牽牛星のよろず日記

自分の興味あることを思うがまま記述したいと思います。

ゲートを巡る『抑圧』と『解放』の物語(ストレンジャーシングス評論)

 

第1章 筋

 

S1 Should I Stay or Should I Go

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1-1 ウィルの失踪

 

1983年インディアナ州ホーキンス(架空の町)、フクロウが老婦人の頭に巣だと勘違いして飛び込んだ事が最大の事件という平和な町に住む中学生マイクはダンジョンズアンドドラゴンズに熱中するヲタク少年。

 

ある日、同級生のウィル、ルーカス、ダスティンと夜遅くまでゲームをして遊んでいた。会はお開きで帰路に着く友人達、その帰り道ウィルは何者かに襲われ失踪する。

 

我が子の失踪に動転するウィルの母親ジョイスと兄ジョナサンに対して真剣に取り合わない保安官ホッパー。友の捜索を開始するマイク一行が雨の森の中で見つけたのはウィルではなく、ホーキンス研究所から逃亡を図った少女だった。

 

その少女の腕に011というタトゥーを見つけイレブン(エル)と呼称し、ろくに口も聞けない少女を訝しげに見ながらもマイクは自分の家で匿うことにする。ルーカスはエルを受け入れず匿うことに強硬に反対。その中でエルの念動力の存在が明らかになる。

 

ウィル失踪の深刻さから大々的な捜索隊による公開捜査を始めるホッパーは同時に発生した飲食店店主の自殺事件も捜査し始めた。マイクの姉ナンシーは恋人であるスティーブとのお泊まり会に出かけるため、勉強会と両親を偽る目的でバーバラと共にスティーブの元へ行く。

 

ウィルの捜索活動中に偶然ナンシー一同を発見するジョナサン、手持ちのカメラでおもむろに手持ちのカメラで撮影しているとバーバラが顔のない怪物に引き込まれ消失する。エルはウィルの居場所を知っているそぶりをし、マイク一行は希望を抱く。

 

1-2 希望と絶望

 

ナンシーとスティーブが一夜を共にし帰宅、ホッパーはホーキンス研究所に何かあると疑い捜査を加速させる。ジョイスは家で電球が不自然に点灯する様々な特異現象に遭遇する。バーバラは行方不明となり謎が増えていく中、森の中の川からウィルの遺体が発見される。

 

我が子の死を受け入れようとしないウィルの母ジョイス、希望を失いエルに辛く当たるマイクだったがウィル生存の可能性をエルが示し希望を抱く。バーバラの捜索参考人聴取でナンシーの嘘がバレてしまう、そしてウィルを送る会がホーキンス中学で実施され、悪態をつきウィルを愚弄したいじめっ子をウィルが押し倒し、エルの念動力で大衆の面前で失禁させる。

 

ダンジョンアンドドラゴンズの”影の谷”のような現実世界の鏡像世界にウィルは引きずり込まれたのではないか、と仮説を立て、ウィルは探索作戦を立案する。

 

ホーキンス研究所に乗り込み違法捜査ギリギリの潜入を開始見つかり気絶させられ気づくと自身の家に寝ていた。ジョイスは半狂乱気味にウィルの生存を主張し続ける。ナンシーはジョナサンと共にバーバラ捜索を開始、マイク一行は裏側の世界に取り残されたウィルを探す方法を模索する。

 

裏側の世界と通じるゲートの膨大なエネルギーに気づき、方位磁石を利用して磁場の乱れた部分を探し求める。ゲートの先の世界にいる怪物を知るエルは捜査を妨害、そのことに気づいた一行は仲間割れ、ルーカスは怒り仲間の元を去り、エルも消える。

 

1-3 裏側へ

 

エルは単独行動を開始、ホッパーとジョイスはホーキンス研究所の特殊実験の被験者に会いに行きそこで組織の不可解さに疑いを深め、ジョナサンとナンシーはバーバラを見つけるために裏側の世界の入口を見つける。そこは現実の鏡像のような世界で顔のない怪物を見つけ命からがら逃げのびるも、次の遭遇に備え武器を調達する。

 

ティーブはバーバラ事件を真剣に受け止めない間に自分から心が離れていく様を受けて、幼稚な落書きを書きナンシーは激怒、スティーブをジョナサンがタコ殴りにし警察に捕まる。そこで怪物退治のために購入した武器を警察が見つけ署に連行する。

 

一方マイクとダスティンは不良少年に仕返しを喰らいそうになるがエルが加勢し追い返す。そしてエルは裏側につながる世界とのゲートを開いたのは自分であり自分こそが怪物だと告げる。しかしマイクは友人であり恩人だと感謝を示す。しかしホーキンス研究所の追っ手はエルを取り返すために動き出していた。

 

エルの念動力で追っ手をまき、ルーカスはエルを認め疑念を反省し謝罪する。逮捕された息子ジョナサンと合流したジョイス、ホッパーとナンシーと4人で子供達を探し合流し、エルの探査力でバーバラの死、ウィルが裏側での生存を確認し、ジョイスとホッパーは研究所へ行く。

 

研究所の存在を隠蔽することを目的にホッパーとジョイスはゲートの向こう側へ。そして体育館で避難していたウィル一行に研究所の追っ手が迫るも、同時に裏側の怪物デモゴルゴンが襲撃する。襲撃はナンシーとジョナサンにも降りかかるも無事に切り抜ける。

 

心肺停止のウィルを見つけるも、自身のかつて幼くして死んだ娘をリフレインさせながら必死に救命するホッパー。そしてウィルは息を吹き返し帰還する。そしてウィル、ダスティン、ルーカスに襲い掛かるデモゴルゴンを力を振り絞り撃退するも裏側の世界に消えていくエル

 

ウィルが消えやってきたエル、エルが消え帰ってきたウィル。まるで上下反転した世界が到来しクリスマスを楽しむホーキンスでの物語は幕を閉じる

 

 

S2 Ghostbusters

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2-1 ホーキンスへようこそ

 

ウィル失踪事件から約1年。ハロウィンを間近に迎えたホーキンス。引っ越してきたマックスとビリー兄妹。マックスはマッドマックスの名前でゲームセンター荒らしと化し、ビリーはスティーブの校内イチの人気者の立場を揺るがし、ジョイスはボブと交際を始め、平和な日々が流れていた。ウィルの様子を除いては。

 

ウィルはPTSD以上の何かに苦しみ、バーバラ死亡を知るナンシーは自責の念に駆られ、マイクはエルを恋しがった。ナンシーはスティーブと距離を置きジョナサンに接近。ダスティンはゴミ箱の中から不思議な生物を見つける。そしてエルはホッパーに匿われ軟禁状態ではあることに不満を抱えていた。

 

ジョイスウィルの異変の正体を調べるために動き出し、ホッパーは研究所の周辺で起こる怪奇現象を調査していた。エルはホッパーの言いつけを無視し出歩きマイクらを遠くから見つめる。その過程で住人に目撃されホッパーは激怒し関係は険悪になる。

 

ウィルは突然失神したり体が冷え切っていたり明らかに様子がおかしい。ウィルの書いた絵を分析すると何かの模様のような様相を呈していた。マックスには情報を与えようとしないマイクの姿勢に反感をマックスが抱き亀裂が入る中、エルは自身の生みの親に会うために歩を進めていた。

 

2-2 それぞれの戦い

 

ナンシーとスティーブは研究所職員に捕まるも事情を説明される、バーバラを死へと追いやる原因となったゲートを開いた研究所の消滅と破壊のため陰謀論者のマレーに暴露を持ちかける。一方ダスティンが見つけた小動物はデモゴルゴンの幼生であり飼い犬を食い殺しているところを見つける。そしてホッパーは裏側の世界への入り口を探していた。

 

影の怪物との繋がりを持ってしまったウィル。ダスティンは自身の育てたダートことデモゴルゴンの処分を考え地下室に幽閉する。マイクとジョイスはウィルを救うべくウィルの残した暗号の回答をボブに持ちかけ、それはホーキンスの地図なのではと考えた。

 

マックスに1年前に起こった出来事をルーカスが打ち明け、その頃地図の示す方向へ向かうウィルとマイクとジョイスとボブ、その先でツルに巻き込まれて動けないホッパーを見つける。その時、研究所職員に保護され、ツルを火炎放射器で燃やすとウィルも焼け付くような痛みに悶え苦しみ出した。エルは自身の出生と母親の身に起きたことを知り、悲しみに暮れる。

 

ダスティンは一人では手に負えずスティーブの手を借りる。ルーカスは告白した昨年の出来事を信じないマックスに証拠を見せると言って、異常な過保護のマックスの兄ビリーの目を掻い潜って連れ出す。ウィルはウイルスによる神経障害を起こしていて怪物の一部が残ってしまっているのでは、と研究所職員が説明する。

 

デモゴルゴンを誘き出し殺す計画を立てるダスティン、スティーブ、マックス、ルーカスの4人にデモゴルゴンの群れが襲い来るも突然向きを変え移動していった。その頃ウィルの助言をもとに裏側の世界に研究所の職員が向かうも、それはウィルを通した影の怪物の罠だった。

 

2-3 迫り来る怪物

 

エルは自分と同じ境遇だった008カリの率いる強盗団に接触し、姉と慕い強盗団の一味として研究所において研究に関わり多くの人生を台無しにしたもの達への復讐のために活動することを決意する。しかし殺害までは出来ない自分自身の迷いも抱いていた。そして愛するマイクの窮地を遠隔透視で確認し、ホーキンスへの帰還を決意する。

 

研究所ではゲートをくぐり、次々とデモゴルゴンの群れが襲い来る、そしてボブが電子系統の修復のためデモゴルゴンで溢れた中を掻い潜る。マックスが外出から帰ってこない事を父親に咎められたビリーは恐怖に怯えながらも服従する。

 

マイクとウィルを追いかけてきたナンシーとジョナサン、デモゴルゴンが走っていった先を追いかけてきたスティーブ、ダスティン、マックス、ルーカスの両組が合流。しかし研究所ではボブが電気系統のリプログラミングに成功するもデモゴルゴンに襲われ命を落とす

 

研究所の職員が全員抹殺された中を命からがら逃げ延びた一同は、デモゴルゴンを破滅させるためには、脳となっているマインドフレイヤーを殺すことを考える。そのために繋がっているウィルの利用を思いつく。マインドフレイヤーにバレないようにモールス信号の利用によりメッセージを受け取るも、敵方に勘付かれる中で、一同の前にエルが帰ってくる。

 

エルとホッパーはゲートを閉じるために移動し、残された一同のもとにビリーが襲撃するも鎮静剤を刺し”もう2度と関わらない”とマックスと約束し横たわり、ジョイスとジョナサンとナンシーはウィルを高温条件下に置き取り憑いていた怪物の一部を除去することに成功する。そしてエルは死力を振り絞りゲートを閉じる

 

そしてクリスマスが再び訪れる。スノーボール(学祭パーティ)会場で平和に包まれた中、幸せを噛み締めながら物語は幕を閉じる。

 

 

S3 Neverending Story

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3-1 続かない平和

 

年が明けて夏、マイクとエル、マックスとルーカスは恋人となり幸せな日々を過ごしていた。一方スターコートモールではスティーブはロビンと共にアイスクリーム屋で働く毎日を過ごし、ジョナサンとナンシーは新聞社で働いていた。しかしその陰でソ連はゲートを開け、そのことによって静かにしかし確実に彼らの生活に惨劇が近づこうとしていた

 

ダスティンはモルモン教徒のスージーという彼女がいて、マイクにはエル、ルーカスにはマックスとそれぞれが大人に変わっていく中で、一人残された孤独を感じるウィル、仮想娘の将来を心配するホッパーは苦い顔を浮かべていた

 

ホッパーが脅しマイクとエルの関係にヒビが入り、プールの監視員のビリーは帰りに襲われてしまい怪物に寄生される。ダスティンはソ連の暗号を傍受し解読を試み、暗号はモールの中の場所までの行き方を示していた。そして寄生されたビリーはヘザーを襲い寄生する。寄生はナンシーとジョナサンの取材相手だったドリスコルさんにまで及んでいた。

 

ヘザーとビリーが危機に瀕していることを感じたエルとマックスはヘザーの家に行く。するとそこには元気なヘザーとビリーがいた。しかし、エルとマックスの帰宅後、何も知らないヘザーの両親はビリーによって寄生されてしまう。磁気異常を見つけたジョイスの助言を受けゲートの開放を疑いホッパーは捜査するも、その中で何者かに襲われてしまう。

 

3-2 宿主の暴走

 

危機が迫っている事を感づくマイクはダスティンを除く放送部メンバーを招集しビリーが宿主なのではないかと疑い確認するために高温条件下での挙動観察を提案する。ホッパーは市長に暴力を振るいゲート開放疑惑土地売買に関する情報を力づくで入手する。暗号解読班はルーカスの妹であるエリカを仲間に引き入れて狭いダクトの中を進み、解決を図ろうとする。

 

暗号解読班はエリカの助力を得るもエレベーター内に閉じ込められ何とか脱出するも巨大な迷路のようなロシア人基地を見つけ、ビリー捕縛班はビリーが宿主と断定しエルの力で撃退する。ジョイスとホッパーは当該土地へ向かいロシア人テロリストと対峙し、その過程でロシア人科学者アレクセイを捕まえる。

 

ジョイスとホッパーとアレクセイ班(チームA)

ダスティンとエリカとスティーブとロビン班(チームB)

放送部メンバーとジョナサンとナンシー班(チームC)

 

3チームはそれぞれの目的のために行動を開始する。

 

チームAは陰謀論者のロシア語話者マレーを引き入れ、チームBはロシア人基地を突き進み司令室に入るとゲートを見つける敵に発見され拘束される。スティーブとロビンはダスティンとエリカを逃す。チームCはヘザーの家に向かい只事ではない何かが起きていることを確信しドリスコルさんの病室へ向かうと宿主となったヘザーの父が襲いかかってくるも撃退する。

 

3-3 2度目の封鎖

 

チームAでは開いたゲートを閉じることを考え子供達の居場所を知るため祭りに沸くホーキンスを訪れることに。祭りを全力で楽しむアレクセイはロシア人兵士によって殺害される。ホッパーも襲われるが間一髪で逃げ延びる。

 

チームBでは拘束された年上組を救助するため年下組が奮闘し救助に成功その後年上組は吐き気を催しトイレへ駆け込み一通り吐き終わった後でロビンは自身が同性愛者であると告白

 

チームCではエルの透視でビリーの過去を知った刹那に触手が襲ってくるもエルの力で撃退し命からがら逃げ延びる。

 

チームBはロシア人兵士部隊に追い詰められるもチームCが合流しエルの力で部隊を壊滅させることに成功、しかし脚部に入り込んだ触手をエル自ら苦しみに喘ぎながら取り除くことに成功した刹那、チームAが合流する。

 

そしてチームAはゲート破壊に向かうため基地に変装して潜入ロシア人兵士をホッパーが撃退、チームBは電波塔へ向かいスージーに通信しコードキーであるプランク定数を聞き出し、チームCはモールで待機している中ビリーとマインドフレイヤーが襲い来るもエルは力を消失しており、花火を浴びせ続け反撃し正気を取り戻したビリーが身を挺して子供達を守る。

 

そしてゲートを閉じ、マインドフレイヤーは完全に沈黙、ホッパーは爆風に巻き込まれ姿を消し、ビリーはこの世を去る。騒動がひと段落したある日、バイヤーズ家とエルはホーキンスを引っ越す。そこでエルにホッパーからの手紙を見つける。

 

それは手紙ではなく、マイクとエルの親密さに戸惑いホッパーが話し合うために作っていた台本だった。遠く離れていくようなエルへの寂しさ、大人になっていくエルに変わってほしくないという思いが綴られていて、最後には扉を8cm開けておいて欲しいと書かれていた。

 

2年前、ずぶ濡れのエルはマイクに服を借りた時、不安がって扉を完全に閉めないでほしいと願い出ていた、そんな少女が扉を開ける事を嫌がるほどの大人の女性になった。しかし開いていたのはエルのいる部屋だけではなかった。

 

”ゲートも開いていた”のである。

 

 

S4 Running Up That Hill

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4-1 変わるもの

 

高校生となったホーキンス高校放送部。未だにリーダーである留年生エディ率いるボードゲーム同好会ヘルファイアクラブでヲタ活に勤しむマイクとダスティン、引っ越し先で高校生活を過ごす能力を失いカースト下位に沈むエルとウィル、ピザ屋のアルバイトであるアーガイルと友人関係になったジョナサン、馬鹿話に花を咲かせるスティーブとロビンは変わらぬ日々を送っていた。

 

しかし、ルーカスはダサいヲタクを辞めバスケット部で人生を変えようとし、恋人だったマックスはビリーの死のショックからPTSD気味、そしてジョイスの元にはマトリョーシカ人形が送られてくる、そこにはホッパーの生存を知らせるメッセージがあった。エリカを引き入れたヘルファイアクラブが盛り上がりを見せる中、バスケ部でヒーローとなったルーカスは一抹の寂しさを感じていた。

 

エディが麻薬を売ろうと思っていた売却相手クリシーは突然宙に浮き惨殺されエディは恐怖のあまり逃亡してしまう。エルとバイヤース家の疎開組と再開するマイク。スケートで楽しむがいじめっ子のアンジェラに腹を立てたエルはスケート靴で殴打する暴力事件を起こす。そして宙吊り殺人は新聞部のフレッドに至り、この一連の殺人に関係しているとして捜査対象だったエディをダスティンとマックス、スティーブとロビンは見つける。ロシアで強制労働施設に監禁されたホッパーを救うため、ジョイスはマレーと共にエンゾという男と取引することに。

 

エルは留置所に送られるもオーエンズ博士がネバダの施設に移す。その時マックスも宙吊り殺人の予兆を見るようになっていた。そしてヴェクナによる最初の事件を突き止めナンシー、ロビン、ダスティン、マックス、スティーブは捜査を開始する。そこにルーカスも合流する。最初の被害者ヴィクターからの聴取で音楽がヴァクナからの解放に寄与すると見つけ、宙吊り殺人間近だったマックスをRunning Up That Hillを聴かせることで救済する。

 

マイク、ウィル、ジョナサン、アーガイルのエル奪還班(A班)

ダスティン、マックス、ルーカス、スティーブ、ロビン、ナンシーの調査班(B班)

ジョイス、マレーのホッパー奪還班(C班)

 

4-2 001の覚醒

 

感覚遮断タンクに放り込まれたエルは過去を追体験する。

 

特殊能力を持ったナンバーズの子供たちの中で011エルは、001の助言である過去の辛い寂しい記憶が力を与えるという言葉を倣い一番の出世株となった。しかし、そのことを面白く思わない002はトラブルを起こし、エルの襲撃計画の存在を感知し、001は逃すために協力することを誓う

 

001の力を抑制していたチップをエルの力で取り除き、001の助力を得て脱出しようとするも踵を返して研究所に戻ると他の被験者を皆殺しにした001がいた。そこで001はホーキンスのヴィクター家の長男であり弱者排除の適者生存論を唱え殺人者となったことを述べ選民による世界の支配への願望を告げる。

 

エルは騙されたことへの怒りから、001を焼き潰しゲートを開いてしまい裏側の世界へと追いやってします。そこで001はヴェクナという怪物へと変貌を遂げた。

 

A班はエルの居場所を調べるためにダスティンのガールフレンドのスージーに助けを求め、B班はヴェクナ最初の殺害事件の現場であるヴィクターの屋敷を訪れた後にラバーズレイクから裏側の世界に入る。そしてC班はホッパーを救出するために収容所急襲計画を考える。

 

B班は表側にダスティン、マックス、エリカ、ルーカス、裏側にナンシー、スティーブ、ロビン、エディに別れ、それぞれの世界で交信する。C班では収容所にホッパーを見つけ、内通者ユーリと共に救出する。

 

そしてクリシーの恋人だったバスケ部キャプテンジェイソンはホーキンス市民への警察の一連の殺人事件の説明会の場で、一連の殺人事件はエディーを中心とするヘルファイアクラブが主導した悪魔崇拝による猟奇的集団的反抗と断定し騒動を起こす。

 

 

4-3 始まり

 

エルは過去を知り、そしてゲートはただの亀裂に過ぎず、後に決壊しヴェクナによって裏側の世界と表側の世界のバリアは完全に破壊されるという暗黒の未来を聞かされ、ホーキンスに帰ることを望むも、米軍特殊部隊によって急襲される。そこにA班が合流。戦闘の最中にエルの遺伝子上の父親”パパ”は死ぬ。

 

A班は感覚遮断タンクを使ってマックスの心の中に入ることで001と戦闘する計画を立てる。B班はキャンピングカーを盗み決戦に備えて武器の調達し、ヴェクナの抹殺計画を開始する。C班はもう一度収容所に戻りデモゴルゴンの抹殺を計画する。

 

マックス、ルーカス、エリカはヴェクナを挑発し出現を促す。そこに怒れるキャプテンであるジェイソンが殴り込みにくる。そしてナンシー、スティーブ、ロビンはヴィクター邸に乗り込み、ダスティンとエディは裏側の世界へ向かう。

 

劣勢に立たされる各位。マイクの”君は僕のスーパーヒーローだ、戦え”というメッセージを受けてエルが反転攻勢に打って出る。形勢は逆転し見事にヴェクナを撃退し危機は過ぎ去ったかに思えた。しかしエディは死に、マックスは植物人間となってしまい失ったものを嘆いていた刹那、ホーキンスは大地震に見舞われる

 

亀裂は遂に決壊した。暗黒がホーキンスを包む中で物語は幕を閉じる。

 

 

第2章 考察

 

2-1 80s脱構築

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ストレンジャーシングスは80年代から90年代前半の音楽がふんだんに使われ、世界観やデザインも多分に影響を受けている。影響を受けていると思われる作品は

 

『炎の少女チャーリー』(1984)、『ET』(1982)、『ゴーストバスターズ』(1984)

エルム街の悪夢』(1984)、『IT』(1990)、『マッドマックス』(1979)

『スタンドバイミー』(1986)、『スターウォーズ』(1980)、『グーニーズ』(1985)

ターミネーター』(1984)、『未知との遭遇』(1977)、『エイリアン』(1979)

 

といったところが列挙される。ここに書ききれないくらい様々な音楽や作品の要素を抜き出し現代にも通用する部分だけを用いて再構築した作品、それがストレンジャーシングスだ。

 

立ち位置としてはエヴァンゲリオンに近く、エヴァが70年代80年代のアニメや漫画のエッセンスを解体して作り直したリミックス作品だったように、米国におけるエヴァ的な立ち位置でストレンジャーシングスはクラシックとして受容されるかもしれない。

 

エルの襲来を異星人の襲来となぞらえればETのように見えるし、少年少女の群像劇も極めて80年代の匂いを感じさせる。だからこそ血も涙もないことを言うとオリジナルな新規性をほぼないと言える笑。

 

ただ、この脱構築リミックス作品が僕は大好物なのでドンビシャにハマった。ただ、この80年代の雰囲気を再現するのはJJエイブラムスが2011年にスーパー8という作品でチャレンジしており、その他にも同様の手筋の実験はあった。

 

しかしネットフリックスの巨大資本によって1話あたり製作費を40億円注ぎ込めるといった優位性によって、この計画を成功に導いた。個人的にはネットフリックスは、このように新規性を追うのではなく、既存の計画に対して方向性は丸パクリで資本を投下することで根こそぎ成功をもぎ取るやり方が良いと思う。これからもネットフリックスには、このような既存価値体系への資本投下を軸とした作品作りをしてもらえることを願う次第だ。

 

 

2-2 少数者の戦争

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ストレンジャーシングスの舞台となった80年代のアメリカ、81年から89年までの2期8年を全うしたレーガン政権の時代。アメリカとソ連の冷戦の時代でありアメリカから見たソ連レーガンの言葉を借りるなら”悪の帝国”だった。その悪の帝国を解体し社会主義体制や反ゲリラ的思想にも攻撃的な政権であった。

 

そして、レーガン政権の中でも印象的な出来事が”エイズ”に対する政策だ。1981年に報告された後天的免疫不全症候群、通称エイズに対してレーガン政権は消極的な態度で公衆衛生の強化に乗り出さなかった。その結果、大量の感染者と死亡者を出すことになった。

 

このエイズ封じ込めに対しては、特にアメリカ保守層からは”エイズはゲイの病気”とされ、感染を言うことはゲイであると思われるのでは、という恐怖感から言い出せないこともあったそうだ。そしてエイズの流行を広めているのは性的少数者である、という誤った言説が流布し当時の同性愛者は自身の性的指向をカムアウトすることが極めて難しい時代であった。

 

この”ウイルスとマイノリティ”がストレンジャーシングスの隠れたテーマだ。カーストの下位のいじめられっ子、障がい者、ヲタク、ゲイ、レズビアンといった社会から抑圧され続けた人々が世界を救う物語、それがストレンジャーシングスだ。

 

裏側の世界からの襲来者が次々とフレイしていく様は感染病の流行というパンデミックに付合するし、変人がパンデミックに打ち勝つというある意味、今のコロナ禍とバチバチに合っているのは80年代を描いているのに不思議な縁を感じる。

 

そして、この物語は米国に限らない。日本でも数十年前まではヲタクが犯罪者予備軍として扱われていた。しかし今はどうか。アニメ映画が興行成績上位を独占し、アニメの売り上げや集金能力は社会を変容してみせた。あの時迫害されていたヲタクは日本の価値観を変えてみせたのだ。その意味でも決してローカルな物語ではなく、極めて一般性の高い物語がここにあると断言できる。

 

 

2-3 S5の予想

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2-2でも書いた通り、ストレンジャーシングスは抑圧された人々の戦争を描いている。物語の構造は常に一定で、一つの目的(ホーキンスを救う)にために複数の班に分かれて行動し同時並行的に進む形をとっている。

 

いつも日常パートから始まり、数人の新キャラが登場し、緩やかに裏の世界からの襲来が始まり、そして危機を察知して、いつものメンバーで世界を救済する。4年連続4度目の世界救済となっているわけでホーキンス名誉市民として表彰されていないのが不思議なくらいだ。

 

シーズン3とシーズン4は設定上は数ヶ月しか空いていないのだが、コロナ禍の影響もあって収録が出来ず、結果として3年空いてしまったので明らかにズレを生じている。ダファー兄弟もこの辺は修正を加えると宣言しており、次のシーズン5は数年後という設定で作ると宣言してもいるので、放送部メンバーも高校卒業くらいのところまで時間を進めるかもしれない。

 

物語のこれまでの傾向を見るに、ヴェクナ戦から数年後の世界で震災からの復興の進むホーキンスに人も戻ってきつつある、そんな中で、また緩やかに暗黒が始まり、復活したヴェクナとの戦いが描かれると予想する。そしてウィルである。ヴェクナとの繋がりが消えないところも気がかりだ。ウィルが闇落ちする可能性も十分あり、ウィルを倒さなければヴェクナを倒せないという鬱展開を持ち込む可能性もある。

 

ただシーズンのこれまでの傾向を考えても、最後はヴェクナを倒して大団円になるはずで、そこに至るまで何人のメインキャストが退場するか、である。

 

何はともあれネットフリックス史上最高傑作の脱構築アメリカンドラマの最後が素晴らしいものになることを祈っている