 

将棋棋士である羽生善治は天才、とよく言われる。個人的に彼の一番すごいところは『好機を生み出す能力』だと思う。将棋の7大タイトル独占も、前年に谷川浩司に敗れ6冠に終わった時、誰もが7冠独占は遠ざかったと思ったが、翌年、羽生は6冠全てを防衛し、もう一度谷川の前に挑戦者として現れ、7冠を達成した。永世7冠の時も永世竜王位のみとなって迎えた竜王戦で3連勝からの4連敗を喫するものの2017年に再び決勝に這い上がり、渡辺竜王を破って史上初の永世7冠を達成した。

 

一生に一度あるかどうか、そんな好機を逸してもなお、もう一度生み出して見せるところに羽生善治の凄さがあると思うのだ。

 

そしてサッカー界の天才ペップ・グアルディオラも、もう一度大耳決勝に返り咲けると信じている。去年の悔しさを是非晴らして欲しい。

 

マンチェスターシティのファンがファンである事に誇りを持てる仕事を』マンチェスターに降り立ったペップは、そんな言葉を口にしペップシティは始動した。シティが魅せるフットボール、内容を巡る議論の数々、ここまで多くの人々の頭と心を痛めるサッカークラブがあるだろうか。

 

ローマの地で大耳を掲げたペップバルサバルサを去って今季で10年目のクライフ(キリスト)の一番弟子ペップ(聖ペテロ)の冒険の到達点が聖ペテロの街、サンクトペテルブルクなら面白いと思う。今季の大耳決勝はサンクトペテルブルク・スタジアムである。是非、もう一度、あの場所へ、返り咲いてほしい。そして出来たらいつも通りの布陣で戦って欲しい笑。

 

 

今季、狙うタイトルはただ一つ、大耳のみ。

 

 

C'mon CITY!!!!!!