牽牛星のよろず日記

自分の興味あることを思うがまま記述したいと思います。

#LIVを救いたい

今、クロップ率いるリバプールに異常事態が発生している。

 

15/16シーズン、ポストスアレス時代に新機軸を生み出せなかったロジャース政権が終焉し、途中就任という形でドルトムントで嵐を起こしたクロップを招聘しLIVは黄金時代を迎えた。

 

就任7年半で、CL1回、リーグ1回、カラバオ1回、FA杯1回、取りえる主要タイトルは全て獲得しており、ストーミングの権化として熱狂的なKOPから支持されてきた。

 

基本フォーメーションは433、前線には運動量抜群でスピードもあるマネ、支配層の最終生産者サラー、偽9番として中央でゲームメイクするフィルミーノが3トップを形成。

 

最大の武器は前線からの激しいプレスからの奪取してのカウンターだ。破壊力あるカウンターの恐怖を与えるために、なるべく前線3人は固定しておきたい。そこで前線は外切りプレスで相手ボールを中央ルートへ誘導する。

 

そこで中盤には屈強でボール奪取に優れる選手が望ましく、ジャン、ワイナルダム、ミルナーファビーニョが用いられ、ゲームメイク力を犠牲にした部分の補填のため偽9番フィルミーノ、さらにSBとしては異次元の技術とクロス精度を誇るアーノルドを起用した。

 

SBは前述のアーノルドやLBのロバートソンも高い攻撃貢献を見せるため、カバーリング能力に優れたヘンダーソンはチームに安定をもたらす存在として中軸を担った。

 

そして最深部には屈強な支配層CBのファンダイクとゲームメイクに優れたマティプがコンビを形成し、GKはワールドクラスのアリソンが起用された。

 

しかしLIV対策は進む。カウンターを殺すため裏のスペースを消し退却セットディフェンスが常備されたチームは増える。そこを切り崩すためにIHにチアゴを加入させ創造性を注入。競争力のある支配力で欧州随一の覇権集団を作り上げた。

 

21/22シーズン。リーグ2位、CL準優勝、カラバオ制覇、FA制覇、という輝かしい成績で競争力は維持され続け、クロップ政権の強さは続くと見られていた。

 

しかしながら22/23シーズン、8試合消化段階で勝ち点10、CL権獲得さえ早くも危ぶまれ始めている。まだ30試合残っているとはいえ、クロップ解任論まで浮上し始めている。一体何が起こっているのだろうか?

 

 

前編 課題編

 

今季のリバプールの問題は、たった一つに見える。

 

配置が狂いすぎている

 

①具体事例

 

ex1)リーグ第3節 UTD戦

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ナショナルダービーと評されるビッグゲーム。近年は不振の続くUTDと新時代を生きるLIVのコントラストが激しい一戦。この試合でLIVの破茶滅茶配置は炸裂する。

 

中盤はミルナーヘンダーソン、エリオットの3センターは早々に崩壊する。ミルナーは前線に攻撃参加、エリオットはサイドに流れる。中盤に人がいなくなるので気をきかせフィルミーノが降りてくる。アーノルドはRWGよりも前、ミルナーはLWGより前にいる。

 

433で始まったLIVの陣形は無秩序の極みを示し、2CB+ヘンダーソンの仮想3バックと集結した前線の間に広大な中盤のスペースが生まれる。

 

これが今季のLIVの再現性の高い風景、空洞中盤である。

 

LIVは307を基本としていた。これは皮肉ではない。仮想3バックと空洞中盤、前線には3トップに加えSBの加勢、特にアーノルドはやたら内側をとり、エリオットはやたら外側に向かう。前線では3トップ+両SB+IH2名で構成される7トップが形成されていた。

 

こうなると空洞中盤によって短いパスは打てない。なので後方から長いパスを打ち込む。しかし高さのない7トップはマイボールに出来ずボールを失う。そして空洞中盤を相手に使われてボールを運ばれてしまいカウンターを打たれる。

 

この繰り返しである。ファビーニョ一人ではカバーできない広大な中盤。当然のようにIHは7トップを構成するので戻れるはずもなく、DFはなす術なく殴られ続ける。

 

ex2)リーグ第6節 EVE戦

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マージーサイドダービー。紛れもなく勝ちたいゲーム。この試合でもLIVの配置は我々の想像のはるか上をいく。

 

433で始まった陣形は後方に可変5バックの形成をもたらす。ツィミカスLWB、サラーRWBという恐ろしい両翼がピッチ上に出現する。そして可変532は更なる可変を見せる。ここでも内側に移動するアーノルド、外側に移動するエリオットである。

 

エリオットは外にサラーがいるので気を利かせるつもりなのか前線に上がる。こうして発生するお馴染みの中盤空洞化、実家のような安心感。

 

ファビーニョは広大なスペースを任されるも厳しく、DFラインが殴られ続ける。無理のきかなくなったダイクはディレイで下がり続けるだけで相手にはテンションレスでボールの運搬を許してしまう。

 

②問題点

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先の具体例で挙げた2試合はあえてビッグゲームや注目度の高い試合を選んだ。その理由は結果が求められる舞台におけるLIVの挙動こそが現状の最適解とLIV上層部が考えるものだと言えるからで、この2試合で、この具合ということは相当深刻と言える。

 

まず問題点を列挙すると

 

1、選手間距離が遠い

2、IHの無秩序な移動

3、個人強度が低い

4、適材適所を無視している

 

こういった積み上げがもたらすのが空洞中盤と無限被カウンター地獄である。

 

まず配置に関しては、選手の得意仕事に合わせた位置で使うべきである。

 

サラーは前線ハーフスペースのゴール前で最終生産過程に関与させるべき

TAAはサイド大外でクロスなどの仕事を行うべきだ。

フィルミーノは前線で中盤のリンクマンとして接続とチャンスメークに向いていて

ファビーニョは中盤の決まったエリアへの出力を求めるべき

ダイクもプロテクトするために側に選手を配置し守備負担を軽減すべきだ。

 

各選手の能力はリーグ随一で、チアゴが故障がちでマネが移籍したことはさほど大きく影響していない。代替パーツは存在しているし、このような順位にいるのは、この破茶滅茶配置の是正で改善するはずだ。それも即時的に。

 

配置がプレスを空転させ、混乱の中で不得意な仕事を押し付けられ、その結果空洞化した中盤を相手に狙い撃ちされ殴られ続ける。カオスから始まる負のスパイラルが現状と言える。

 

 

後編 解決編

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こうした問題の根源は何度も言うように配置に原因がある。細かい配置ミスを誤魔化せるほどの質的な能力が各選手衰えてしまい、結果として配置優位に求められるラインが上がってしまったように感じる。

 

ダイクは無理出来なくなり、最近ではダイクがボールを持つと相手は放置するようにさえなってきており、ヘンダーソンカバーリング能力は減退しており、サラーも今季は巨額年俸を勝ち取った達成感からか調子も上がってこない。

 

前項でも述べたように、今、求められるのは調子の良い選手を得意ポジションに設置し”本職”での活躍を促進することである。

 

TAAを使いたいというなら3421の導入が良いだろう。ダイクを3バックの中央に使えればプロテクトも出来、TAAもRWBとしてなら守備的リスクは顕在化しないはずだ。そしてサラーをトップ脇に使うことでゴールとの距離も近く脅威となるはずだ。3トップとしてはフィルミーノ、ジョタ、ディアス、ヌニェス、カルヴァ、サラーの中から3人選ぶイメージが理想だ。

 

2ボラにすることでファビーニョの負担も軽減されるだろう。そういう意味では4231の導入も面白い。ヌニェスとサラーの縦関係の2トップも面白いし、サラーにはゴールの近くでプレーして欲しい。彼はレヴァやベンゼマと並べるレベルの選手なのだから

 

50M£とも言われるクロップの解任に伴う金銭的打撃は痛すぎる。しかし問題はクロップというよりも無秩序配置を是正出来るようになることで、その修正にクロップ解任が必要なら迷わず切るべきであり、後任にトゥヘルを招くメドが立つならすぐ動くべきだ。

 

トゥヘルが来れば3421導入でチェルシーのような復活劇も見られるだろう。まぁ彼だと長期政権は厳しいだろうが笑。

 

 

終わりに

 

僕はペップチームの定点観測者として、ライバルのリバプールを敬意を持って見てきた。シティにはいない支配層の最終生産者であるサラー、絶対的なCBであるファンダイクといった選手を抱え、FAやカラバオも現実的に見切りコアプロテクトをし大一番に出力を調整する覇権チームに、追いつけ追い越せという気持ちでシティを見てきた。

 

ルベンを手に入れ、ハーランドを手に入れ、ついにシティもリバプールのような覇権チームになれる感触を得つつある。自分はずっとシティはリバプールに劣っていると主張し続けてきた。それはCLを制する上で重要な最終生産過程における実力者の不在が続いていたからであってリバプールは、その意味で最高の模範になりうると。その中で一部の人に反感を買ったのか『そんなにクロップが好きならリバプールを応援すればいい』とも言われた事もあるほどで、その意味で今季からは追えるだけだがリバプールを定点観測している。

 

自分は大変歯痒く感じている。

 

このチームはもっと出来るはずだ。確かに何人かの選手はトップフォームを崩してはいるものの、このようなふざけた配置さえ辞めれば、勝てた試合はいくつもあったはずだ。

 

次の試合、シティとリバプールはぶつかる。覇権を極め大耳を掲げたチームに引導を渡し、シティが世界最強のチームになるために絶対に勝たなければならないとシティズンとして見ている。しかし、弱ったリバプールを叩くのではなく、むしろ完全無欠の覇権チームであるリバプールを倒したい、と強く願っている

 

ライバルチームのサポーターとしてはリバプールの弱体化を願うべきなのかもしれないが、ペップとクロップの関係の様に、高め合う好敵手としてのリバプールを望みたい。ペップシティ2年目に完膚なきまでに破壊された日をいまだに忘れていない。いつか、このチームをギャフンと言わせる試合をシティに望んでいたので、今の破茶滅茶配置のリバプールに勝ったとしても、それは真の意味でシティが覇権を握ることにはならないと思うのだ。

 

次節、最高のLIVとの最高の試合に期待する。