第1章 『平均』と『最大』
1-1 異なる模型
『強さ』とは何かという問いに対し、自分は『平均』と『最大』という2種類の異なる強さが存在するのではないかと考える。
リーグという長期戦、CLのような短期戦、この2つの系は効くものが異なり、ゆえに異なったモデルでの論考が必要と考えた。
リーグは『平均値』が重要だ。各試合でのパフォーマンスのムラの無さと換言しても良い。いかに怪我人の影響を最小限にして支配構造を作るかが重要になる。
CLは『最大値』が重要だ。絶対的攻め筋と換言しても良いだろう。大耳のような厳しい試合は、目の前の試合で出せる最大瞬間風速がモノを言う。分かっていても止められない絶対的な切り札が重要になる。
前者を構成する能力に秀でた監督が名将と呼ばれやすく、後者を構成する能力に秀でた監督はイマイチ評価されない。ジダンやエンリケも素晴らしい指揮官なのだが、どうしても人的資本に恵まれただけと見られる。
ビッグクラブの監督は『平均値』と『最大値』の両方をどうあげるかという問いに対する回答を提出することになる。異なる2つの指数を高く両立させる事こそ覇権チームの作り方と言える。
次節でいくつかの例を眺める。
1-2 2モデル理論による各例
①ペップバルサ(共存)
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8×8は?と聞かれると日本人なら誰もが瞬時にに64と答える。誰も8を8個足して64という結果を得るのではなくハッパロクジュウシと暗記している。バルサカンテラは九九の如く脊髄反射で典型局面における最適配置の『正解』を暗記している。
ペップは、この強みを活かしカンテラ色の濃い布陣を作り上げた。クライフ描像の完全順守を目指し、保持率7割試合が常態化した。
最適配置理論に基づきボールを握り奪われたら即時奪還する循環で試合を支配した。これがペップバルサの平均値の上げ方。リーグは4年で3度制覇。最大値はメッシにバイタルで前を向かせる事。組立+保持が終わると、目指す先はバイタルだった。
メッシにバイタルで前を向かせるために、外はペドロ、ビジャの飛び出しで相手CBを裏狙いで牽制しピン止め、中盤では狭いバイタルへ安定的に配球出来るチャビ、イニ、ブスケが重用。困ったらバイタルにいるメッシへボールを運びメッシがドリブルと個人能力で得点を奪う。これが最大値だ。バイタルでメッシに前を向かせれば為すすべなくネットが揺らされる理不尽な光景が何度も展開された。
カンテラーノの最適配置理解力の高さを前提とした保持と奪還の循環構造によって試合の支配構造を高め、バイタルでメッシを解放する。それがペップバルサ。
しかしメッシをバイタルでフリーにするための『幅』を取るWGに苦しみ、メッシも守備を放棄し始め攻守の循環による高い平均値が陰りを見せ始め、メッシを活かすシステムとクライフイズムとの両立が厳しく、ペップはバルサ指揮官を辞す。
攻守循環による高い平均値、一発勝負において絶対武器になるバイタルメッシフリーという最大値、この両立に成功し、ペップバルサは、あらゆるタイトルを獲得し歴史的チームとなった。
②MSNバルサ(最大優位)
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メッシが守備を放棄し2局面循環モデルが崩壊し平均値が低下。監督エンリケは最大値全振りを考えた。それがかの有名なMSNトリデンテ。
メッシをバイタルで解放するためにサイド突破のネイマール、裏突きのスアレスを用いた。1年目に最大値優先スキームが大成功し3冠達成。最大値を高める事で平均値がモノを言うリーグも制覇。
バルサにおける原典クライフ描像の完全順守による平均値の確保、それに反する個人能力に優れたMSNを全面に活かすスキームでも3冠を達成した事実は、その後のバルサに暗い影響を及ぼす。
『禁忌』を犯しても成功してしまったことで、バルサが持つ最大の財産である、脊髄反射で仕込まれた最適配置理論マスターのカンテラーノの冷遇に繋がった。スアレスの守備意識の減退、『納税する貴族』ネイマールの離脱により、バルサは緩やかに破滅に向けて歩みだす。
MSNは3年で一度しか大耳は獲れなかった。2年目は代表試合でユニットメンバーが疲弊しており、3年目はパリとの有名な逆転劇をもたらすもベスト8でユベントスに0-3であっさりと敗走した。
守備をしないアタッカーを抱えての最大値優位型は、どうしても守備の安定性が揺らぎリーグでは苦しむ傾向にあり、両立するにはタレントに『走って』貰う必要があり、守備放棄のリスク管理が難点と言える。
③BBCレアル(最大優位)
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第2次銀河系が発足しベルナベウで大耳を掲げたスペシャルワンを招聘し実利的マドリディズモを導入、カルロはモウの『遺産』を土台に英国からやってきた新たな銀河系ベイルを迎えアロンソとマリアをバランサーとし銀河系は再び欧州の頂点に君臨。
CR7の辞書に守備と言う文字はない。GKへのバックパスを狙う程度で守備をせず、11番の位置から中に入る偽11番だ。
ロナウドを活かす為、9番位置から積極的に動くベンゼマ、ロナウドの空けたサイドレーンを埋めるマルセロ、SBが開けた位置に降りるクロースといったスキームでBBCという攻撃ユニットの生産能力の最大化を狙い、見事にデシマを成し遂げた。
その後、アロンソとマリアは退団するも、ベニテスの残したカゼミロという安全装置を用いて銀河系の象徴ジダンはマドリーを栄光の大耳3連覇に導く。
MSNバルサ同様の最大値優先スキームであり、5年で4度の大耳制覇とは対照的にリーガは5年で1度のみ、平均値は高いとは言えなかった。一発勝負における強さは天下一品だが、試合ごとにムラがあり、最大値を見るとリーガでの戦績は寂しいものだった。
④アレグリユーベ(平均優位)
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就任5年でリーグ5連覇。一強リーガ獲得は誰でも出来ると言われそうだが、選手の入れ替えも激しく、毎年仕切り直しによる序盤の躓きに苦しみながらも、最適解を見つけて調整する手腕は見事であり、当代屈指の指揮官であるアレグリ率いるユーベ。
しかし大耳ではアレグリユーベは5年間で準優勝2回、16強1回、8強1回と優勝からは遠ざかっており、2度の準優勝時の優勝チームがBBCマドリーとMSNバルサである事は分かっていても抑えられない絶対的な攻撃手段を持つことが重要になる証左に思える。
ただペップシティとは異なるのが守り切れる布陣があることだ。だからこそ攻めきれなくても逃げ切りが出来る。アレグリは大耳で奇襲プレスで先制して後ろは鉄壁のBBCを軸とした5バックで逃げ切りを図る事が多い。
盾はあるが矛がイマイチ、だからいいとこまで行くけど負けてしまう、という事はユーベもアレグリも重々理解しており、だからこそ、ずっとアタッカーを獲得しては矛を作る作業に時間を費やしてきた。
マンジュキッチ、イグアイン、ディバラ、ロナウド、しかし彼らを用いた攻め筋が覇権レベルに昇華する事はなかった。盾で掴んだ2度の準優勝の先を目指し、休養を経てアレグリは再びチームの強化に時間を費やしている。
⑤シメオネアトレティコ(平均優位)
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11/12シーズン途中から就任し、今や世界最高年俸の指揮官、闘将シメオネ率いるアトレティコ。
マドリー、バルサの2強のいるリーガで2度のリーガ優勝、そして2度の大耳準優勝を誇るが、アレグリユーベ同様に442で守り抜く盾は見事だが、矛の強度は覇権チームには及ばず、守備力があるので耐える事は出来るが絶対武器は苦しくジダンマドリーに退却守備を取られると打つ手がなくなった。
4年連続BBCマドリーの前に敗退し、17/18はGLで敗退、18/19はロナウドのハットに沈み、4季連続でベスト8より向こう側へ行けずにいる。
問題点はユーベと同じ、絶対的攻撃手筋の欠落だ。ファルカオの退団後にコスタ、マンジュキッチ、グリーズマン、マルティネス、スアレスと次々に理想の生産者を求め続けては絶対的な攻撃力への挑戦マインドを見せ、532という新機軸にも挑戦している。
盾を武器とする平均値優位モデルは大耳の一発勝負でも勝ち上がる事は出来る。ただやはり最大値は高くはないため苦しむ傾向にあると言える。セットプレーと鉄壁の442を軸とするカウンタースタイルであっても絶対的な攻撃手段の構築の出来が大耳では重要となるのだろう。
⑥ペップバイエルン(共存)
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平均と最大の両立に苦しみカタルーニャを後にしたペップが次に向かったのは赤い巨人バイエルン。バルサにはないロベリという屈強なWGを活かすスキームを選択する。
縦に強いWGを活かすため、偽SBを用いて経路の確保、そしてカウンターが強烈なブンデスリーガに対応した。
SBをボランチ脇に移動させるビルドアップ、数十本のパスで相手をワンサイドに終結させて逆サイドのWGをフリーにして暴力的突破からの中央へレバミュラハイクロス爆撃を目的とした最大値形成を試みた。
しかし非常事態が発生する。常時複数名がケガで離脱し満足なスタメンを組めず、ブンデスは一強とはいえ、それでも苦しむはず。しかしバイエルンは、これを乗り越えていく。UT性の利用だ。
ラーム、アラバ、ハビは複数ポジションをこなせる主力、コアUTだ。局面によって選手がレーンを横断し相対する選手が変われば相手は困惑し、その間にボールの安全な運搬が可能となる。
このコアUTを最適配置理論を踏まえた形で移動させ続け、相手を幻惑するコアUTポジショナルサッカーがケガ人による離脱の被害を最小限に食い止めた。
3年目はトゥヘルドルトムントの猛追にあい、ケガ人を多数抱えてもUTによる処置で見事ブンデスリーガ3連覇。平均値はケガ人の離脱にも関わらず高かった。
しかし大耳は3年連続4強敗退、初年度はWGのクロスをゴールに導く9番としてマンジュキッチが機能せず、2年目は最終生産に必須の縦に強いWGであるロベリが耐久力が低く出場さえ困難だった。
3年目は唯一のチャンスで、ミュラーのPK失敗がなければ運命は変わっていた。あの場面で決めていれば後半はティキタカで時間を潰せば決勝に行けたろうし、マドリーとの決勝は十分勝機はあっただけに残念。
4強2ndleg、ボアテングが長期離脱からの復帰戦でもあり、ペップはドクターに向かって『何故、我々の選手は、ここまで回復に時間がかかるのか』と激怒していたが、耐久力の低さをUTで誤魔化せてはいたものの、やはり最後尾と最前列の選手はUTでなくスペシャリストでも良いので耐久力が必須なのだ。
コアUTを用いたポジショナルな支配構造、そしてフリーにしたWGの縦への推進力による突破からのレバミュラへのハイクロス爆撃、見事に平均と最大の両立に成功した。ただ耐久力には問題があった。
1-3 ペップシティの背反性
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①初頭に見る苦しみ
ペップはバルサでポジションに縛られない選手の柔軟な動きに加えバイエルンでUT性を用いた動きで幻惑し、バルサではバイタルでメッシをフリーに。バイエルンではWGをフリーにしてレバミュラへのクロス爆撃でリーグを支配する平均値と大耳を支配する最大値を高く保とうとした。
シティでペップは、同様にシステム構築を狙った。
ハーフスペースにいるシルバとデブライネをフリーにし、そこへボールを運び、両翼のスターリングとサネという同足WGの突破からアグエロへ向けてロークロス爆撃。メッシの囮となったセスクよろしく、ギュンドガンの獲得もアグエロの囮が目的だったろうし、これがシティの最大値。
初年度はバイエルンで見せていた円滑なビルドアップを可能にする偽SB戦術が出来ない人的資本の乏しさで平均値は低く苦しむ事が多かった。
バイエルンではフリーにするのはWGでレバミュラへクロスを送る。バルサよりも一段ステップが多い。そしてシティ、ハーフにいる(デブ神+シルバ)をフリーにしてサイドへ展開、そこからロークロスでアグエロへ送る。バルサよりも2段ステップが多い。
アグエロまで『遠い』問題と5レーン攻撃対策がシティに根深い背反をもたらした、と自分は考えている。『解放場所』まで遠いなら、動いてもらう必要があり、そのために、どうしてもUT性を持ちサイドでも本職として振舞えるタイプをペップは求めたのではないか、それがオーバやサンチェスの獲得志望理由なのだろう。
②平均に繋がらない最大
バルサ/バイエルンの7年間常にCLで4強以上なのに、シティでの5年間では4強以上は1度だけ。何故苦しみ続けるのか。2強ラリーガ、1強ブンデスと異なり、多士済々プレミアで5年で3度の優勝、相変わらずリーグマスターとは対照的に。
このズレが疑問で仕方ない。少なくないシティズンはペップが狂った奇策を大耳で放つ事に責任があると言う。果たしてそうなのか。自分は、『プレミアを支配する平均と最大との接続に何かしらの問題をきたしている』と考える。
ペップがシティに到来し3223システムが導入され、5レーンを攻める体系を植え付けた。そしてコアUTを用いて流動的なポジションチェンジで相手を幻惑し最適配置理論を導入したコアUTポジショナルを推進した。
4バックが主流のプレミアでは5レーンアタックは有用で2年目はプレミア史上初の3桁勝ち点で優勝、翌季も勝ち点98で優勝、リーグ制圧に成功した。
UTポジショナルの土台に接続するチーム得点王アグエロが帰結になり得るのか、そこが疑問なのだ。アグエロはレーンを横断する事に特徴のある選手だろうか、UT性が後方から前方に至るまで年を追うごとに増すチームでアグエロに点を獲らせるのは果たして良さを引き出せているのか。
アグエロを活かすならUTではないだろうし、UTでいくならアグエロの攻撃の絶対軸選定は疑問を残す。
③離散
シュートの上手い選手を中心に得意な戦型を創出し、それを最大値とし、そこへ接続するためのリーグを支配する構造を作り出す、このメソッドをバルサとバイエルンでは徹底していたペップは何故、アグエロの得意戦型とは思えないUTをやらせるのか、恐らく妥協案なのではないか、自分はずっとそう考えている。
ジェズス獲得によりアグエロはケガもあり一時スタメン落ち、そこから守備意識や最適配置を身に着け、シティの9番として再臨したと言われているが、それでは何故17/18シーズン冬の市場でラポルテ獲得に巨額を投じた中でサンチェスを獲りに行ったのだろうか。ペップがアグエロに疑念を依然として感じていたと推測せざるを得ない。
魔境プレミアと世界最高峰のCLの両立となる支配構造こそがコアUTポジショナルであり、UT性の強い選手を集めて自由自在の交換、レーンの横断を繰り返すことで相対する選手の変更や柔軟な布陣の選択を可能にすることで相手を幻惑する戦略をペップはバイエルン時代から理想としている。
バルサでのバイタル攻略、バイエルンでの強靭なWGの突破力、この二つを兼備したチームにするなら、前者はデブ神+シルバのIH起用、後者はスタリン+サネのWG起用で納得できる。では、その攻撃の到達点としてアグエロは最適なのだろうか、横断可能なUT生産者、それこそメッシのようなWG由来の選手なら納得できる。しかしアグエロは、この類の選手ではない。
ペップのチームの作り方を見るにアグエロは『第1志望』ではなかったのではないか、WG転用可能な選手を9番に迎えたかったのではないか。
しかし獲得出来なかった。UTストライカーが獲れないなら、アグエロで良い。シティズンのアイドルで本人も慣れないスタイルに順応する姿勢を見せ及第点の出来を見せた、しかし順応とは言えば聞こえは良いが、それはシティ、アグエロ双方にとっての妥協と犠牲の産物であり、両者にとって良い関係だったのか、疑問を残す。
④背反
アグエロはUTフットボールで柔軟な動きを求められれば、それに沿うように努力した。ただ、その事によってロークロス爆撃の得意戦型が多様性尊重から絶対軸にならなくなるのも事実で、バルサでのメッシ、バイエルンでのレバに相当する立ち位置ではなくチームのゴールを奪う絶対軸の欠落を意味していた。
相手の5レーン防衛が進めば進むほど、チームの横断性は増加しポジションに囚われない最適配置の徹底と相手に的を絞らせない生産過程が構築されていった。
アグエロはUTというチームの土台に沿ったプレースタイルを受け入れ、弊害として最終生産能力は限界まで引き出されたとは言い難い。それにより長期的な支配構造が進めば進むほどに短期的な破壊構造が弱まる、という平均値が上がれば上がるほどに最大値が下がっていく背反を招いたのではないか?
ペップがメッシとレバを活かすシステムである偽9番、同足ハイクロス爆撃を備えたシーズン、1試合当たりの得点率はメッシ(10/11,11/12)は100%を超え、レバ(15/16)も82%程度と高い生産能力。勿論、相手とのパワーバランスが異なるしレバは1年という標本数の問題もある。
アグエロ(17/18,18/19)はペップシティが勝ち始めるようになった2年目、3年目の2年間では得点率が73%と両名よりも比較的低い上に、リーグでの得点をチーム総得点で割るとメッシ40%、レバ37%、に対しアグエロは20%と少ない。
アグエロはこれまでのペップチームの生産者と比べると絶対的ではなく、アグエロに点を獲らせると言うより、結果としてアグエロが一番チームの中では得点を獲っているだけに思える。
UTフットボールの推進と的を絞らせない攻め筋という基本構造が進むに従ってアグエロの『犠牲』も進み、平均値は高く、トータルで見ると支配力は向上しているが、一発勝負における最大値は絶対的攻め筋の欠落により減退しており、この事が不利想定による奇策打ちに繋がるというのが自分の見立てだ。
ペップシティはコアUT性の推進と引き換えに『正攻法』で勝つ能力を減退させ続けているのが実態なのではないだろうか?
⑤進むUT、不変の背反
アグエロの耐久力に陰りが見え、ペップ政権4,5年目には遂にゼロストライカーでシーズンに臨む。ペップはアグエロの次に得点力のあるスターリングをUT生産者としてチームの核に据えるつもりだったのかもしれない。
4年目、ケガ人の多発に苦しみ、アグエロは不在、ジェズスは得点から見放された。スターリングも生産レベルはストライカーのそれを下回り、失望に終わった。そしてシルバが退団した事で独力完結できる選手の複合体へと前線は翌季に姿を変えた。
5年目、前方5枚の横断に加え、後方から6番手としてSBにボランチ化させてから前方レーンに突撃させ、前線には5,6枚の選手がWG,IH,CFの区別なくレーンを横断しつづけ、3度目のリーグ制覇、しかし大耳制覇には、あと一つ足りなかった。
結局のところ、アグエロが健在だった3年間、不在が多かった2年間、課題は明確でプレミアを支配するためのコアUTポジショナル構造に接続できるコアUT系の9番を獲得出来ず、リーグでの支配力の増強が強まるほどに一発勝負での苦しさに繋がり、最大値がバルサ/バイエルンの時よりも低いものになっている事だ。
JUVやATLのような守り切れる盾もなく、ルベンが到来した事で盾の強度は上がったが、やはりメンディ離脱の常態化による5番の不在で覇権レベルにはなりづらく、矛も絶対的なレベルにならず苦しんでいる。
そしてケインを獲り逃し6年目が始まった。
第2章 21/22MCI前期省察
2-1 各選手評
①S評価
20 覚醒 ベルナルド
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この男の活躍はシティズンならずともよく知られているはずだ。どのポジションでも最適挙動が出来、攻守に駆け回りチームに多大な貢献をもたらす。前半戦のチームMVPとしても誰も文句は言わないだろう。
チームに明確な点取り屋がいない状況を考えると僅差でのゲーム展開は、これからも増えていく可能性もあり、その都度緊張感が増しインテンシティの増強に伴ってベルナルドに走り倒してもらう必要がある。
今季のベルナルドを見ていると落合中日の浅尾を思い出す。得点が思うように奪えない中で僅差の展開で毎試合のように投げ続け数年後には壊れてしまった。ベルにも耐久力の限界はある。来季以降の放出もちらつくが無理のない運用を望みたい。
27 6番手2年目 カンセロ
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昨季、SBからボランチへと転移する偽SBからの前線に加勢する6番手、通称カンセロールとして大ブレイクした。今季も無謀な飛び込みで不興を買ったかと思えば、宝石のようなテクニックでSB離れした攻撃を見せている。
今のところ、カンセロベネフィットがカンセロリスクを上回るシーンは多いもののビッグマッチでの使いどころには迷うところだ。本来メンディにカンセロロールを落とし込む予定だったのだが『元祖』に頼る事になった。
昨季同様に後半に尻すぼみで終わる可能性はあるものの、6番手加勢スキームは有用に働くはず。昨季大耳決勝での外攻めの課題を解消する可能性もあり、この男の守備の安定に今季はかかっている。
3 主将 ルベン
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耐久力と安定感、そしてキャプテンシーの持ち主。後方の絶対防衛ラインを死守する役割をこなしている。UTが多いシティの数少ないスペシャリストであり、チームの絶対的CBとして君臨。
必然というべきか主将の腕章をまき、名実ともに主将の地位を掴むことになるだろう。何も言う事はないのだが、心配なのはケガになる。絶対的な存在ゆえに疲弊の蓄積が心配である。
大事な試合でいないと大きな問題になる。今季は守備ではウォーカー、ルベン、ストーンズと心中する事になるだろう。ストーンズの体調を考えると離脱はクラブの未来に直結する、無事に今季を駆け抜けて欲しい。
2 疾駆する壁 ウォーカー
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守備的RBの第一人者だった英国の決闘自慢は今季、ポジションを前へと上げてボランチ脇で素晴らしいパスを通したり、純正SBとしてサイドラインを駆け上がったりと、多彩なプレーを披露している。
いずれは偽偽SBとしてボランチ化した後に前線に加勢したり、純正SBとしてWGの補助に入ったり、持ち前の守備力を活かして3バックの右、4バックのCBなどにも対応する場面がストーンズの耐久力を考慮するとあるかもしれない。
貴重な選手の一人であり、怪我無くビッグマッチで起用出来るかどうかは重要な要素になりうる。カンセロがプロテクトとしてRBの控えとして機能すればよいのだがメンディの離脱によりLBの一番手になっている現状を考えると心配は尽きない。
16 独り立ち ロドリ
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ヤヤ、ブスケツ、ラーム、アロンソ、彼らはバルサの元4番ペップの指導したチームで4番を務めてきた名手たちだ。シティ初の大耳決勝のスタメンにロドリ、ジーニョというシティの4番の名前はなくギュンが起用され賛否を呼んだ。
その悔しさを晴らすべく、今季は絶対的な4番として覚醒した。LIV戦でのスーパークリアをはじめ、箇所箇所での判断ミスも減り、シティの『ヘソ』として一段上がった印象が伺える。判断力が向上しており潜在的な遅さを補えている。
サイドへのロングパンスでの散らしはクロスに耐えうる9番の到来が予期される来季への種まきとなるため、サイドチェンジの質を求めたいところ。長短パスの判断とコマンドの安定を極めて絶対的4番となって欲しい。
31 脱1番 エデルソン
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ペップはポジションとそれに紐づく役割を固定しない。そして様々な柔軟なポジション変換は偽○○として知られてきた。あらゆるポジションを偽化し、サッカー偽物語を紡いでいる。ただGKは勝手が異なる。一人だけ手を使える特異性がカバーの不能性をもたらし、またGKはフィールドプレイヤーとは異なるシャツを着る。
ペップはノイアーにボランチが出来るか聞いた事があったそうだ。GKは偽は無理でもGKシャツを脱いでフィールドプレイヤーに転用される可能性がある。つまり脱GKとしてCBやボランチとして出場する可能性がある。
アーセナル戦でのCBの前へ出てのビルドアップ、勇敢なプレーだった。人にマークさせる戦略への応手であったのかもしれないが、いずれ、その先にエデルソンが左SBとして出場する日が来るのではないか、狂った考えかもしれないが、狂った指揮官と狂ったポルテーロなら、そんな日が来るかもしれない。
②A評価
47 真のUTへ フォーデン
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9番の獲得に失敗した今季、UT方針に合致し得点を奪い去れる唯一の希望にしてシティが誇るトッププロスペクト。IHやCFでのプレーも経験しており来季以降のストライカーのタイプに関わらず共存するための柔軟性を施しているのだろう。
得意の左サイド前方からのショットの精度をもう少し上げるのと、偽9番で出場した試合ではバイタルからのドリブルで積極的に仕掛けてもらいたい。シティのメッシになれる逸材であり、間違いなくデブ神の次の神になる男、いやならなければならない男ゆえに期待値は勿論高い。
デブ神の耐久力が減退し始めた今、攻撃で違いを生み出す数少ない貴重なタレントなので、今季後半は得点やアシストといった目に見える結果が欲しいところ。そのためにももう一段の成長を期待したい。
9 新境地 ジェズス
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互いのネットを揺らした数の優劣以外は評価されない。サッカーのシンプルかつ残酷なルールだ。背番号は9でポジションはFWとなれば当然期待されるのは得点。その要請に応えられず苦しみ続けたシティの『未来』は今季RWGへと仕事場を変えた。
元々守備力、動き出しには定評があったので難なくこなせているし、得点という義務から解放されることでかえって得点力が蘇る、という都合の良い展開は望みすぎかもしれないが、CHE戦の大一番で決勝点をあげるなどプロパー9番のいない前線に得点力の担保のために置いておきたい気持ちは理解出来る。
今のシティは自律主義からの転換を図りつつあり、その上で高い戦術理解と守備意識を持つジェズスは重宝するはずだ。アグエロの後継者路線からは外れたかもしれないが腐らず新境地で輝いてほしい。
10 一億£の色男 グリーリッシュ
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ベル離脱の保険、スターリング復活のための理解者、国産UT、様々な思惑で獲得されたグリーリッシュは早期に順応を果たした。自律と自己完遂を軸とするチームにおいて、王様として培ったスタンドプレーがマッチしたのだろう。
しかし本来の目的はIHとしてデブ神の出場機会を限定するプロテクターであったのだがメンディの離脱により、スターリングは依然孤立、フォーデンは他ポジで武者修行中なため唯一のLWGとして酷使気味の起用になったのは心配である。
IHでデブ神の出場機会を抑制しながらWGもこなし、前線での横断もこなせるコアUTが理想的な落としどころのはず。今季は安定的な出場をこなしながら慣れる事が先決、急がず着実に身も心もスカイブルーに染まる事を祈りたい。
21 NEXTビジャ フェラン
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今季は9番に挑戦中でWG起用可能なストライカーとして期待は小さくない。ただフォーデンほど絶対的な形を持っているわけではなく、今のところは様子見の起用でビッグマッチでもスタメンを外れた事を考えてもお試しストライカーの域は出てないか。
バーディのようなムービング9番というよりも同胞かつバレンシアの大先輩にあたるビジャのようなLWGもこなせるストライカーが理想の到達点。来季のストライカー獲得後にもLWGで得点出来れば最高だ。
何よりケガを直し後半はLWGでの起用も含めて、得点に絡む事、目に見えた結果を出せると道も開けてくるはずだ。バルサ移籍も噂されるが来季9番との共存も可能な貴重な選手なので残留に期待したいところ。
14 3番手 ラポルテ
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3番手としてラポルテを所有出来るのは素晴らしいのだが、先発させるには心配が尽きないのも事実なのだ。大一番での不用意なミスは相変わらずで、ストーンズを休ませる谷間の先発として有用だが、前期は谷間以上の出場機会を与えられた。
ルベンの相方として一定の出場機会を得られたのは移籍願望の抑制に寄与してくれるとありがたいと思う。ストーンズがコンパニ化し始めてる事を考えても残してはおきたい。左足のフィード能力の高さや足元のテクニックは健在、出場を求める試合も少なくないと思うので、残留して欲しい。
8 盤石の男 ギュンドガン
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出場すれば大きなミスはなく確実にパスを繋ぎボールを循環させ、昨季は得点も奪うようになったトルコ系ドイツ人MFは今季も堅実なプレーを見せてくれている。
ベルナルドとデブ神のような派手さはなく今季はカンセロロールの終点でもないため地味ではあるが、こういう選手を何枚ストックしておけるかがリーグでは小さくない違いを生む事になる。セルフ過重労働のベルナルドのプロテクターとして後期は更なる貢献を求めたい。
17 神の憂鬱 デブライネ
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右足から放たれる魔法は様々な感動と喜びを与えてきた。そんなプレイヤーを止めるためにはファウルしかないのが現実で、その蓄積は神の耐久力を奪い始めた。
代表戦で負ったケガを抱えながらどこか本調子にならず苦しんでいるように思える。手術で長期離脱するほうが良いかもしれない。選手寿命の問題もあるし、延命のために将来的にジェラードのように4番コンバートもあるかもしれない。
シティにとって大きな武器となり9番獲得の重要な要素になりうる神クロスは必須のものである。グリをIHで使うなりして出場機会を限定し乗り越えて欲しいものだ。
6 地位向上 アケ
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好機は突然やってくる。CBの4番手、LBの3番手という立ち位置のアケは今季早々にストーンズの不安定化、メンディの離脱によって立ち位置が一つ上がった。出場の機会もやってきた。
ヘッドでのゴールやセットプレーでの脅威にもなれ、LBでは貴重な守備力をチームに与え、CBとしても貴重なバックアッパーになれるポテンシャルは十分なのだがイマイチ活かしきれていない。判断力を出場が少ない中で培うのは厳しいのかもしれないが、ラポルテの移籍願望を考えると、もう一つ上の領域へ行って欲しい。
26 試される左足 マフレズ
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昨季の右翼の圧倒的スタメンは今季ジェズスのRWG挑戦によってスタメン争いに巻き込まれることになった。昨季同様のゼロ9番ゆえに、右翼にはストライカー上がりのジェズスを置いておきたいのは理解出来る。大外で得点できるタイプは今季の狙いの一つなのかもしれない。
マフレズに今季求められるのは結果だ。大耳決勝でも惜しいシュートもあったが、得点を奪う能力は昨季以上に求められるだろう。右翼専用機ではなく、偽9番や左翼、IHといった位置でも活躍し、横断可能なUTへの進化も求めたいところ。
2年前のスタメンラポルテが3番手に降格したようにマフレズも、いつスタメンの座を奪われるか分からない。捲土重来に燃えるジェズス、スターリングとの右翼競争に勝てた時、シティにとっても大きな武器となるだろう。
③B評価
5 耐久力という課題 ストーンズ
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やはりというべきか、回復力と耐久力に問題を抱えていたが、代表でのケガでビッグマチ出場は難しくラポルテに頼る事になってしまった。ほとんど出場していないのでコメントのしようもないのだが、後半はスタメンで頑張って欲しいところ。
今季のシティも矛に苦しんでいる。そんな中で守り切れる安定感のある盾の完成度は今季の出来に大きく関わる。絶対必要な柱ゆえ、是非とも後半戦ではコンスタントな出場を求めたい。
11 待つ男 ジンチェンコ
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プロスペクトを囲ってレンタル要員、換金要員として保持するスキームの中でカウントされていただろう中、デルフと入れ替わりでLBで活躍を見せ、出場機会に恵まれない時期でも腐らず、じっと耐え抜き出場すれば自身の真価を証明してみせる。そんな姿勢と愛くるしさからシティズンから愛されるウクライネは今季も正念場がやってきた。
カンセロがLBで地位を確保し、毎試合、SBとは思えない動きで驚きを提供し、その陰でベンチを温める日々が続いている。昨季もそうだった、しかし大一番での守備力の確保のためにジンチェンコは後期にスタメンを勝ち取ったが、今季は事情が違う。守備リスク覚悟の上でカンセロが使われている。
ただ、この状況でも腐らないだろう。チャンスは平等でなくとも確実にやってくる。そこで真価を発揮できるか、出来ればLBとしての守備力を上げて、左利きのウォーカーへと一歩ずつ向かって欲しい。
7 沈む英国の翼 スターリング
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今季は復活の狼煙を上げるシーズンになるはずだった。純正LBメンディ、代表で自身の特徴を知るグリをIH、ケインをCFとして偽翼のLWGとしてスターリングは復活するはずだった。しかしメンディ、ケインはおらず、グリはスターリングの代わりとしてLWGで出場している。
右翼に回ろうにもジェズスがプチブレイクでマフレズが控えに回っている。IHに入ろうにもデブ神は勿論ベルナルドが絶好調で外せない、ギュンドガンが控えていて、もはや前線5枚の中でプレーする事は厳しい。
バルサ行きも噂されるがチャビの違約金を本人に払わせアウベスを安月給で雇っているクラブがスターリングに出す金額など期待出来るはずがない。選手トレードが精一杯だろうし、シンプルに右翼で愚直にプレーして欲しいところだ。
25 迫る別れの時 ジーニョ
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ジーニョは銅像にはならないかもしれない。しかしヤヤの相棒としてシティの中央部を支え、ペップ政権では4番としてチームに安定をもたらした。いぶし銀のレジェンドボランチはロドリの一本立ちと共に出場機会が減った。
本人も4番の保険として今季はクローザーの役割に徹する姿勢も見せており、功労者も今季での退団が現実味を帯びてきている。全盛期ほどフィジカルと運動性能で無理はきかないだろうが、長丁場のシーズンで必ず活きる試合は来るはずだ。
功労者に相応しい花道として大耳を掲げて欲しいと願うシティズンは少なくないはずだ。残り短いスカイブルーのユニフォーム姿を目に焼き付けておきたい。
2-2 省察
①ペップシティ総論(仮)
ここまでのペップシティを振り返ってみよう。
大きく分けて3期に分ける事が出来る
(1)ロークロス爆撃集団
(2)コアUTポジショナル
(3)SAC
まずバイエルン時代と同様にWGのクロスを中央へ送り込みアグエロに得点させるスキームを採用。4バック主体のプレミアでは猛威を振るう5レーン攻撃でプレミアを支配し、スターリング、サネ、アグエロの3topによるロークロス爆撃が炸裂した。
ただ5レーン攻撃への対策が始まり、練り直しが求められ、チームはバイエルン時代を上回るUT性を帯びるようになった。
(2)のUTポジショナルが本格化し、スタメンにはUT性を持つ選手が選ばれた。レーンを横断し複数ポジションで本職のように振舞える優位性を用いて相手を幻惑し対策の対策としてUT性はかつてないほどに高まった。
デルフ、ラポルテ、ストーンズ、ウォーカー、ジーニョ、シルバ、デブ神、スターリングが輝きを放つのとは対照的にサネが苦しんだのはスペシャリストゆえの苦しみだ。そしてアグエロという『聖域』もサンチェス獲得未遂という一件を招いた事からも明らかなように、UTがチームを支配していた。
そして、シルバが退団し、チームは自律性を強く有するようになった。自分はこのシティを見て、スタンドアローンコンプレックス(SAC)という言葉が浮かんだ。
名作SFである攻殻機動隊の造語だ。孤立した個人(スタンドアローン)でありながらも全体として集団的な行動(コンプレックス)を取ることを意味する。
最適配置を叩きこまれ、シルバがいなくなり、チームは自律する孤立した個人の集合体のような様相を呈している。単独で複数の選択肢を提示し相手の出方に合わせて後出しジャンケンで優位性を確保する。スタンドプレーの連鎖が結果的には組織として最適な手筋として完成する。
我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。
これは攻殻機動隊の公安9課長である荒巻のセリフだ。今のシティを言い表していると言える。このスキームゆえに、マフレズは輝き、今季新加入のグリーリッシュも左翼で輝きを放っていた。それとは対照的に有機的な動きを得意とするスターリングは苦悩に沈んだ。
カンセロが突如としてSBで輝き始めたのも、以前に比べて自己判断に任せる事が多くなったからであり、自律し各々が正しいと思う事を思い思いに行い、それが結果的には組織的な動きを見せる。
②鶴翼元年
今季はカンセロロールの一般化となるSBのボランチ変換の後の前線5レーンへの突撃を担う偽偽SBを左右SBに課す2323を採用した。左はメンディ、右はカンセロとウォーカーに役割を付加した。中央に相手を集結させて、サイドへ展開、そしてIHとWGの共同作業により崩すスキームが用いられた。
唯一の今季の新加入選手であるグリーリッシュは王様と言われていたが、SACスタイルのシティに容易にフィットした。
しかしSACには負の側面もある。シティは個で攻め、個で守るようになった。その事で守備における組織性が薄れ、大耳RB戦ではWGのグリとマフがペップに激しく指示を受けていたり、シーズン序盤は守備が乱れ、相手に容易にボールを運ばれプレスが空転する試合が少なくなかった。
そして、この状況でリーグCHE戦を迎えた。マンツー気味のワンサイド圧縮、個の力で対応し大耳王者の攻撃力を限界まで削いだ。そしてこの試合でSBのボランチ変換を辞め、純正SBの動きが見られた。
PSG、LIVの攻撃ユニットの前に合計4失点、やはりビッグマッチではアレグリユーベやシメオネアトレティコのような盾を持つにはLBに本職が欲しいところで矛としては9番が足りていないという構造的問題は、やはり残存している。
そして、今、ペップシティは第4の時代が始まろうとしている。SACによる多様な攻め筋の提示からネガトラ強化時代へと向かっている。
③第4の時代
SACを突き詰めたものの、矛の強度は覇権レベルにはならず、今季始めにはチームの組織守備力の減退が散見された。だからなのか分からないが、今シティはネガトラの強度を上げて盾の強度を向上させる新たな方向性が導入されている。
中盤ではベルナルドが重用され、前線はマフレズではなくジェズスが使われている。ボトムペンタゴンの23に関しても前の3でカウンター対策の強度を上げていて、柔軟な外攻めという攻撃面よりも守備面の方が狙いなのかもしれない。
SAC路線が進んだ結果として短期的なネガトラ強化月間のようなものかと思っていたが、どうやら今季の鶴翼Vフォーメーションの狙いは守備面での最終防衛ラインまでの有効なパスを消す防波堤の強化にあるように思える。
当然UT路線や積極的なスタンドプレーも許容はするだろうが、大耳での強敵に備えて防波堤を作り、SBの位置取りで相手に合わせて柔軟に応手出来るようにしたのが今季の前半戦と言えよう。
ネガトラで相手の攻め筋を防ぎ、通されればルベンを中心に442の要塞で受け止める、という守備を重視したアプローチを見せ始めている今季のシティ、これが新たな時代の始まりなのか、後期も注視したい。
第3章 展望
3-1 後期展望
235でネガトラを強化し、アレグリユーベ、シメオネアトレティコのように矛は劣っていても盾で守り抜く戦略で頂点を目指す今季のペップシティ。今のところ順調に乗り越え過ごせている。
ただ、心配なのは主力のケガ離脱である。少数精鋭気味になりつつある中でメガクラスとの試合では強度と技術両方共に求められ特にDF陣は離脱者が出るとクオリティは下がり、盾で守り抜く今季の方向性が崩れ去る。
フィニッシュもフォーデン、デブ神の質で押すか、カンセロのミラクルパスに期待する以上は、ここも離脱が致命的になる。だからこそ後期は色々なパターンを試しながら最適攻撃パターンをストックしていく必要があるだろう。
リーグではUTD、CHE、LIVといった強敵とホームで戦える利点もある。勝ち点を大きく落とすことなく、ルカクの落とし込みに手間取るCHEとネイションズカップを控え主力が離脱するLIVに、しっかりと振り落とされることなく先頭集団で走っていれば連覇出来るだけの戦力はあるはずだ。
大耳においては今季は耐える事、そしてネガトラを徹底して防衛ラインまでの着弾を減らすことだ。矛はなくとも盾で全員で戦う。そしてフォーデン、デブ神、カンセロの質的優位で相手に一発見舞う、それを愚直に繰り返す事が求められる。
大耳王者の歴史を考えても、矛を持たざるチームの戴冠は数少ない。確度は決して高いとは言えない。だからこそ集中し昨季のCHEを見習い、少ないチャンスを確実に決める事だ。やる側も見る側も忍耐と集中が後期は更に求められるはず。
攻め筋リビルドも叶わなかった今季、盾と結束で頂点を取れるか、大いに期待したい。
3-2 未来展望
①理想の9番
シティに合う9番を考える上で、シティの大きな武器と言えるのはフォーデンの左サイドからのシュート、そしてデブ神の神クロス。そしてUT性の高い選手が集まっている。
導き出される理想の9番は、デブライネの高速クロスに合わせられて、柔軟なポジションチェンジに対応できるテクニックを兼備した選手。だからこそ獲得が噂される選手は体格が良く足元のテクニックに優れたタイプなのだろう。
到来予定の9番を想定しているのか今季はSBが純正の挙動を示し、サイドからのロークロス、ハイクロスの攻撃は増えていて、RWGでマフレズよりもジェズスが使われているのはクロス攻め筋を植え付けるためなのではないだろうか。
そこで噂される9番候補たちをそれぞれ考えてみる事にしよう。
(1)ケイン
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プレミアでの確かな実績、代表でシティチームメイトと旧知、総合力が高く今がピークのスリーライオンズのNo.9。クロスにも対応し足元の技術も確か、何よりプレミアへの順応の心配もない事を考えても依然としてターゲットになりうる。
ケインが9番に入る事で左翼スターリングを復活させる可能性がある。これは重要な寄与であり、銅像が一体増える可能性もあり『英国のバイエルン』のブランディングを進めるうえでも重要な獲得になる。
デブ神、両SB、ジェズスからのクロスのターゲットになりえて『共演』経験のあるフォーデンやスターリングの良さも引き出せビルドアップの出口としても機能する9番。夏のターゲットになったのも納得できる。
課題は理不尽生産が厳しい事、チームを窮地から救う事は少なくスパーズで緊張感のある試合、成功体験が少ない事も気がかりではある。UT性はないが横断には苦労しないだろうし順応も問題はないはずだ。
(2)ハーランド
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多くのシティズンが望むターゲット。父親はシティの元選手であり高い身長と高い足元のテクニック、何よりも若く伸びしろもタップリと残し理不尽生産も可能で、時代を代表する選手になり得るトッププロスペクト。
ただ揺らぎが大きく横断と組織戦術への落とし込みに問題をきたす可能性はある。ただペップシティはハーランドを落とし込むために準備を始めているのではないか。
シルバが退団し、チームは変貌した。自律したスタンドアローンの集合体へと変わり、各自が各々が正しいと思われる事を各自で自己完結させる方向性が強まった。スタンドプレーの連続が結果として集団としての最適化に繋がるという組織形態へと変わった。
自己完結性の高い選手の落とし込みをスムーズにするためにこうしたのか、結果としてこうなったのか分からないがハーランドのような単独でプレーをこなすタイプの順応に寄与すると思われる。
問題は代理人だ。獲得のハードルは低くなく、また年齢の割には転売のために早期の退団も予想され長期的なスタメンになるか微妙だ。ただクロスを生産に持ち込み、走り込みのセンスもあり横断に馴染めば大きな戦力となるだろう。
(3)ヌニェス
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ベンフィカ出身が多いシティにとって噂に上がるウルグアイ人ストライカー。カバーニ2世と呼ばれるだけあってスペースを見つけて飛び込む動きが得意な選手。おそらくカウンター主体のチームの方が輝くはず。
リーグのレベルを考えてもプレミアでどこまで出来るか未知数な部分もある。特に9番の新加入となればゴールが遠ざかると雑音は小さくないはず。アグエロの後継者としての視線やメガクラブの9番の重圧にどこまで耐えうるか、そこも気になる。
ただ体躯もあり、ロークロス、ハイクロス両方に対応出来、フォーデンとの協調にも問題はなさそうに見える。プレミアの圧力下でどこまでやれるか未知数ではあるが、ハーランドが獲れないなら賭けてみても良いのではないか。
(4)ブラホビッチ
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今夏移籍市場で突然名前が登場したセルビアの9番。獲得が噂されるユーベは同系統のモラタがいるので獲得は見送るかもしれないが、モラタによく似ていると感じる。
モラタと同じく、体躯を利用した『受け』からの反転ドライブが得意なように見える。シュートは強烈で、理不尽なゴールを奪う事も可能だろうし、チャンスが増えると思われるシティでは更なる活躍が見込まれる。
ただポストプレーや空中戦が高身長を考えると改善の余地がありクロス爆撃に耐えうるか疑問を残す。またオフザボールの質、周囲と連動しながらボールを運ぶ動きには改善の余地があり、シティに来たとしても、この部分の修正には時間を要すと考えられる。
良くも悪くも伸びしろはあるので、その部分を、どう捉えるかで話は変わる。獲得しても数年で転売されそうなハーランドよりは長期的にシティの9番として君臨する可能性も考えると獲得はアリかもしれない。
②Wonder Wall
ペップシティの最終到達点として目指しているのはコアUTを用いたペップバルサとペップバイエルンの融合にあるのではないか、と自分は推測している。
仮にケインを9番として獲得したとする。
前線の並びは
⑦デブ神
⑧ベルナルド
⑨ケイン
⑩フォーデン
⑪グリーリッシュ
が理想的。
必殺技はデブ神がボールを握ったところから始まる。デブ神からハイクロス爆撃を行い仮想レバミュラとしてケインとフォーデンの2topに向けてボールを送り込む。
もう一つの必殺技のキーマンはフォーデン。ケインが11番、フォーデンが9番、グリは10番に移動。ケインがLWGから睨みを利かせ外へDFラインを広げて、バイタルを空けフォーデンを解放、そこからグリ、ベル、デブ神との連携と個人技で中央から攻め倒す。
いわば、ケインに(レバ+ビジャ)役をやらせ、フォーデンに(ミュラー+メッシ)役をやらせる事で列の横断と交換によって、仮想ペップバルサ/バイエルンの得意戦型の両取りを目指す。フェランがクロスに合わせる能力が増せばケインの保険として機能する可能性もあるだろう。
(メッシ+セスク)の縦偽9番は(フォーデン+ギュン)で再現出来、ロッベンの外攻めロールはマフレズに任せる。
後ろの5枚は今季から取り組む23の形を継続するだろう。
CBコンビはルベンとストーンズで確定だ。ルベンはまだしもストーンズは偽CBをこなせるはずだ。列を上がってボランチにもなれるだろうし、そこからドライブで前線に駆け上がる偽偽CBにもなれるだろう。3番手としてラポルテが控える形が理想的だ。
SBとボランチはウォーカー、ロドリ、カンセロとなるはずだ。出来れば5番が欲しいところだが、今季は9番獲得に全資金を投下すべきだ。SBは両方ボランチ化した後に前線に駆け上がる偽偽SBやサイドラインをアップダウンする純正SBの動きを相手に合わせて打ち出すはずだ。4番も場合によっては前線に駆け上がる偽4番となるやもしれない。
ルベン、ロドリといったスペシャリストを除いてUT化出来る選手は後方から前方へ向かって加勢する可能性があるだろう。
9番を加えた前線のW字と後方のW字からなるWWフォーメーション、シティにゆかりのある人物の作品から引用してMM(マジックマジャール)よろしくWW(ワンダーウォール)と自分は呼んでいる。
来季到来する9番を入れてペップシティの最大値の向上に期待したい。
第4章 :Re "シティと"ペップ"
アトさんが運営するブログ『みどりのろうごく』で自分の海外サッカーに関する記事6本をお読みいただいた上で、ご紹介を頂くという光栄に預かった。その中で、最大値形成に関するチャプターにおいて"改めてお聞きしないと分からない"と書いていらしたので、目には目を、ブログにはブログを、と言う事で笑、こちらで返信させてもらう。
4-1奇策
(1)『ペップと奇策』への私見
奇策を用いるから負けている、という言説に対し、奇策を用いなければならないほどの状況になっている時点で、既に劣勢であり、打ち手が敗着になったわけではないというのが自分の意見である。
リヨン戦は格下相手に奇策で負けた、と言われる試合だがケガ人の影響で、後方は経験不足のガルシアに本職がMFのジーニョまで担ぎ出さなければならない状況で、9番もアグエロは、そのシーズン後半は出場できない状況であり、ベスト16マドリー戦でもダブル偽9番といった奇策を打たざるを得なかった。
リヨンは前年に1勝も出来ていない苦手チームということもあり532のフォーメーションにぶち当てるように3421で相手WBを牽制し相手の攻撃力を削ぐのは理解出来る。
普段通りの4231なら勝てたとの言説もあるが、先制されて4231に戻した後に、2失点して負けてること、決定機をスターリングが外している事を考えると、普通にやっても普通に負けた可能性は低くないと考えられる。
チェルシー戦も、2度負けてる相手に対して、ミラーゲームになると予想される中で、フォーデンとデブ神を中央で使い、その質的優位で臨むのは正しいし、ギュンとスタリンを使ったから負けたというのは本質からは外れていると感じる。
結局、絶対的な得点パターンのなさが埋められると何もできない状況を招き、LBの不備を的確に突いたチェルシーに失点し、更にデブ神が負傷退場したことで質で押せなくなり沈んだ、というのが実態ではないか。
結局、奇策で負けたのではなく、絶対的攻め筋の欠落による矛の弱さと守れるLBの不在という盾の不備、という慢性的な課題が大耳での敗因であり、そんな状況を変えるべく放たれた一手は敗着とは言えないのではないか、と自分は考える。
(2)消えた観客
アトさんのブログを読んで、納得したのは『クライフ主義は観客のためにプレーする事にあるのにも関わらず先回りし過ぎの"処置"によって、例えそれが結果"悲しみ"であったとしても観客の試合によって呼び起こされる素直なエモーションの噴出が阻害されたならば出口を塞がれてしまったならば、それは流派的にも罪であって、抗議する権利が観客にあるのではないか』という部分。
確かに、これはそうだなと。自分は敗着となったのは、どの手で、それは何故そうなったのか、といった部分しか見えていなかったな、と反省した。
自分も以前から、結局、勝敗という結果論に基づいて議論されている、特にペップやアレグリやトゥヘルのような智将のチームにおける挙動の認識のズレが大きくなり、勝てば官軍負ければ奇策ハゲに近い民意の形成を見るにつれ、高度に発展した脳内将棋は観客を消してしまうのか、と考えている。
ピッチ外がユニバーサルに増大する観客で溢れるのに対し、ピッチ内での事象の複雑さと応手の専門性という局地性の増強によって、外部と内部の乖離が広がりつつある中での出来事なのかもしれない。
4-2最大値形成
最大値形成における徹底とバリエーションという問題に関して、自分は以下で述べているようにリーグ、CLにおいては求められる素養が異なると考えている。
シティはリーガを制圧してしまっているので、自分がシティの課題について語る時にはCLでの支配力の増強、という事を念頭に主張を繰り広げるので、嫌と言うほど最終生産の話をするのも、CLを制覇するための絶対的な矛の欠落が課題なので、『徹底』したとしても相手が止められない武器の構築を訴えている。
リーグを取るだけならばバリエーションを広げるUT路線でも問題はないとは思うが、強敵との一発勝負が続く短期決戦においては、70点の武器を2,3持つのではなく90点の武器を一つ有して、その武器で殴り殺す事が求められるように思う。
『改めてお聞きしたい』とアトさんが書かれていた部分に、お答えするのなら、CLのような短期決戦においては徹底が重要であり、どんな盾でも防ぎきれない矛の生成、どんな矛でも耐え抜ける盾の生成、のどちらかをやりぬく必要があるように感じる次第である。
(あとがき)伸びしろ
ペップシティを5年半見続けてきてCLで敗れても悔しさこそあれ、強い憤りや苦しみを感じる事は一度もなかった。というのも、自分はペップシティがCLの優勝本命だと信じた事がないからだ。
ペップはバルサ/バイエルンにおいてサイクル3年説を唱えてきた。なのにシティでは7年の長期政権を築こうとしている。常々、ペップは『チームを前進させる事が出来ないと感じたら自分は辞める』とも語っているので、シティは前進する余地があると考えているのだろう。
CL挑戦5年、初年度は論外として、2年目3年目はBBCマドリー、メッシバルサが本命であったし、4年目5年目もレバミュラバイエルン、ムバネイPSG、フロントスリーLIVが本命で『組分けに恵まれればワンチャン』枠を上回る信頼を自分はペップシティにはよせられていない。
攻め倒せる矛も守り切れる盾もなく優勝するのは、どうも想像しがたいからだ。
ペップはシティを伸びしろがあるチームと捉えているのだろう。ただ、それはチームの最大値としてペップが望むレベルに比べ出力可能なレベルが常に下回り続けているということでもある。
ペップシティは常に『余白』を残しているチームなのだ。だからこそ、前進可能性を感じてペップは長期政権を過ごしているのであろう。伸びしろが残る限りペップはシティにいる。しかし、それはリーグを支配する攻め筋の多様化思想が最終生産過程の絶対性を除去してしまうという背反する現在の構造的欠陥が続く事を意味する。
ペップ政権と完成度の高い覇権チームは背反しているのかもしれない。この背反が終わるのか、それとも背反したまま大耳を制覇するのか、時代を代表する指揮官の作る最後のクラブチームの行方を、これからも注視していきたいと思う。
付録 テクニカルターム
自分が良く使うサッカー用語をまとめたものを以下に付す。
(適宜加筆修正を加え、あの言葉って?的な質問へのアンサーまとめ書きみたいなのにするつもり。)
①ナンバリング
選手のポジションは自分はオランダ流で各配置に番号を振り分ける。オランダといえば両翼を大きく開いた433が有名で、派生形となる343はCBをDMFにDMFがIHに、IHがトップ下になるといった縦断的配置変換で実現されると認識される。
この方向性から後ろから順番に番号を振り、前線の5枚に関しては、かつてのWフォーメーションから右上右下真ん中左下左上の順に番号を振る事にする。
まとめると
GK(ポルテーロ)が1番
RB(右ラテラル)2番
CB(セントラル)が3番
DMF(ピボーテ)が4番
LB(左ラテラル)が5番
IH(インテリオール)が6番と8番
WG(エストレーモ)が7番と11番
トップ下(メディアプンタ)は10番
CF(デランテーロ)は9番
そして、偽○○の定義だが、自分の定義は○○を初期配置とし、特定の別のポジションへ再現性を持って移動するロール、と定める。つまりSBは後方端に位置する事とし、そこからサイドを駆け上がる動きは『SB』の見慣れた風景だとしても、それはWGに移行するSBからの移動として偽SBであると定義する。
カンセロロールはSBという位置から意図的に動く偽SBであり、ボランチの位置から意図的に動く偽4番も兼ねる。そこで自分はこれを偽偽SBと定義している。
②最終生産者
自分が作った造語というわけではないのだが、書籍で読んで使い勝手が良いので使ってる。ストライカーは原義的には全ポジション適用可能ではあるが、用法的に9番みが強すぎるので自分は、最終生産者と使うことにした。
ペップチームの構造を記述する上で支配層生産者の能力を最大化する火力の設定は外せないのでペップシティに欠落した部品として、よく言及することが自分は多い。
②MLB用語からの引用
(1)コアUT
コア(主力級)でUT(ユーティリティ)な選手の事。近年のMLBは2番最強説に代表されるクリーンナップ(3,4,5番打者)が主力とは呼びづらいため、主力格をコアと呼称する傾向にある。
これは打順に紐づく役割のズレというサッカーにおけるポジションに紐づく役割のズレともリンクしているように思える。
UTとはユーティリティの略称である。自分はサッカーにおいて主力にUT性を付加して局面においてポジションチェンジを施す事で多様な攻め筋を実現する事を目指す方向性の事をコアUTポジショナルと呼んでいる。
(2)コマンド
制球力を指す、コントロールよりもスポットにボールを送り込む能力という意味。
(3)プロスペクト
有望株の事、その中でも特に素晴らしい有望株はトッププロスペクトと呼ばれる。