牽牛星のよろず日記

自分の興味あることを思うがまま記述したいと思います。

2020年の阪神タイガース

 

 

⓪これまでの矢野阪神

 

降→続

 

金本知憲超変革路線が18年シーズンの最下位低迷による一部ファンの負の民意に応ずる形で電鉄のトップダウン『金本降ろし』を受け終焉し『続金本路線』を掲げ再起動した19年矢野阪神

 

木浪、近本といった若手を1.2番で使う、金本政権1年目の1番高山2番横田を彷彿とさせるオーダーを送り込み『続』路線は静かに始まりを告げた。

 

 FAで安定感抜群の西勇輝(本当に来てくれてありがとう)を獲得、また中日で防御率2.99で13勝を挙げた左腕助っ人ガルシアを獲得、更に選球眼がやたら良いマルテ、パワーカーブを投げるジョンソン(超優良助っ人)をチームに加えた。

 

シーズンが始まると前年のお通夜の空気を変えるべく矢野監督自ら感情を全面に押し出しチームを鼓舞、大山を4番に固定し続け、生え抜き4番候補の我慢の育成を実施(それが翌年大輪の花を咲かせるのだから育成はやっぱり我慢が大事)。 

 

投手陣はエースの風格さえ漂わせる西勇輝、下手投げ変速右腕の青柳、直球の威力は今永に次ぐレベルと小久保氏に評された若手左腕高橋遥人が3本柱を形成、そして何よりも超強力だったのはリリーフ陣、成績を眺めると

 

守屋 57試合登板 防御率3.00   

能見 51試合登板 防御率4.30

島本 63試合登板 防御率1.67 

岩崎 48試合登板 防御率1.01

PJ     58試合登板 防御率1.38 

ドリス 56試合登板 防御率2.11

藤川 56試合登板 防御率1.77

 

勝ちパターンのドリス、PJ、藤川の3名の安定感は勿論。凄いのはビハインド時に登板する投手の質、能見こそ防御率4点台だが、島本、岩崎といったクラスの選手を投入できる人的資本の充実は救援防御率2.70という強力なストロングポイントとなった。

 

しかし明らかに出力の高い直球への弱さを見せ始めていた鳥谷を勝負代打として送り込んでは凡退の連続で打率.207という低迷に一部ファンの罵声も響く中で退団が発表され功労者に不相応な別れを迎えた。(この反省から同じような出力負けを見せていた福留は容赦なく20年オフに切り捨てた。)

 

 

出力が向上し続ける時代において高めの速球を打ち返すことがベテラン野手には難しくなってきており生え抜きレジェンド野手の『棺桶の入れ方』には慎重な扱いが要求されてしまう事を感じる好例かもしれない。

 

鉄壁リリーフ陣を武器として前年覇者広島カープをギリギリで追抜き奇跡のAクラス3位に終わるも、貧打とエラーの多さからゴロPが少なくない阪神投手陣にとっては頭の痛い一年で、そんな野手陣でも超強力なリリーフ陣の存在によってビハインドでも傷口が広がらず僅差へと持ち込む事が出来、最下位からAクラスへ登り詰めた。

 

近本がセリーグ新人安打記録159安打を記録し赤星以来の盗塁王を獲得、梅野が正捕手の座を確実のものとし、球児は守護神として第2の春を迎えた、しかしエースであるメッセンジャーが引退を表明、前述の長らく遊撃を支えた虎のプリンス鳥谷は退団、金本政権でロマン砲として期待されていた横田が脳腫瘍の後遺症から引退を表明するという様々な感情がせわしなく胸に去来した19年シーズンであった。

 

19年オフ、ブルペン陣を支えた鬼スプリットのドリスと魔球パワーカーブのPJが退団し中継ぎ陣の不安定化が心配されるものの、リリーバーだけは湧いて出てくるタイガースの人的資本を翌年に見せつけられる事になる。

 

 

鳴尾浜再建と打撃向上

 

迎えた2年目、ドラフト会議では西、及川、井上といった甲子園で活躍した高卒選手を5名迎え入れた。阪神2軍が1.5軍選手のリハビリ施設の様相を呈していて血の入れ替えのため、必要な措置。

 

貧打に喘いだ19年の反省から外国人選手も1軍登録人数を超過する頭数での競争を促進するため補強敢行。韓国リーグで打点王を獲得したサンズ、MLB通算92本塁打のボーア、独特のアームアングルのガンケル、ジャイロスライダーなる変化球を投げるエドワーズの4人。

 

しかし、この助っ人外国人の獲得に伴い、大山が守るポジションを失う事態を招き、腹案としてセカンド大山オプションを準備しておくべきだった。

 

矢野監督は2020シーズンにおいて、2番近本、ストッパー藤川は固定し、予言の自己実現『もう優勝は決まっている、優勝おめでとう』と周囲に公言。しかし掲げたマニフェストが悉く崩れ去るのだから現実とは恐ろしい。

 

 

コロナ禍

 

今年の流行語候補筆頭のコロナウイルスであるが、全国的な広がりを春に見せ始め新たな生活様式と行動変容が叫ばれ、120試合の実施なくしては参考記録となる規定もあり6月に開幕。コロナ禍への配慮として新外国人の登録人数を一人増やし、セントラルはポストシーズン中止(日本シリーズのみ決行)を決定した。

 

自分自身はコロナ禍での開幕は厳しいと思っていたし、罹患を防ぐのは完璧には難しく、故に『かかったもん負け』のような形式への不安も感じていた。シーズン佳境でのコロナ離脱者を多く出したロッテはソフトバンクに大きく差を開けられてしまったし阪神もコロナ感染に伴う様々な正負両方のドラマを引き起こすことになった。

 

開幕前、復活を期す藤浪晋太郎のコロナ感染が発覚し、当初は、名乗り出た勇気や自身の身体的異常に気づけた事への評価が広がったものの、感染がタニマチ開催の多数の男女による食事会がトリガーと報告され、バッシングも挙がり、聖人君子のような生活を送っていないと『かかったもん負け』になる事を周知した。

 

ただ藤浪にとって皮肉だったのは先発勝利こそするものの2軍に沈んでいた中、1軍中継ぎ選手のコロナ感染による離脱によって中継ぎとして復活することだ。

 

 

①球夏到来

 

 

 

開幕12試合終わって2勝10敗という大惨事が、かつての暗黒時代を感じさせ、虎ファンの心に小さくない不安を与えた6月末、矢野監督の顔も曇り、開幕前の『優勝は決まってるんで』という予言の自己実現が寒々しい黒歴史に変わる予感が我々阪神ファンの胸を締め付けながら始まった新シーズン。問題は明らか、プランの頓挫だ。

 

併殺率も低く盗塁技術の高い2番近本、名球会入りも見えてきた守護神藤川を固定して戦うはずが、近本は大不振に陥り、藤川も調整不足から打ち込まれ(今季限りの引退を決意させるほど)、

 

昨季の最大の武器のビハインド時でも傷口を広げない優秀なリリーバーは守屋が調整不足から離脱、島本はケガが癒えず(オフにトミージョン手術を実行し来季復帰も絶望的)、ルーキーの小川も不安定で、先制されるとビハインド中継ぎが打ち込まれて逆転不能となり沈む、という展開をくりかえした。

 

4番ボーアもバースの再来の再来っぷりを見せつけ、左投手を打てず、極端な引っ張り傾向を逆手にとったシフトでゴロアウトを量産し続け(意外にも空振りは少なかった)、福留がスピードボールに対応出来ず苦しみ、マルテ、ボーア、サンズのMBS砲結成に伴い昨季4番大山をベンチやセンターに起用され、ちぐはぐ感があった。

 

今季を語る上で巨人との開幕3連戦は象徴的であった。12球団イチの捕手の充実を誇るタイガースの捕手ローテは昨季の正捕手梅野への不信と捉えられ批判を呼び、西VS菅野の第1戦でも僅差ながら先行した状態で先発西を6回で降板させ岩崎に継投して被弾。

 

第2戦は岩貞VS田口で7回まで1点差で接戦を演じていたがVSボーアで危機を脱した高木京介とビハインド中継ぎとして大炎上を招いた小川、谷川の差が大きく1イニング8失点で敗着。第3戦では近本の先制HRでリードしたにも関わらず4回に5点を入れられ3タテとなった。この3戦、僅差であったり勝負所で確実に得点する巨人と打った手が空転したり決め切れない阪神の差を最も物語るものと言える。

 

西降板の是非、ボーア起用への否定的意見、大山のベンチ漬けへの批判、梅野への不信と思われる捕手ローテ制への疑問、様々なイシューが在阪メディアを中心に盛り上がり、暗黒時代再来の様相が強まった。

 

  

 

悪夢のような『梅雨』を抜け、夏の訪れを感じさせる日光がタイガースの暗黒を明るく照らし出す。7月に入ると9月初頭時点で脅威の得点圏打率.455の打点稼ぐマンのサンズと生え抜き大砲大山のスタメン入りで変わる。マルテの離脱によって空いたサードのポジションに大山を起用し、これが大山の大きな転機となった。

 

 

不安定な抑えに元ソフトバンク高出力投手スアレスが着任、先発陣も8月初頭には高橋遥人が帰還し先発4試合で失点4点のハイパフォーマンスを披露(通年活躍出来れば球界を代表する左腕)し、藤浪も多少の制球難は感じるものの一時の不振は抜け先発登板5試合目で先発勝利を勝ち取った(藤浪にとって今季は援護が少ないシーズン)。

 

 

シーズン開始当初に背負った借金も、みるみるうちに完済し、気づけばAクラスという成り上がりっぷりを見せた。主な原因は戦力整備にある、と言いたいところだが、実際はリーグ全体的に優勝チームのジャイアンツを含め、調子が上がらなかったところにあり、本調子ではなくても勝ち切る勝負手とメンタリティが巨人独走を生んだ。

 

 

カープは中継ぎ陣が不安定で左のエース格ジョンソンも不振にあえぎ、堂林の再ブレイクとルーキー森下の大ブレイクをかき消してしまった。

 

ヤクルトは最初こそよかったものの投手陣がやはり厳しく後半には枯れ果て最下位へと伝書鳩のように舞い戻ってしまった。

 

横浜も打線こそ強力であるが阪神同様に守護神山崎が大不振に陥り対巨人戦での采配にも冴えがなかった。

 

中日も昨季の打線はどこへやらで2番としてコア形成を期待された平田と守護神に期待された岡田は不振に陥り大野雄大の大エース化と祖父江と福とマルティネスの勝利の方程式の形成でなんとかAクラス入り。

 

巨人も3割打者は皆無で、シーズン開始当初から坂本と丸は不振に陥り、岡本だけが気を吐いていた、中島はコンパクトなフォームで復活したものの、阿部とゲレーロが退団した下位打線を担当する打者としては一発の恐怖がなかった。

 

またシャークダンスでお馴染みのパーラも継続性に問題を抱え、正捕手小林は守屋の死球の影響もあり長期離脱し扇の要を失った。それでも勝負所の指し手の鋭さ、半スタメン級の選手の運用と積極的なトレードで上手く誤魔化しながら独走態勢を確立。しかしリーグでは上手く乗り切れたが、日本シリーズの悲劇の伏線は確かに存在した。

 

 

②総括

 

変革へ。

 

終わってみれば60勝53敗の2位、一歩ずつだが矢野阪神は優勝/日本一へと近づいている。しかし巨人との差は小さくない。VS巨人において8個の借金を背負い、12球団最多の失策数を記録、守備の乱れと巨人との分の悪さ、これは前述したように、勝負所での指し手と人的資本の枯渇(特に打撃面において)にある。

 

しかしながら変わった事もある、長年阪神タイガースにおいて言われ続けてきた右打ちスラッガーの枯渇と俊足外野手の不在と正捕手の不在である。今季において、これらの要請に応手がなされた、大山、近本、梅野、である。

 

打撃タイトル争いを繰り広げた大山は開幕当初のスタメン外に腐る事なくマルテ離脱の好機を活かし7月5日に4番を再び勝ち取った。本塁打28本(リーグ2位)、打点85点(リーグ3位)と大卒4年目にして着実に虎の和製大砲の道を歩んでいて昨年の我慢の起用に応えるような活躍。

 

タイガースのホーム球場甲子園は両翼が広く浜風の影響で左打ちの強打者はなかなかHRが出にくい球場であるので、右の大砲は常に育成/補強対象であり、生え抜きとしては濱中、桜井、江越、中谷、FA補強で新井、と中々埋まらないピースに苦しんできた、そんな要請に応える和製大砲としての期待は大きく、出来るならば守備指標UZRが-4.4の是正も求めたい。

 

 

近本は開幕当初は打率1割台と苦しみ、足の故障も抱えながらの苦しいスタートであったものの、最終的には打率.293、UZRは脅威の19.1(平均的なセンターよりも19点の失点を防いだ)を記録しルーキーイヤーの前年の成績を向上させながら、二年連続の盗塁王という快挙を成し遂げた。

 

 

糸井、サンズという決して守備が上手いとは言えない両翼を補って余りある守備は圧巻で、フリースインガーなため四球による出塁も少なく打てない時は打率が低迷しがちな傾向をあえて変更せず見事に持ち直した。何より阪神の若手は2年生は苦しむ傾向にあった事を考えても赤星の幻影を振り払うタイガースの宝には来季も高い守備能力と盗塁技術でリードオフマンとしての活躍が求められる。

 

 

梅野は昨季から引き続き正捕手として君臨し続けた。タイガースという捕手の層が厚く、守備型の坂本、攻撃型の原口というタイプも異なる事、また過密日程への配慮から捕手ローテが敢行されたが、序盤の低迷を受け梅野固定へとなった、ただケガでの離脱もあった事から矢野の捕手ローテ策が間違っていたとは自分は思わない

 

 

現監督矢野退団以降、ケガがちな狩野は定着せず、メジャー帰りの城島もケガで捕手出場は続かず、『男前』藤井が安定感をもたらした、とはいえ、サスティナブルに扇の要を務める事の出来る捕手として総合型の梅野は昨季に続いて安定をもたらした。来季以降にも期待がかかる。

 

 

大和以降、生え抜きレギュラークラスがいない土壌が金本矢野変革路線によって、大山、近本、梅野という主軸を生み、確実に阪神は変わろうとしている、菅野のメジャー流出により弱体化が予想される巨人を打倒し覇権を奪還する好機は確実に目の前にある。

 

エラーを減らし、貧打を解消し、岡田阪神から続く盤石のリリーフ陣の持久力で耐え抜く強い阪神が来季見られる事に期待したい。野村監督が撒いたタネを星野岡田で花を咲かせたように、金本知憲という大功労者を野村克也と見立てた、真の変革を成し遂げる矢野阪神の栄光が訪れる事を心から願っている。

 

  

 

強くなるために。

 

 

今季のクライマックスである日本シリーズにて繰り広げられたソフトバンクによる巨人の2年連続の4タテを巡る議論が紛糾している昨今だが、阪神の振り返り記事だが、この事に触れておこうと思う。

 

 

まず、晩秋の巨人の調子は最悪。勝率.760で貯金13を形成出来た9月が嘘のように13勝18敗の10月11月の調子の悪さがソフトバンク戦で出た。投手運用に関してイニングを食える先発が減りリリーフ陣を目いっぱい使いすぎてシーズン末には枯れ果てCSも消滅してやる気のない他チームに引っ張られるようにピーキングを誤った感が大きい。

 

昨年の4連敗の雪辱を晴らすつもりが、第1戦で千賀のフォークを見切り直球勝負するも肝心の直球に押され凡退を繰り返し、第2戦で出どころが見えずらくテンポの良い石川に対しウィーラーの一発で精一杯、第3戦はムーアにあわやノーノーという沈黙っぷり、第4戦は打線の入れ替えで出力で押さない和田を捉えて先制するもSBの早期の継投による高出力投手陣に手も足も出ず、2年連続のスイープ。

 

巷ではDH導入によるセパ格差の是正が叫ばれているが、大切なのは勝つことへの徹底がなされているのか?』という点にある。

 

巨人はSBの高出力の直球とスラットスプリット理論を体現するかのような現代的な投手層に苦しんでいたが、昨季、その投手陣の代表格である千賀の直球をスタンドへ放り込み、守護神森のカットボールをはじき返した打者がいた、阿部慎之助である。

 

なぜ、阿部慎之助は今季いなかったのか、それは昨季に引退したから、しかしながら本人もこぼしていたように、この引退は次期監督候補筆頭の養成期間の確保のための引退要請が原辰徳含めとする上層部からあった、からである。ここにこそ巨人とSBの差があると思うのだ。

 

 

巨人の監督は現役期間中は巨人にのみ在籍した生え抜きかつ4番/エース経験者に限るという不文律の数少ない適合者が阿部慎之助であった。

 

しかし昨季SB投手陣への抵抗を見せ下位打線の迫力を増大させていた阿部がスポーツ面とは関係ない理由で引退させられるほどの余裕が今の巨人にあるのだろうか?純血主義という伝統を否定するわけではないがゲレーロ、阿部を欠いた巨人打線は厚みにかけ高出力に押され続けた、目の前の一戦を勝つ事に殉じたと言えるだろうか。

 

 

2010年代初頭の海外サッカー界はFCバルセロナの黄金期の真っただ中であった。ライバルチームにして球界の盟主レアルマドリーは、ある劇薬を注入する、当時なりふり構わず勝利を目指すスタイルでバルサを打ち破ったインテルの指揮官であったモウリーニョの招聘。

 

マドリディズモという一種の美意識に囚われずバルサを倒すという一点のために招聘を決断したマドリーは2013年から2018年の間の最強決定戦であるチャンピオンズリーグ5大会のうち4大会で王者となる(モウ在籍時の戴冠は無かったが基盤を作ったのは間違いない)。

 

巨人を含めとしたセントラルリーグ関係者が議論すべきはDH制の有無ではなく、目の前の一戦を勝つために如何に本質的な事を追求し非本質的な事を捨て去る事が出来るか、ではないだろうか?

 

 

SBと普段対峙している楽天は石井GMの下で選手への過度な温情を捨て去った柔軟な戦力の入れ替えで市場をにぎわせ、西武は選手流出を止めるべく主力選手の待遇改善と資本投下を決行した(増田引き留めは小さくない変化)。

 

ぬるくても育成で巡り合わせが良ければ優勝出来るというユートピアパリーグには存在しない、刻一刻と合理的に強靭化の一途をたどるSB帝国が存在しているのだから。

 

 

巨人阿部慎之助の力学的事情による早期引退を痛罵したいわけではない、純血主義も立派な思想であろう、しかしながら、そんな余裕は今の巨人、いやSBと対峙するチームにはないはずなのだ。

 

 

梶谷と井納のFA獲得への否定的な声もあるが、自分は、この補強は正しいと思う。育成が正しく補強が間違っているのではなく、強くなることを放棄して思考を止める事こそが最もいけない事なのだ。

 

パンチのない外野両翼の補強は勿論、中継ぎ陣をフル稼働せずにピーキングを日本シリーズに合わせる事が出来るようにスターターは一枚でも確保すべきだし、この補強への文句は理解出来ない。

 

来季の巨人は外野両翼の打力向上とコア(坂本/丸/岡本)の前後を打つ選手の質を上げる事が求められる、また菅野が抜け先発が食えるイニングが減る事による中継ぎ陣の運用もシビアになってくるだろう、出来る事ならば菅野にはもう一年残留してもらい、戸郷と共にイニングを食ってもらう事が求められる。一塁と左翼の助っ人外国人の質が来季を大きく左右する。

 

 

コロナ禍において、我々は不要不急の事柄の自粛が要請され、今やろうとしている事が本当に必要なのか自問する時間が多かった。

 

その中で硬直化した組織が柔軟性を獲得出来る好機と捉えて新しいアイデアを試行した人間と前例主義で思考停止した人間の差がポストコロナ時代において大きな違いとなって現れるはずだ。

 

本質的な事を追求する野心と非本質的な事を捨て去る勇気、そういったものを大事にしながら合理主義的にSB帝国に追いつき追い越せるような気概を持った野球人を来季多く見る事が叶う事を願いながら記事を結ぶことにする。