牽牛星のよろず日記

自分の興味あることを思うがまま記述したいと思います。

Butter-Fly(23/24MCI選手名鑑+α)

 

 

第1章 23/24MCI選手名鑑

 

1-1 コア

 

ハーランド

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待望の最終生産者にして、ペップシティ第3時代の主人公。耐久力の低さも解消されハイクオリティなプレーを毎度披露、スペース急襲とゲート破りからの強烈な左足シュートで加入初年度からチームのアイコンとして初のCL制覇に貢献。意外だったのはペップがハーランドの最大化を用いて最終生産過程を建築するのではなく、絶対個がいるので後ろに選手を置いておけるというメリットから守備強化に着手したことだ。

 

デブ神との2トップ最大化カウンターシステムの建築とネガトラ対策を取り込むためチームは4局面網羅型へと移行した。ハーランドが囮となることでゼロトップ時代の攻め手を活用する”捨てハーランド”戦略を選択した昨季終盤、ゴールから離れる試合が少なくなかった課題を残し今季に突入した。

 

ルベンとハーランドに関してはUT起用することはなくスペシャリストとして活躍することが求められるだろう。何回ハットトリックと幾つの個人タイトルを獲得できるか。今季前半は相棒のデブ神不在となるが2年連続の栄光に期待がかかる。

 

デ・ブライネ

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”7年だ、7年でついにやったぞ”

 

CL優勝後のペップはデブ神を抱きながらそう話した通り、ペップシティの生き字引にして最古参の大黒柱は騙し騙し続けてきた肉体疲弊が限界を迎え、ついに手術に踏み切り今季前半は全休の模様である。

 

ボールを奪ってからの前線へのドライブ、そこから抜群の制球力で急所に送り込む必殺のスルーパス、サイドに流れてからの精密なクロス、ゼロトップ時代に身につけた積極的な得点奪取の姿勢、現代最高のMFに求められるものはいかに健康体を維持し続けられるかである。

 

ギュン退団に伴い、ギュンが担った攻撃時IH守備時ボランチのロールを引き継ぐ可能性もあり最終的にはこれで落ち着きそうな気もする。WGにコンバートする可能性もあるが何にせよ残された時間を出来るだけ伸ばすためにも、ポストデブ神時代を考える上でも今季前半は重要な時間となることは間違いない。

 

ロドリ

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支配層4番。世界に誇る最高のピボーテと名実共に成長した。落ち着いたパスワークはもちろん後方のCBが上がったことで生まれる4-1バックのCB跡に上がってくるエデルソンの協調も見事にこなし、パスが途切れないようにいてほしいところに確実に移動してボールを円滑に回すだけでなく、前線が膠着していると見るや否や加勢しミドルシュートで試合を決めるクラッチシューターとしても活躍している。

 

CL決勝でも前回の決勝で出られなかった雪辱を晴らすようにクラッチシュートでチームに栄光をもたらした。気になるのは酷使具合で、事実上2年連続で控えなしである。2年前の控えは衰えたジーニョ、昨季の控えは構想外ギリギリのフィリップスというすき家もビックリのワンオペが続いており至急プロテクターが欲しいところ。

 

ヌネスとコバチッチが4番をこなせれば重要度の低い試合ではロドリを休ませることも出来るだろうし、リコも4番起用はあるかもしれない。もう正直ロドリに関してはあったかくして寝ろよ以外の助言がないので、控えが定まることに期待したいものだ。

 

ルベン

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距離感を詰め、絶妙なタイミングでスライディングでシュートブロックし、周囲の選手が良いプレーをすればハイテンション英会話講師のようにハイタッチで喜びを共有する根っからのキャプテン気質を見せつけるシティの門番。他の選手ほどUT起用させず後方で待機させて守備に集中させており今季も安定したプレーが望まれる。

 

昨季はリーグでの出場時間が加入最小の1997min(初年度2845min,2年目2403min)と減少してるのが気になるところ。昨季は一番良いところで帰ってきたから良いものの、後半の大事な時期に抜けるとなるとそれは非常に困る。ARSもサリバが抜けてから一気に優勝戦戦から脱落したようにCBの柱は代わりがきかないだけに慎重な運用が求められるだろう。

 

風邪ひくなよ以外かける言葉が見つからないが今季もチームの柱としてなるべく多くのなるべく重要な試合で出場して欲しいと願っている。4年目のルベンはどんなプレーを見せてくれるのか、グヴァとのコンビは世界最高のCBコンビになる可能性もあるだけに非常に楽しみである。

 

ストーンズ

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CBって一体なんなんでしょうね?

 

そんな問いが胸に去来する昨季のウルトラUTぶりだった。ルベンの相棒としてCBでプレーしたかと思いきや前述のハーランド前おるから人来んでええから後ろおってぇやということで守備力重視となったSBでもプレーし、あげく偽SBとしてロドリ脇に移動し、シーズン後半にはウインガー対策でウォーカーがRBに復帰するとストーンズはCBに戻り偽CBとしてロドリ脇へ移動。さらにCL決勝ではIHの位置まで上がってプレーしメッシ以来のドリブル成功率を記録するという。

 

正直、この男がバロンドールで良いと思うのだ。

 

CBという概念を変えつつあるペップシティの申し子は耐久力の低さという課題は持つものの一見の価値のある凄まじいプレーを見せてくれる。可変のコストを最小限にして守備力でも計算できる選手を前に押し出す形で最適な変容を可能にするという意味で怪我なく走り抜けた昨季終盤は奇跡だったのかもしれない。

 

今季もどこかで必ず離脱はするはず。そうなった時にチームをどう再編するか。ここが課題になる。偽CBが出来る選手を増やすのか、チーム構造自体を変えてしまうのか。今季の最大のイシューになるはずだ。不在の在の中でペップがどういう選択をするのかに注目が集まる。

 

ベルナルド

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何度目かのベルちゃんはやっぱりシティ辞めへんで祭りが終わった。

 

契約を延長し無事今季も残留が”確定”したわけで、というかバルサに金なさすぎて草祭りが実態なのだが、そもそもRWGとIHに選手が揃ってるバルサがなぜ欲しがるのか謎でしかない。それは例えばシティがハーランドがいるのにレヴァンドフスキを狙うくらい奇妙な話である。

 

ピッチに話を移すと昨季のWGに求められた独力での陣地回復と抜き切らない技術をRWGで体現したのがベルナルド、マドリー戦でのゴールなど決定的な仕事もこなしチームには欠かせない選手。昨季はLSBもこなすなど幅も広げ延長した契約を全うするか注目が集まる。

 

マフレズがいなくなり控えはドクというドリブラーが来たが性質が違いすぎるだけに使い分けには問題ないはずだ。ギュンのこなしていたロールへのコンバートもあるかもしれないが間違いなくチームのコア選手としてこれからも地に足つけ頭雲抜け頑張って欲しいところである。

 

グリーリッシュ

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右の抜き切らないWGベルナルドの左右互換版として昨季コア扱いとなった一億ポンドの色男は1年で評価を変えてみせた。スタイルを変えたわけではなく、チームの構造が代わり評価基準が変容しただけなのだ。ペップシティではよくあるが、突然コアから外れたり(サネ、カンセロ)、突然コアに昇格したり(グリ、アケ)といった現象がグリに昨季起こっただけである。

 

ボールを失わないキープ力。相手と正対しボールを独力で運び切る能力は昨季は非常に重宝した。そして何よりもあれだけのファールを受けながらも怪我の少ない部分も評価出来るポイントでゴールアシストという直接的なKPIへの貢献の少なさが批判の的になるがチャンスクリエイト能力や前述した抜かないWGとしての価値は非常に高く今季もコア選手としての活躍に期待される。

 

優勝後のパリピぶりは心配になるレベルで普段はここまで酒に溺れることはないと思うし節制もしているとは思うが選手寿命を考えるとあまり良くはない。プレースタイル的にもファールを受けやすく、その蓄積はネイマールのようにプレータイムの減少に繋がる可能性もあるので、気になるのはそこくらいだ。

 

グヴァルディオル

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現状のディフェンダープロスペクトランキングトップに君臨する将来の支配層左利きディフェンダーの獲得に無事こぎつけた。ロマーノ確定報道からすったもんだあったが何とか入団に成功。安定した足元のテクニック、落ち着いた処理、前線に上がっての加勢に飛び出して潰す対人守備。メッシくらいしかデュエルで抜けなそうな将来性もたっぷり残した逸材の確保にシティは成功した。

 

問題はどこでどう使うか。CBでルベンと組ませるとして左利きのストーンズ的に偽CBをやらせてみるか、LBで守備的サイドバックとして運用するか、偽SBでロドリ脇に入れてみるか、LSBからサイドを駆け上がらせて大外を取るか。色々なことが出来るだけに運用予想も捗る

 

昨季の形を変容せずに行くなら可変のコストをミニマムにするためにCBのボランチ化をしたいのでストーンズ不在時はグヴァの偽CBが発動できるととても大きいし、それができればストーンズとグヴァのダブル偽CBでの23ビルド形成も可能になるので幅も広がるのでとても面白い。出来たら偽CBをこなせるようになってほしい。

 

エデルソン

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ここ数年、特にオルテガ加入時から正守護神への批判は若干ではあるが強まり続けている。イージーミスやいとも簡単にシュートを決められてしまう姿から不調なのでは?と見られることも少なくないが、個人的にはこれはチームのゼロストライカー時代の弊害なのではないかと見ている。

 

というのも練習時からワールドクラスのストライカーのシュートを浴びていれば良い模擬試験になるが残念ながらシティはアグエロの体調不良期も入れると3年ほど純正ストライカーなしで戦っていた、だからこそ練習時に浴びるシュートの質がワールドクラスのそれではないことからパフォーマンスレベルの低下を招いたのではないかという仮説である。

 

昨季にハーランドが加入し、CL決勝ではエデルソンは危なっかしいミスもあったものの後半にはきっちりと修正しナイスセーブを見せていたので、今後この仮説が正しいかどうかじっくり見極めたい。

 

1-2 準コア

 

アカンジ

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高級UT選手をまさかこんな額で取れるとはと何度も昨季に感嘆したものだ。CBをこなしたかと思えばRBをこなし、時にはLBもこなす。SBとしての攻撃参加に加えて今季は偽CBにも挑戦。シティの”ナチョ”として後方のUTとして十二分に計算が出来る。

 

ただ今季初頭に怪しさを漂わせるプレーをする時もあり、昨季は一時はコアスタメンクラスの起用をしたことによる疲弊なのか。ただストーンズ不在時の偽CB候補として計算が立つようになると大きいので、このチャレンジを成功させて欲しいと願う。

 

今後のシティの展望としては

ハーランドのようなワールドクラスのコア

アカンジのような高級UT

 

この2種類の選手で構成されるチームを作る構想と想定され、後者の代表格としてシティのコンテンドを支える活躍に今季も期待したい。

 

 

フォーデン

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デブ神離脱後、最も期待されている選手の1人。昨季は442と433の可変系に順応するために守備時ボランチ攻撃時IHとなるギュンがコアとして起用されたこともあり、そこの穴埋めをしようにもフォーデンは守備時ボランチが出来ず、WGとして使われた際にも相手を押し切る抜かないドリブルの呼吸を身に付けられず”代打”起用が続いた

 

デブ神がCL決勝で怪我離脱した際に交代選手として入り343システムの10番としてライン間でターンして一気にゴールに迫るなどワールドクラスの片鱗を見せていただけに決勝同様デブ神の離脱後の”顔”としてIHに君臨させたいところだ。ただペップの起用法を見ているとIHで使うには厳しいと判断しているのかWGで絞らせる起用が軸になるか。

 

昨季の形を継承するならデブ神役をフォーデンにやらせるのは一番しっくりくると思うのでIHでの起用を可能にするプレーに期待したい。WGから絞らせるにしてもSBをオーバーラップさせることが難しい編成なので、IHフォーデンが切り札になるのではないだろうか。

 

ウォーカー

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昨季は難しいシーズンだった。シーズン当初はダブル偽SBとして235可変を助けようとするも3回に1回はポジションを間違えてしまう悪癖からチームのバランスを崩してしまうとしてペップからも偽SB失格の烙印を押された。調子も上がらない中でリコの台頭、CBのSB起用で序列を大きく落とすことになってしまった。

 

しかしCLノックアウトラウンドも佳境に差し掛かると、ドリブルストッパーとしてバイエルン、マドリー相手ではすっかりレギュラーSBに復帰。何食わぬ顔で俺がスタメンっしょという帳尻合わせを見せるもののCL決勝では守備固めとして最終盤途中出場のみに終わった。これが何かを変えたのか、バイエルンへの移籍が突如として浮上。しかしペップとの会食で何かしらの話し合いがあったのか残留へと至った。

 

プレシーズンから一貫してコア起用され、RBでオーバーラップするなどシティに来てからの守備的RBとは異なった起用法にチャレンジしているものの相手が劣るとみるや否やイージーミスをしてしまう悪癖は相変わらず。果たしてシティで今季どう使われていくか。個人的には昨季の前半は流して後半のドリブルストッパー起用が理想的に思えるがどうなる、ウォーカー。

 

アケ

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ブレイクの仕方はグリーリッシュと同じ。特段何かを変えたわけではない。これまでのLBに要請されていたボランチ化可能なMF的素養をRBやCBに移行させたためLBに求められたのは3バック可変時のLHVの役割。サラー相手の1VS1でも優勢に立てるアケの持つ能力が輝く時が来た。

 

カンセロからレギュラーの座を奪い切ると最後までコア扱いに耐え抜きチームの3冠に貢献した。怪我の少なくない選手のため通年通しての活躍は厳しいとは言え、今季はグヴァの加入により真のコアになれるかどうか試されるだろう。

 

325可変の際、ストーンズがいれば問題なくLHVとしてプレー出来るが、ストーンズのいない場合、グヴァがLBに入って偽SBとしてプレーするようになればベンチに座ることも増えるかもしれない。昨季の活躍を続けられるか。

 

リコルイス

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シティのフィリップ・ラームとペップに評された聡明なSBとして昨季早々にブレイク。後方に屈強さを求めるチーム内トレンドからベンチへと至ってしまったものの今季はプレシーズンから違いを見せつける活躍ぶりで今季は中盤での起用もあるのではないだろうか。課題は守備面であるが、今季は昨季同様に格下相手時のRBに加えて中盤の複数ポジションをこなすUTぶりが求められよう。

 

前述した”アカンジ”サイドとしてチームのイニングイートに貢献してくれれば十分。特に控えのいないロドリのバックアップ4番として機能してほしいと切に願う。ロドリを休ませられるだけで相当大きいのでラームのように4番としての活躍が望まれる。

 

パーマーはチェルシーへと旅立ち、マカティも構想外ギリギリでフォーデンもスタメン確定ではない扱いの中戦っている。EDS出身とはいえ、シティはコンテンダー。ハーランドにもアカンジにもなれない選手は容赦無く換金されていく。この修羅のスカイブルーを生き残れるか。試される賢者ルイスの未来やいかに。

 

アルバレス

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昨季は想像以上に試合に出られなかった、というものハーランドがここまで怪我なく活躍するのは想定外だったからである。なので基本デブ神のバックアップとしてIHでの起用が多くビッグゲームではダメ押し要員としての運用が中心

 

デブ神のいない前半戦はアルバレスにとっては大チャンスであり、デブ神のリプレイスとして出場しハーランドとの2トップ起用も予想される。フォーデンも前半のキーマンになりうるがアルバレスの方が得点という部分での貢献は期待される。

 

将来的にはシルバ+デブ神の後継コンビとしてフォーデン+アルバレスのデュオの結成に向けてポストデブ神時代、ポストハーランド時代における絶対軸の構成にとって重要な期間になるだろう。フォーデンと共にシティの攻撃面での牽引を求めたい。

 

コバチッチ

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ギュンが抜けた中盤の補強選手として今季初の新加入選手となった経験豊富なMFは密集からボールを逃す術を知り、複数ポジションをこなしうるUT性も持っている。心配なのは耐久力の低さと5レーン侵入時の選択肢のなさか。

 

ギュンの担っていたロールをこなせるかというと結論から言うと不可能だろう。守備時ボランチはこなせても攻撃時のシャドーにはなれない。なのでIHで起用された時にはロドリ脇で構えるしかなく、この事が制約を与えるため(後述する)、ロドリとの併用はシーズン終盤になれば減ると予想される。

 

こなして欲しい役割としてはロドリのプロテクターとしてイニングを食いつつ、格下相手の際のIHでプレーすること。能力と経験はピカイチのため、性質のズレはあれど出来ることは少ないのでなるべく怪我をせず初年度の順応が円滑に行くことを祈りたい。

 

1-3 その他

 

ドク

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ラズとジェズスが去って同足RWGと逆足LWGの控え、そしてマフレズの退団によって純正WGが失われた。グリーリッシュの耐久力の高さで誤魔化し続けてきたが事実上控えのいないLWGとして、右の同足WGとして、要求されるものは初年度から少なくない

 

生粋のドリブラーであるが、大外を取れるSBのいない現状ではRSBとしてプレーする可能性も否定は出来ないが、これは個人的に無いと見ている。後方部隊はガチムチで固めたがる近年のシティのトレンドを考えるとそれは無いはずだ。

 

タイプとしては元バルサデンベレに近く両足のコントロールに長けており、ドリブルの試行数と成功率は既に世界でも屈指。ただ急加速を繰り返すため肉体が耐えきれず怪我が少なくないので、その点は心配。実はデンベレとペップはシティ前に会談しておりドリブラー獲得を狙っていた可能性もあると考えており、その時にデンベレが来ていたらどうなるか、そんな世界線を見せてくれる選手かもしれない。

 

ヌネス

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ペップから世界最高峰の選手、と評されたこともあるポルトガル人MFはパケタの周辺の噂から敬遠した後に突如としてシティのターゲットとなった。コア選手としての期待というよりは、イニングイート要員が現状の立ち位置と思われる。デブ神の穴を埋めつつロドリのバックアップも出来たらいいなといった具合だろうか。

 

ベルナルドも契約解除条項の存在が一部で報道されており数年での退団も考えられる。その意味でもポストベルナルド的な期待もされているかもしれない。ペップのテンションを考えると、何かしらの起用の目処があるのだろう。加入してどのようなプレーを見せてくれるか期待したい。

 

オルテガ

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ウォーカー同様、バイエルンからのオファーが届いていたそうだが残留へと至った。エデルソンのプレーレベルが下がりつつある中でスタメン起用も一部で待望されているが個人的には面白いと思う。

 

そこでエデルソンをLBで、、という狂気の提案がされるわけで笑、思えばバイエルンでペップがノイアーをMF起用しようとしルンメニゲに相手への侮辱になるとの理由で取り下げられたが現在のペップがGKのフィールドプレイヤー起用に対してどう考えてるのかは大変気になるところである。

 

グヴァ獲得もありDFラインは選手が揃ってもいるので、もう僕の夢は叶わないかもしれない。しかし、僕は諦めない。

 

これは本当にサッカー界の緊急事態だと思う、GKをフィールドプレイヤー起用しろと叫ぶ俺達がいないとサッカー界はマジで終わる。こんだけ若くて頑張っているヤツらが引きずり降ろされるのは全くもっておかしいし、そんな国にさせてはならないっていう使命感を持っています。

 

ゴメス

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フットボリスタでも自分は選手評を書いたが、やはり非保持時のプレーレベルの向上にかかっている。前線や中盤で使うにもやはり置き所はない。イニングイート国内カップ格下用でしか使い所がなく、レンタル放出でも良かったのではないだろうか。

 

大幅なレベルアップを今季求められるだろうし当人にとってここにいるのが本当に正解なのか、恩師コンパニのもとへ移籍するのもいいだろうし、外に活躍の場を広げた方がキャリアにとっても良い気がする。カンセロと間違えてバルサが買ってくれないかなと思うばかりである笑。

 

フィリップス

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ここまで構想外になるとは考えていなかった。もう4番としては計算は出来ない。出来ることはUTとしてイニングイートに貢献することだが、新加入選手のポジションを考えるとベンチ外となる可能性もある。

 

ビエルサの愛弟子のマスチェラーノ、ハビマルに続くペップチームの4番(マスチェはCB起用となったが)として機能すると考えていたのだが、ショックの方が大きい。当人はシティでのリベンジに燃えてるそうなので、その気合いがプレーに現れることにささやかな期待をかけたい。

 

第2章 イシュー

 

2-1 ポストギュンの描像

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昨季のシティが辿り着いた形は433でスタートし、攻撃時はCBストーンズが偽CBとしてボランチ化しロドリ脇に移動し325を形成する。そして守備時はストーンズがCBに戻って、IHのギュンがロドリ脇へ移動し442ブロックを形成、デブ神とハーランドの2トップを前線に置き撤退ディフェンスからボールを奪えばロングカウンターへと移行する。

 

このロングカウンターがハーランドを活かす最大の武器とペップは捉え、カウンター崩れの際の守備能力を重視する指針を策定、カンセロは外され4バックには4人のCBが並ぶこととなった。そしてSBに守備力を求めるためにWGへの加勢はミニマムとなり、その結果、独力で運び切るグリとベルがWGを務め、偽翼クワトロCBシステムへと至ったわけである。

 

このシステムの肝は2つの可変位置であるCBのストーンズとIHのギュンである。両者は可変コストが縦に1つというのがポイントで偽SB発動時よりも撤退への移行がスムーズに進むことが利点である。そしてCBとボランチを務められるストーンズ、IHとボランチを務められるギュンというコアUTを用いたコアUTポジショナル戦略の集大成とも言うべきこの可変システムでシティはCLを制覇した。

 

そしてその重要な可変ピースのギュンは退団。ストーンズも怪我で離脱も考えられるためハーランド時代2年目に来て、代替選手の獲得か、抜本的リフォームかを迫られることになった。

 

答えは未だ出ていない。しかしコバチッチの獲得ではこのギュン不在問題は解決することはできない。現状のコバチin状態における状況を整理しよう。

 

コバチをギュンの代替として使ったとする。

 

まずコバチは守備時ボランチは出来る。しかし攻撃時にギュンのようにIHでシャドーをこなすことは難しいと考えられる。なので433でスタートした布陣において可変時にはコバチはロドリ脇へと移動させざるを得ない。そうなると後方は4バック+2ボラとなり前線が人材不足に陥るために、後方から誰かを5レーンへと上げる必要がある。そうなるとSBをオーバーラップさせ、WGをハーフスペースへと移動させるしかない

 

そうなると可変コストが向上するわけである。WGフォーデンを絞らせてウォーカーを上げる形も試していたがウォーカーが壊れたら終わりであり耐久力も不安のある選手なのでサスティナビリティがあるかは疑問である。

 

なので考えられるのが

 

①ギュンロールをデブ神、デブ神ロールをフォーデン

②ギュンロールをベル、デブ神をRWGで起用、デブ神ロールをフォーデン

 

この2種類に最終的には落ち着くのではないかと見ている。もしかしたらアルバレスを組み込む可能性はあるが、これが最終的な今季の形になるのではないだろうか?

 

これであれば昨季のトランスフォームを維持は出来る。後方に関しては偽CBを組み込んだ4バックが理想でストーンズ不在時の偽CB可能選手を今のうちから準備する必要がある。アカンジでテストしているがグヴァ偽CBが本命ではないかと予想する。

 

果たしてどうなるか?

 

2-2 デブ神不在の前半

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そろそろ壊れるだろうなぁと見ていたがやはり壊れてしまった。ペップシティ3年目以来のデブ神の長期間離脱。その時に活躍していたのが2年目のベルナルドだったので今季は誰が埋めてくれるのか。2年目のアルバレスであれば面白いナラティブではあるが。

 

ただデブ神とギュンのいなくなった中盤でギュンロールを誰にやらせるかとなると個人的にはデブ神かなと思っていたのでどう埋めるのだろうか。とりあえずヌネスとコバチで試してみるのだろうが後者は前述通り厳しいはずだ。なので前者がどれだけやれるかにかかっている。個人的にはフィリップスがここでハマれば最高なのだが、彼も2年目なので頑張ってほしいが、ペップの起用を見ている限り厳しいだろう。

 

そうなるとリコルイスの起用となるやもしれない。ただ前述の通り、おそらくギュンの役割をベルナルドに任せ、フォーデンをデブ神の位置に使って、RWGに誰を起用するかここにドク、アルバレス、リコを使ってみて試すのではないかと予想する。

 

ただ遅かれ早かれポストデ・ブライネ時代はやってくる。その意味でも今回の前半戦の間の実験結果は今後の重要な資料となる。デ・ブライネ、ペップ、ハーランドがいつか退団した際にどのようなシステムを遺産として残せるか。ペップのシティにおける最後に仕事になるだろう(そんなこと言って契約延長もあるかもしれないが笑)。

 

いずれにせよ。5レーンはグリ、フォーデン、ハーランド、ベルナルド、アルバレスの並びが個人的には理想に思える。アルバレスはやはりスカッドに落とし込んでおきたい。果たして、絶対軸なきチームで誰が成り上がるか。大いに楽しみである。

 

そしてストーンズ。耐久力の低さから偽CBを出来る人選手権も開催されるだろう。アカンジ、グヴァの2人がこなせるようになることに期待したい。

 

昨季完成したシステムを継承するなら、という仮定の上で議論を進めてきたがもしかしたら抜本的にシステムを変えてしまう可能性もある。昨季は前半は実験に終始し後半に入って急速に固め出したので今季もこの力感でチーム作りを実施すると考えられる。果たしてどのような実験を施すか、どのような結果を残すか。欠落を埋めるペップ率いる狂気のスカイブルーの未来に期待しよう。

 

2-3 3冠の先

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ペップ就任時、誰もが欧州制覇に期待した。そして7年もの時間を要し、ペップシティは大耳を掲げた。ペップにとってもバルサでしかCL優勝できないと言われた批判にアンサーを与え、シティも念願の歴史のために重要なタイトルを手に入れた。

 

リーグ優勝は当たり前のチームへと変容させた後に、CLで3年連続ベスト4とCLでも安定して勝てるクラブとなり昨季は優勝。4局面総合型のマドリーライクなチームへとシティは変わった。この後はいかにCLで常勝体制を維持できるかである。コンテンダーとしてシティはCLベスト4とリーグ優勝が当たり前の強度を維持できるか。

 

シティがお手本にしていると思われるレアルマドリーの一番の凄さはブランド力でもタイトル数でもない。それは全てを取り尽くしてもなお生じる”飢え”である。何度大耳を掲げても満足することなく毎年CLだけは全力で取りに来る。勝たなくてもビジネスでは圧倒的なブランド力で集金できるはずなのに、金満クラブに財力で勝てないと見るやいなや、ワールドクラス予備軍をコレクトし、そうして集められた選手たちでCLを制覇してみせるなど、勝っても勝っても、なぜか満足することなくCLに全力投球する。

 

この特異性こそマドリーの最大の強さに思える。何もしなくても稼げるブランド力を背景にしてもなおCLを取りに行く貪欲さ、何度CLを掲げても満足せずシーズンが変わると昨季の栄光が忘れ去れたかの如く今季も勝って当然という期待度でチームに声援を送るマドリディスタの姿を何度も見てきた。

 

シティに求められるのは、この姿勢であろう。

 

永遠のコンテンダー

 

不可能かもしれないがこれこそがシティの次のステージとなるだろう。

 

近年のCL3連覇を果たした際のマドリーというのはどちらかというとワールドクラス+高級UTという構成に思える。当該ポジションで世界で五指に数えられる(もしくは将来的に数えられることが有力視される)選手と、複数ポジションをこなしつつ重要な試合でスタメンを任せてもスタメンとの差異をミニマムにする選手の組み合わせ

 

ロナウドとナチョのチーム。これがマドリーなのではないだろうか?

 

だからこそシティが目指すべきなのはハーランドとアカンジのクラブだ。

 

ハーランドのように当該ポジション屈指のワールドクラス。

アカンジのようにUTかつスタメン起用にも耐えうる高級UT。

 

この支配層と高級UTの融合体こそペップシティの目指すべき未来に思える。

 

マドリーという歴代最多のCL優勝クラブに学び、一つでも多くの大耳を掲げられる競争力のあるクラブにするべく更なる進化が求められるだろう。

 

夢は叶えるまでのステップの先、そこでの振る舞いが後の全てを決めてしまう。夢が叶わなければ軌道修正が求められるだろうし、夢が叶ったとしたら、その達成感に囚われることなく更なる野望を掲げて戦う必要がある。夢は叶えてからが本番。シティが本当の意味でビッグクラブになれるかどうか、ペップシティは更に苛烈な戦いへと挑む。

 

最後に

1999年3月7日から2000年3月26日まで放送されたデジモンアドベンチャーという作品をご存知だろうか?

 

自分は当時1,2才で記憶は当然ないが笑、劇場版に関しては細田守が務めていて、僕らのウォーゲームというデジモン劇場版はサマーウォーズの下敷きとも言える作品である。過去アーカイブからの引用という自分の性癖に刺さりまくる作品で、ここから自分はデジモンを知ることになるのである。

 

初代デジモンTV版は内容もさることながら和田光司の歌う主題歌Butter-Flyがよく知られておりサビ部分に相当する”無限大な夢のあとの何もない世の中”という歌詞はデジモンという作品を端的に表現している。

 

夢のような仮想世界でのひと夏の冒険の先に待っているものが永劫回帰の退屈でつまらない世界であり、冒険(アドベンチャー)の過程そのものに面白さがあり、達成された際の虚無感とどう向き合うか、という面白い新規的な考えを提唱している。

 

蝶は卵、幼虫、サナギ、成虫と変態する完全変態生物である。その変容していく姿から変化や復活と再生の象徴とされ、太古から縁起の良い生き物の一種として愛されアクセサリーのデザインにも用いられ、日本でも平家の家紋は蝶が対になったような”向い蝶”と呼ばれている。

 

昨季のペップシティのリスクをミニマムにし変化を抑えた姿に一定数のシティズンが疑義を示していたように、ペップシティの結果よりも、試行錯誤する変態のプロセスそのものに惹きつけられていたことを示しているように思えてならない。

 

ペップシティも8年目に突入した。

 

アグエロ時代、ゼロトップ時代を経てハーランド時代を迎えた。昨季は望外の3冠。しかしそこに至るまでに多くの挫折と失敗を経験してきた。その度にペップシティは変化を恐れず毎年アップデートを繰り返し、敗北から学び、再生し続け、ついに栄冠に辿り着いた。それはまるで変態を繰り返していく蝶のようだ。

 

シティズンにとっての冒険は終わった。

 

それはCL制覇、3冠達成が無限大な夢と言いたいのではない

 

LBの守備力を犠牲にしてでも攻撃力でカバー出来る

ストライカーがいなくとも試行数さえ増やせばCLも制覇出来る

支配層最終生産者なしでもメッシのいたバルサに並び超えられる

 

このような理想論こそ無限大な夢だったと自分は考えている。

 

面白くない、DFに華がない、選手の幸福に寄与していない

 

そう罵られながらもこの一年で僕らは学んだ。

 

可変コストをミニマムにし、バックスをガチムチにし、リスクをかけずに質的優位性に優れた少数の攻撃ユニットで最終生産することこそ、最良の方法なのだ。

 

スターリング、ジェズス、ジンチェンコを投げ打って理想と決別し、僕たちは夢も希望もない退屈な現実を受け入れることにした。

 

今季は地元出身のパーマーの放出には少なくない疑問の声が上がった。それでも進む。それでも我々は歩みを止めない。

 

無限大な夢のあと、地に足をつけ、理想論を捨て、実利的にタイトルを制圧する。その姿に蝶を見るのは難しいかもしれない。

 

かつての夢を追いかけた冒険の日々を胸にいだき、選手時代、監督時代にCLを制覇したペップにとってゆかりのあるウェンブリーを目指して飛翔するスカイブルーの蝶に自分は今季も声援を送りたいと思う。

 

C'mon CITY!!!!!!!!

ヴォルデモートは何故負けるのか(魔法戦争感想戦を巡る原作再考察)

皆さんはハリーポッターという物語をご存知だろうか?

 

全世界で約6億ドルを売り上げたメガベストセラー長編物語である。額に傷のある少年ハリーポッターを主人公とした魔法世界での冒険と戦争を描いた7部作を知らない人はいないだろう。

 

そんな本作のファンの1人もある自分は以前からヴィランであるヴォルデモートがもっと利口なら余裕でハリーポッター軍団に勝てたという主張を繰り返している。今回はその主張のまとめ、及び原作についてもいささかの持論を持ってもいるので、そのことと2編構成でお届けしよう。

 

あらかじめ言っておくが、自分はヴォルデモートの唱える人種差別的言動には一切支持するものではなく、人間は出自、瞳の色、肌の色、セクシャリティにおいて差別されることはあってはならないと考えている。

 

あくまでもヴォルデモートの戦争時の組織ガバナンスのミスへの指摘、どうすれば勝てたのかといったところから論を広げ、原作にも問題があったのではないかという議論へと移るつもりである。

 

では、ハリポタガチ勢の長文の暴力を召し上がれ。

 

 

課題編1 魔法戦争回顧録

 

1-1 闇の帝王へ至る道

 

まずヴォルデモートの第1次魔法戦争までの歩みを見よう。

 

父はマグル(非魔法使い)のトムリドルシニア、母は伝説の魔法使いであるサラザール・スリザリンの末裔メローピー・ゴーントの間に生まれた。

 

家族から虐待を受けて育ったメローピーは、ある日マグルの端正な顔立ちの青年トムに恋をする。彼には婚約者がいたものの、メローピーは魔法薬を使用して自身に恋心を抱かせるように誘導し、子供をもうける。それが後のヴォルデモートである。

 

しかし魔法薬の効能が消え去り、トムは突如として妊婦メローピーを捨てて出ていくというクズ男ムーブを発動(まぁ本人も被害者ではあるが)、メローピーは臨月の状態で孤児院に駆け込み出産後に衰弱し死亡。

 

トム・マールヴォロ・リドルと名付けられた男児こそ後の闇の帝王である。

 

孤児院での事務的な手続き、何より卓越したトムの知性には不釣り合いなほどの貧性な教育の中で、彼は孤独を胸に抱きながらスリザリンの血筋を覚醒させていく。

 

周囲の人間に魔法をかけていたぶったり、動物に虐待を加えたり、選民思想は肥大化しそして魔法魔術学校ホグワーツ教員(当時)ダンブルドアが入学許可証を持ってやってくるとホグワーツで才覚を磨くこととなる。

 

在学中も優秀な生徒として教師陣の信頼を集め、同窓の学生を中心に新規魔法の研究に没頭する。その中で見つけたスリザリンの秘密の部屋に住む大蛇のバジリスク服従させることに成功し、マグル生まれの学生を襲う。このトム5年生の時の所業はホグワーツを震撼させ、閉校も議論され始めた時、それは不味いと感じたトムは(理屈よりも感情で後先関係なく生きていることがよく分かる)その罪を学生ハグリッドに着せて幕引きを図ることに成功する。

 

しかし、この事件の主犯格をトムリドルと見抜いていたダンブルドアはトムのホグワーツ教師職への志願を何度も拒絶する。そしてトムリドル青年はマグルの父親からもらった自身の名前を忌み嫌うようにもなり、別の名前を名乗る。

 

Tom Marvolo Riddle という自身の名前を入れ替えて(アナグラム)

 

I am Lord Voldemort (俺様はヴォルデモート卿である)

 

と自称するようになる(若干の厨二病感)。

 

そして在学中に学んだ魂の器であるホークラックスの運用に着手する。霊魂を他者を殺害することによって分割しホークラックスに入れておくことで肉体が無くなっても魂は現存するために死なない(マリオの残機みたいなもの)。

 

在学時代に学んだ自身の思想に共鳴した仲間とデスイーター(死喰い人)を結成、ホグワーツ卒業後に十数年かけて学んだ闇の生物や闇の魔法についての知識は十分。

 

時は満ちた。

 

ヴォルデモートは自身の宿願を実行に移す。

 

マグルの抹殺。魔法使いのみが君臨する世界への再構築

 

ホグワーツ乗っ取りをダンブルドアに妨害され、反マグル教育による魔法界の変革という手段が無くなったことで、実力行使に打って出た。

 

マグル撲滅に反対するものは誰であろうと抹殺。

 

かくしてヴォルデモート率いるデスイーターとダンブルドア率いる不死鳥の騎士団は激突、ここに第1次魔法戦争が勃発する。

 

 

1-2 第1次魔法戦争

 

闇の魔法使いを集い、魔法界変革のための戦争を仕掛けたヴォルデモート

 

形勢は圧倒的にヴォル有利でゲームが進む。相手の心を読む術に優れたヴォルは相手が最も嫌うもの恐れるものを知り、脅迫し仲間に率いれ、また魔法界では虐げられ忌み嫌われてきた闇の生物も支配下に加え圧倒的な物量で不死鳥の騎士団の多くを死傷に追いやる。

 

この頃からヴォルデモートという名前を口に出すことさえ恐れられ、闇の帝王、例のあの人、名前を言ってはいけない人、などと呼ばれ始めた。

 

しかし、ヴォル勝利目前にして、とある予言が全てを変える

 

預言者トレローニーによって”ヴォルデモートを死に追いやるものが7月に生まれる”なる予言がダンブルドアに告げられ、これをスパイであったセブルス・スネイプから聞いたヴォルデモートは7月生まれの不死鳥の騎士団団員の子供としてジェームズ・ポッターとリリー・ポッターの息子を殺害することを計画する。

 

ジェームズと旧知の仲であったピーター・ペテグリューから一家の居所を聞き出すことに成功し、急襲するもリリーの自身の命を犠牲にした守りの魔法により、子供だけは取り逃すばかりか額に稲妻型の傷を付けるに留まり、ヴォルデモートは肉体を消失する。

 

ヴォルデモートを死に追いやった伝説の子供、ハリーポッターの名前は魔法界に轟き渡ることとなり、最大戦力の喪失によりデスイーター側は士気を大きく喪失。その機を逃さなかったのがダンブルドアである。

 

デスイーター側の兵力を切り崩し、次々に自軍側に引き込むように説得。その結果多くの幹部でさえ逃げ出すか裏切るという有様で、ヴォルデモートの死が本当なのかを疑うものもいるなど混迷を極めている中で不死鳥の騎士団は事態を速やかに収束。

 

結果としてヴォルデモート軍団は敗北することとなった。

 

1-3 第2次魔法戦争

 

ヴォルデモートは先述の通り、分霊箱によって”残機”はある。ハリーがホグワーツに入学してから毎年のように復活を目指して苦闘するわけである。

 

ここでハリーポッター7部作についての大まかな分別を以下に書くと

 

前期3部作(賢者の石、秘密の部屋、アズカバンの囚人)

ブリッジ(炎のゴブレット)

後期3部作(不死鳥の騎士団、混血のプリンス、死の秘宝)

 

となっている。前期3部作においてはヴォルデモートは肉体を持っておらず、炎のゴブレットで肉体を取り戻し、後期三部作において第2次魔法戦争へと移行する。

 

前期においては

賢者の石を用いた肉体の蘇生を試みるも失敗

分霊箱リドルの日記を用いてハリーを誘き寄せるも失敗

 

炎のゴブレットにおいてヴォル配下のバーティクラウチJr.をホグワーツに潜入させて魔法学校対抗戦にかこつけてハリーを誘拐し、ハリーの血を用いて肉体を奪還。無事にヴォルデモートは復活する。

 

後期においては

予言を手に入れるためにハリーを利用し誘き出すも予言は破壊

スネイプを用いてダンブルドアを殺害

ハリーを殺すためにホグワーツを襲う

 

といったことがあったものの、最終的には分霊箱は全て破壊され、結果的に分霊箱になっていたハリーもヴォル自らの手で殺したために残機はゼロに。そしてハリーが死に損なっていたことに気づかず(分霊箱の破壊のみでハリー自身の殺害にまでは至っていなかった)反転攻勢を受け、ニワトコの杖の所有権がハリーに渡っていたことに気づかず、杖は主人に対して有効な攻撃を発揮しない原則に従って無事敗北。

 

不死鳥の騎士団の勝利で幕を閉じた。

 

 

解決編1 闇の帝王のリトライ

 

以上においてヴォルデモートの生涯を軽くおさらいしてきたが、どうだろうか。実に間抜けとしか言いようがない。いずれの戦争でも圧倒的な人的資本の優位性を持ちながら2度の大敗を喫したのは闇の帝王を名乗る資格などないと言える。

 

そこで、僕が闇の帝王ならこうする!ということを考えていこうと思うわけである。

 

1-4 主な敗因の整理

 

まずヴォルデモートの敗因は2つある。

 

①ガバナンスミス

 

まず、最大の敗因は分霊箱の存在をデスイーター側で共有されていなかったことであり、第1次戦争の際にも、分霊箱があるので万が一ヴォルデモートが死んだとしても完全には死なないという残機の存在を告げていなかったこと。これは最大のミスと言える。

 

武田信玄が死去を3年隠せと言ったにも関わらず、即時に情報が漏洩し織田徳川部隊の士気向上に繋がったことの反省が全く活かされていないのである。

 

ヴォルデモートが死んだ。それも赤子に敗北したというナラティブの前に騎士団は勢い付き、デスイーターは慌てふためいて混乱した。この事こそが敗着の一手と言える。

 

そして分霊箱の存在をルシウスに告げていれば、秘密の部屋でみすみす破壊されることはなかったはずだ。本来分霊箱は残機であるため、慎重な運用が必要なのではないだろうか。

 

ルシウスが何度も間違いを犯しているのに、幹部に居座り続けていたりと純潔の家系であるとはいえ、これでは手下はついてこないだろう。教育面また人事においても組織として大きなミスを犯していたと言えよう。

 

デスイーター側で最も優秀で忠誠を尽くしていたヴェラトリックスに対してもハリーに杖を向けられた状態で殺してく殺せと見捨てるような態度をヴォルデモートは”不死鳥の騎士団”でとっていたが、あれはよろしくない。

 

そんな姿を見て、新入デスイーターはどう思うだろうか。あんな無能のルシウスのおっさんがのうのうと出世していて、ヴェラトリックスさんは扱いが酷い。こんなとこいても自分やってけるかな。闇の帝王とか言ってるけど、あいつも半純血だし、ただの鼻の潰れた禿げたおっさんじゃね、と陰で笑われてるのではないだろうか。

 

忘れてはならないことがある。それは純血のみの世界を作ることが目的であって、純血の家系であればルシウスのように優遇する訳ではない。ヴォルデモートは指導者として組織の長としての能力に欠けていた

 

ヴェラトリックスは本当に素晴らしい人材なのに、自分は歯がゆい思いを何度もしてきた。もし僕がヴォルデモートなら、こんな扱いは絶対にしないと誓える。

 

②確認ミス

 

これは特にハリーポッターについてであるが、第1次戦争の時に、リリーの魔法に気づいていなかったことはミスであったと言える。またいくら占いでハリーがヴォルデモートを破滅に追いやるとしても、まず部下を行かせるべきであり、自身の存在が組織にとってどれだけ大きいか、何もわかっていないと言える。

 

菅直人福島第一原発の視察にいって現場を混乱させたように、大将は動くべきではないのだ。なぜなら大将が不在となれば組織は指揮系統が混乱するからだ。

 

そもそも数十年、あらゆる呪いや魔法について勉強したはずなのに、守りの魔法のようなものを何故見過ごしていたのか。注意散漫であったと言える。

 

そして第2次でもそうだ。杖の所有権をガタガタ抜かしているが、杖の強さなど圧倒的な物量差で押している状況で考えるべきテーマだろうか。スネイプを殺してまで必要のあることなのだろうか。意味不明である。

 

そして最大の敵であるハリーポッターの絶命の可否を自ら確認していないという愚かさである。もう呆れてものもいえない。そして何よりもである。これは言っちゃおしまいなのかもしれないが、

 

ハリーポッターなんて大した人間ではないのだ。

 

魔法知識ではハーマイオニーに及ばないし、守護霊を作り出すことが出来るくらいで当人の言葉を借りると『そう言えば凄いことに聞こえるが運が良かっただけなんだ』というのは事実である。

 

むしろハリーは自身の弱さを冷静に見れていたからこそ英雄視する民衆に踊らされることなく判断を下せたのだろう。

 

ヴォルデモートがハリーにこだわればこだわるほどに、ハリーは英雄視され、希望の象徴となり騎士団の士気向上に寄与したのだから。ハリーが分霊箱であるということはヴォルからするとハリーは放置しておいて、むしろハリーを殺さず生かしておけば騎士団側にヴォルを殺すためにはハリーを殺さなければならないという究極の2択を迫れたのだから。その好機を自ら潰したのは滑稽としか言えない。

 

知識も髪の毛も慎重さもない。

 

ただの蛇ヅラハゲ茶瓶クソ野郎は引っ込んでおいてほしいものだ。

 

1-5 デスイーター再建計画

 

お待たせした。ここから僕が闇の帝王ならどうするか。について述べる。

 

 

とにもかくにもである。まずヴォルデモートの分霊箱活用計画について説明しておくべきである。まず自身は最悪死んでも肉体が消えるだけで残機はあること。そして何よりも自身が万が一殺された時、ヴェラトリックスを中心とした組織への一時的な移行を取り決めるべきである。

 

そして死はなるべく外部に漏洩しないようにする。これが出来ていないあたりに、情報の共有と情報の取り扱いに対するマニュアルが存在していないのと考えられるので、ここで何をして良くて何をしてはいけないのか、を徹底させる必要がある。

 

そして分霊箱をヴォルデモートだけでなく、幹部生、ヴェラトリックス夫婦、クラウチジュニアといったコアメンバーにも作るように要請。こうすればである。仮にアズカバンに収監されても自死を図っても残機の影響で生き延びることができ、事実上の”脱獄”にも成功する可能性がある。

 

こうすることで無限に残機を増やした死を恐れないより強固な集団へと生まれ変わることが出来るのである。

 

そして、純血か否かではなく、組織への還元を持って人事評価をする方針へと変更すべきである。ルシウスに関しては解雇相当でいい。使い物にならないしここまでのミスを犯した人間を出世させることのほうがおかしい。

 

そしてヴォルデモートという存在を残すことを第1義的にするのではなく、あくまでも純血思想の徹底された世界の具現化を第1として行動を取るようにすべきである。だからこそ思想と将来性を考えた中長期的なビジョンやミッションをデスイーター内で共有することを大事にすべきである。

 

そうでないとヴォルデモートが今回のように敗走した際に次々にメンバーが逃げ出すということはないからだ。物量で勝ってはいても、それはビッグスカッドを抱えていることを意味し、モチベートやガバナンスを徹底させることはとても重要だ。

 

ここまでしておけば、第1次も第2次も時間をかけていくだけで相手は勝手に負けただろう。何もしなくても戦力差で圧倒的なアドバンテージがあるのだから、注意深く最新の情勢を確認しながら進めていけば余裕で魔法世界を制圧できるはずだ。

 

こうしたガバナンスは地味だがとても大事だ。戦争もあくまでも手段でしかない。ここから魔法界において行政も担当していくとなると組織がヴォル不在でガタガタになっているようでは先がない。騎士団に対して魔力で負けたのではない。むしろ絶対的指導者(ヴォル/ダンブルドア)を失った時にシャドーキャビネットの存在の可否、ここが分岐点だったのではと自分は見ている。

 

デスイーターには優秀な人員がいる。ヴェラトリックスは本当に素晴らしい人材だ。リーダーに忠誠を払い、ヴォル死去後も姿を探し回り、多くの人員が寝返る中で彼女はアズカバンに収監されてもなお自身の忠誠を捨てることはなかった。

 

組織の最大の財産は人である。

 

今一度この言葉をヴォルデモートには思い出して欲しいと切に願っている。

 

 

 

課題編2 原作分析

 

ここまではあくまでも原作の中でヴォルデモートの挙動についての反省と改革案を打ち出したが、そもそもの話が、ハリーポッターという原作の構造や設定にも不満と問題点があるので、そちらにも言及をする。

 

2-1 差別VS多様性の不発

 

本質的に見て、ハリーポッターとは何か?

 

それは差別主義との戦いではないか。と自分は考えるわけである。そして結論から言うとハリーポッターとはチャーチル英国とヒトラーナチスの戦いを下敷きにしていると推定される。

 

ホグワーツが4つの寮に別れているのはイギリスがイングランドウェールズスコットランド北アイルランドという4つからなる連合国だからではないだろうか。

 

人種差別と民族浄化を推し進めたヒトラー率いるナチスドイツという差別集団を打ち破ったチャーチルの英国、このカタルシスをリフレインさせるからこそハリーポッターは愛されベストセラーになったのではと自分は分析している。

 

そもそもホグワーツこそ分断と結集の象徴であり、純血魔法族のみに魔法教育を行うべきと主張したサラザールスリザリンが意見の相違の末にホグワーツを去ってもなお、彼の残したスリザリン寮を含めた4つの寮で多様性の尊重と教育の充実を基礎とした学風であることからも明らかである。

 

この互いの意見の違いを乗り越えてもなお、差別主義に対しては明確に反対の意を示し結集しヴォルデモートという”ヒトラー”を打ち破る。ここにこそ最大のカタルシスはあるべきだと思うのである。

 

しかしだ、最後までスリザリン寮はヴォルデモートへの反逆の意思は示さなかった。ただそれが可能な男は確かに存在した。

 

ドラコ・マルフォイである。

 

マルフォイ家という純血の家系でありながらもデスイーターとしてヴォルデモートの命令に従うことに逡巡を見せたり、1年生の時に見下していたウィーズリーの方を皆の前で友人として選ぶといったハリーの行為からハリーに異常に執着するようになるだけで心底恨んでいるわけではなかったりと、どっちかと言うと騎士団寄りの人間なのだ。

 

彼こそが後期3部作の主人公となるべきであり、マルフォイ家の人間ではなく、1人の人間ドラコとして純血思想やヴォルデモートの民族浄化に対して反旗を翻してハリーと共闘する流れが良かったと思うのだが。。

 

結局のところ、スリザリン寮は蚊帳の外で3寮の学生を中心にデスイーターと戦い、不注意で”ヒトラー”は死んじゃいました

 

これではカタルシスが最大限達成されたとは言い難いであろう。

 

そしてこの一家の歴史的流れに争い騎士団に味方した男がいるではないか。

 

シリウス・ブラックである。ブラック家も純血の家系であり、デスイーターを多数輩出した一族だ。それでもブラックは自身の家を嫌い、ジェームズポッターの家で同居するなど騎士団への忠誠を誓ってもいた。

 

シリウスがドラコの良いメンターとしてマルフォイ家からの離反を促すという伏線を引くべきであったと自分は考えている。

 

2-2 騎士団が弱すぎる

 

これは特にダンブルドアの退場に象徴されているのだが不死鳥の騎士団があまりにも弱すぎてベラトリックス・レストレンジがあまりにも強すぎるのだ。

 

この理由は至極シンプルだ。

 

ハリーを守る魔法使いがいる限り、いつまで経ってもヴォルデモートとハリーの直接対決にならないからである。だからこそハリーポッターは7部作は実はほとんど同じ構造をしている。

 

”ハリーが数名の同期生と共にヴォルデモートの元へ近づいていく。もしくはどこかにさらわれてしまい結果として数的不利の状況でヴォルデモート軍団と対峙する”

 

こればっかである。

 

クィレルの待つ賢者の石のある部屋へハリー1人向かう(『賢者の石』)

リドルのいる秘密の部屋へハリー1人向かう(『秘密の部屋』)

ヴォルのいるリドルの墓へハリーとディゴリーがワープ(『炎のゴブレット』)

死喰い人の待つ神秘部へハリー軍団6人で向かう(『不死鳥の騎士団』)

死喰い人の待つ時計台へハリー1人向かう(『半純血のプリンス』)

 

やたら異世界に飛ばされる劇場版クレヨンしんちゃん並みである。

 

こうしないと、結局のところヴォルがダンブルドアに勝てない上にハリーの出る幕がない。そもそもこのような大戦争になってハリーのような学徒出陣が要求されてる時点でおかしな話なのだ。

 

なのでダンブルドアには退場してもらったのだろう。これも実に不自然な話ではありスネイプとの狂言となっているものの、分霊箱の呪いで寿命が短いからスネイプに殺してもらおうというのも無理がありすぎる。ならその寿命内で戦争を終結させれば良いであろう。ダンブルドアというヴォルの天敵を失うことが騎士団にとってどれだけの損失かを考えれば分かると思うのだが。

 

そして、この騎士団というハリーの”壁”を取り除くためにヴェラトリックスがやたらめったら強く騎士団幹部を殺害していくのである。そしてそんなヴェラトリックスはロンの母親であるモリーに殺される。娘であるジニーを殺されかけたことへの怒りと言っているが、その程度で殺せるなら苦労しない。あまりにも杜撰な脚本と考える。

 

 

2-3 ヴォルの死に方が無惨

 

JKローリングの一貫していることは一つあって、愛は最大効力の魔法である、ということである。しかし、これこそが作品の質を歪めてしまっている。

 

そもそもである。守りの魔法って何やねん。。。

 

ヴォルデモートがハリーを倒せなかったのは母の愛情に基づいた防御魔法によってであるという説明。あまりにも理論武装としてガタガタすぎるだろうと。

 

そんなので守れるなら全国の親子は全てヴォルデモートから守られなくてはおかしいのではないだろうか。襲撃されることを想定してダンブルドアがハリーに何かしらの細工をしていた、とかなら分かるが、母の愛情はヴォルデモートに勝ちます、というのは無理がありすぎるし意味がわからない。

 

そして2次戦争の時もである、杖の所有権の結果死んだとあるが呪文の強度が違いすぎるのにそんなことがあり得るのだろうか。そもそもハリーは武装解除であり、ヴォルは殺害の呪文、こんなのが当たれば余裕で前者は吹き飛ぶと思うのだが。

 

というよりもハリーポッターに欠けている概念が、魔法とは一体どこから生まれマグルと魔法使いはなぜ別れているのか、という説明である。

 

魔法使いとマグルの二項対立が主軸の物語であるならば、既存の二項対立物語と同様に二項の同一化というフェーズを迎えたいところだが、この魔法の概念や魔力の概念が至ってスピリチュアルな説明に終始しているので展開のさせようがないのだ。

 

デビルマンのように違いなど何もなかった、というも面白いし、何よりも差別主義を描くならば両者の本質的違いの有無が示されないと意味が分からない。これでは純血を叫ぶハゲ茶瓶蛇ヅラクソ野郎が凡ミスで2度死んだというケアレスミスしか見どころがないのではないだろうか。

 

呪術廻戦での夏油傑が非術師を猿と下げずむようになる過程となるエピソードで丁寧に闇堕ちを描いたようにヴォルデモートがなぜ純血思想へと至り民族浄化を目的とするようになったかといった部分の描写が決定的に欠落しているように見える。

 

それこそ”魔女狩り”のようなエピソードを挿入することで迫害の歴史からくる因縁の物語にしても良かったと思うのだが。。

 

解決編2 KGローリングのリライト

 

2-4 原作再編計画

 

さて、ここまで散々文句を言ってきたので、そろそろ対案を出そうと思う。

 

まずヴォルのポッター家襲撃についてだがこれについては自分はダンブルドアのポッター家を囮とした罠を仕掛けるという設定で良いのではないかと考える。

 

物量で圧倒的に劣る騎士団としては、ヴォルだけを闇討ちにする方法としてトレローニーの予言と称してスネイプを利用してヴォルを破滅に追いやる子供の誕生を吹き込むことで将来の危険因子の排除へと直接向かわせる”ターミネーター”作戦で誘き出し、そこで叩く手筈を整え、ハリー自身に死亡の呪文を掛ければ跳ね返るように強力な呪いをダンブルドアが設置していたという設定で、ジェームズとリリーが囮として志願した、という設定ならどうだろうか?

 

母の守り云々よりもマシと思うのだが、またアバダケタブラ(死の呪文)についても、何かしらの防護出来る呪いが存在しても良いはずだ。でないならいくら魔力が相当量必要と言ってもアバ連発で無双出来るのはあまりにもパワーバランス上面白くないので、ダンブルドアがアバ対策の呪いを開発していた、というのでいいと思う。

 

また寮の数についても3つでいいと思う。いっそスリザリンを無くして、スリザリンをホグワーツに並ぶ魔法学校であるという設定にしても面白い。またレイブンクローとハッフルパフについてはキャラも聡明と勤勉で若干被っているので一つにまとめてもいい。社民党とれいわ新選組みたいで、もうそこ一つでいいよねと。

 

スリザリン魔法学校が純血を唱えて、そしてホグワーツに攻め込みサラザールスリザリンは負けた。その意思を継いだのがホグワーツのヴォルだったという設定で良いと思うのだ。そもそもあれだけテロリスト予備軍を輩出してるスリザリン寮の存在自体があまりにもおかしいだろうし。もう別の魔法学校でいい。

 

そして分霊箱であるが、7つもいらない。3つくらいでいい。そして分霊箱に関しては壊すためには自分の命を犠牲にしなくてはならないという縛りルールを与えるべきであると考える。分霊箱を壊すためにダンブルドアが最後の一つの分霊箱を破壊し、残機をゼロにした段階で後は騎士団に託すよ、という設定でよかったのではにだろうか。

 

そして謎の数百歳まで魔法使い生きれちゃうルールもいらない。またゴーストとして残る設定もいらない。あれでは意思が残るのだからダンブルドアは死んでも指令を出せるだろうし、死ぬという重みがなくなるので本当にいらない。

 

後さきのなくなった90代のダンブルドアが自身の命を犠牲に分霊箱を壊すという流れで残機のなくなったヴォルVS騎士団で最終決戦の流れを望む。

 

また作品数も7つもいらない。特にアズカバンの囚人に関してはヴォルも関与はほぼなく無駄な1年である。”囚人”を除いて前期3部作でヴォル復活、後期3部作で分霊箱壊し、この流れが一番綺麗に思える。

 

そして大団円としてスリザリン校の人間も一緒になって戦い、ヴォルデモートを打ち破ったという流れで終幕させればいい。そうすれば多様性による差別主義の打破の形となるだろうし。

 

後の流れはそこまでいじる必要はない。あくまでも諸設定の修正と後期三部作の組み替えのみで完璧な作品群へと昇華されるはずだ。

 

2-5 リブートへの期待

 

さて、ここまで色々と述べてきたが、こんなヲタクの妄言が実現されるとは考えてはいない。しかし、炎のゴブレットだけは原作のままで是非映像化を再度実施してほしいと考えている。

 

マルフォイの使い方に起因する後期三部作は誰が実写化してもあまり面白くはならないと思うが、炎のゴブレットは本当に名作なので、是非読者の方には読んでもらいたいと考えている。

 

あれは親子の物語なのだ。

 

ハリーとシリウスという名付け親としての親子

ディゴリー親子

バーティクラウチ親子

ヴォルデモートと子分というヤクザ的親子(ゴブレット=杯=盃なのも面白い)

 

こうした複数の親子関係が闇の帝王の復活と悲劇へと向かっていく様は本当に素晴らしい。劇場版では原作の構成が相当に大きくいじられてしまい、作品の本当の素晴らしさが伝わっていない。この頃から原作のボリュームが肥大化していたため大幅な圧縮がなされているのだが、本作はその負の影響を大きく受けた作品である。

 

ネットフリックスあたりにリブート作品としてハリーポッターが描かれることを願っている。炎のゴブレットだけは本当に素晴らしい作品なので。

 

それこそ庵野秀明に、シン・ハリーポッターを作ってもらおう笑、思い入れもないのに大丈夫かと思われる方もいるかもしれないが、彼は思い入れのない作品の方が仕事として徹してくれるのでそちらの方がいい(シン・ゴジラがまさにそれ)。

 

実写でやろうとすると作中役者の成長の問題もあるので、アニメでドラマシリーズで描かれることに期待している。まぁそこでもヴォルデモートの凡ミスでの死に僕はブーブー言いながら見るのだろうが。笑

 

 

終わりに

 

今、世の中は8月初頭 学生は夏休みを迎えている。コロナ禍が落ち着き外へ出かけるのも良いが日中は運動を制限するように地方自治体が指示を出すほど日本の夏は殺人的な暑さを迎えている。

 

そんな中で外に出かけたくない時、膨大に広がるお手隙の時間に、是非、ハリーポッターを手に取って読んでみてほしい。劇場版しか見たことのない人にこそ読んでもらいたい。そこには映画では削除されたさまざまなシークエンスや文脈が存在している。

 

しもべ妖精の権利向上運動にハーマイオニーが力を入れていたり、ネビルの両親が入院している精神病院にお見舞いに行ったり、さまざまな”サブストーリー”が充実しているので夏の暇を埋めるには十分楽しめると思う。

 

今、8作目『呪いの子』が舞台公演されていたり、PS4,PS5で『ホグワーツレガシー』というオープンワールドのゲームが販売されていたり、そして、日本のとしまえん跡にはハリーポッターをテーマにした観覧施設が完成し反響を呼んでいる。

 

今、密かに盛り上がりつつあるハリポタ世界を覗いて見て欲しい。物価高に戦争と魔法でもなきゃやってられない今を生きる僕らにとっても面白い作品群だと思う。

 

『呪いの子』についても色々と言いたいことはあるが、もう1万2000字を超えてきて読者も限界だろう笑、この話はまたどこかで。

 

それでは、良い夏休みを(社会人にはそんなものはないが笑)。

#ちぇるちぇるらんどさんを救いたい(名古屋備忘録)

さて、救いたいシリーズも続々とリリースされ

第1弾 UTDを救いたい

第2弾 LIVを救いたい

第3弾 チャビを救いたい

第4弾 ブルーアイズの頭髪を救いたい

第5弾 くろーぷを救いたい

 

と来て第6弾です!

 

今回はですね。名古屋について知りたいとツイッターで嘆かれていたとあるツイッターアカウント様を助けようと色々とツイッターで情報提供をしようと思ったのですがいちいちツイートすると、まとまりがなく後々見返す時に苦労されるだろうと。

 

なので、大阪を愛する僕から見た名古屋観光するならこれがエエんとちゃうかなぁというのをお届けします。

 

(名古屋、ゆうて2回しか行ってないけどね笑)

(ま、そこで調べたもののまとめ書きやと思ってくれたら)

 

まず名古屋を一言で言うと

 

一極化ゆえのコントラスト

 

となるかなと。まず名古屋駅ですが大阪で言うところの梅田と新大阪が合わさったような統合的な成り立ちをしています。ゆえに様々なものが結集しており、そのことから便利ではあるものの大きな混雑を招きます。

 

大阪であれば、梅田、難波、天王寺、新大阪と”ハブ”が複数設定されているのに対して名古屋は名古屋駅周辺に全てを固めてしまったいる印象です。

 

なので名古屋駅に行けば大体のものは揃ってしまう。

そして名古屋駅から離れると一気にローカル世界になる。

 

これが僕の見た名古屋でした。

 

ということで、このブログ記事でも名古屋駅に到着してから旅行を始めるものと想定し以下に様々なものを書き連ねていきます。

 

 

 

第1章 観光編

 

まず初めに有名な観光場所と付随する情報を書いていきます。

 

 

名古屋城

 

名古屋といえば、、ですよね。

 

金のシャチホコ天守閣で有名で名古屋のシンボルです。

 

まずアクセスについて述べますと

名古屋駅から東山線(藤が丘方面)で栄駅へ

そして栄駅で名城線(右回り)に乗り換えて名古屋城駅へ

駅に着き、7番出口を出るとすぐ見えます。

 

入場料金は大人なら500円ですが現在天守閣は耐震性の問題から閉館となっており天守閣木造復元が進んでおりますが、バリアフリーを巡って当時の復元という観点からどうなのかという議論が話題を呼んでいます。これは非常に難しい問題で当時はエレベーターなんてないですからね。なのでそこを外した今となっては不便なスタイルだからこそ意味があるという。これはアンティーク古着とかでもちょくちょくある議論なんですよね。革ジャンとかもそうですがナイロンジャケットがなかった時代のアウターとしての古き良き時代の時代錯誤感が好き、というのも重要な観点ですからね。

 

ただ歴史的建築物といっても所詮は集金装置であり、エレベーターなどのバリアフリー機能を排除するということはすなわち身体障害者を集金対象から外すということであり、それは本当に良いのだろうかと。集金能力のない歴史的建造物を残すという覚悟のある政治家が今どれだけ日本にいるのでしょうか。

 

天守閣のシャチホコを見た時、自分ならどう考えるか、そんなことに思いを馳せるのも良いかも知れません。

 

そしてお土産は城内に数店舗あり名古屋城限定とうたっているものもありますが、個人的には特筆に値するものはないかなと。クリアファイルくらいでいいかなと笑。

 

そしてグルメに関しては金シャチ横丁というのがあり

 

名古屋城正門前義直ゾーン 東門前の宗春ゾーン

 

の2種類があります。以下にURLを貼ります。

kinshachi-y.jp

 

ここでも味噌カツや親子丼、ひつまぶしなどが頂けます。特におすすめは鳥開総本家の親子丼ですね。ただこれも名古屋駅周辺にあるんですよねぇ笑。これは何度も言うことなんですが名古屋駅に集結しすぎたせいで、観光場所でしか味わえないものがミニマムになってるのが名古屋の長所でもあり短所でもあるんです。

 

 

名古屋港水族館

 

夏といえば暑いですよね。涼しい水族館はまさに夏観光にピッタリです。チケットが大人で2030円するのでお高いのが難点(これは大阪の海遊館もそうなんですが水質を含めた管理費が莫大らしいです)か。

 

アクセスは

名古屋駅から東山線(藤が丘方面)で栄駅へ

そして栄駅で名城線(左回り)に乗り換えて名古屋湾駅へ

駅に着き、3番出口を出ると徒歩で4,5分ほどで着きます。

 

2,3時間くらいゆっくりと冷えた館内で海洋生物を観覧するのは楽しいですし、何より勉強にもなります。最大の見どころはシャチですね。シャチが見られる水族館というのがキャッチコピーでもいいと思います。

 

北館と南館に分かれており、イルカショーも見ることが出来る国内でも屈指の水族館として知られていて南館2Fのレストランではシャークステーキというサメのお肉が食べれたりもします。ぜひ。

 

お土産も、ここは流石に限定品が多く(名古屋駅から相当離れてますからね笑)、お菓子やぬいぐるみが売っています。僕はこういう時に海洋生物関連の図書物を買うんですよね。どういう海洋生物がいるのかを振り返る時にもいいですしね。お菓子もパッケージが可愛いのでお土産に買われても良いかと思います。

 

詳しくは以下のURLからどうぞ。

 

nagoyaaqua.jp

 

 

東山動植物園

 

そして名古屋のもう一つの顔として知られる東山動植物園ですね。その名の通り動物園と植物園が一体となっており更に遊園地もあるので、どうなるか、、

 

広すぎる。。。

 

冗談抜きで一日ここで時間溶かせるレベルの代物です。

 

ここで落ち着いてアクセス情報を。

名古屋駅から東山線(藤が丘方面)で東山公園駅

駅に着き、3番出口を出ると徒歩で3分ほどで着きます。

 

ここはもはや国家かな?というレベルで広く、足が死にます笑。

 

まず動物園の最大のウリは広さもそうですが、国内最多の飼育展示動物園であることに尽きます。シャバーニと名付けられたゴリラが看板動物なのですが人気ランキングではいつも4,5位に沈むという悲しさを帯びたゴリラで知られています。ゴリラのシンボルで有名なストリートブランドX-largeともコラボしたくらいかなり有名なゴリラなんですけどね。

 

グルメも充実しており、食べ歩き、フードコート、カフェもあります。小学生の団体さんがよくお弁当を広げて楽しく食べている姿も。スガキヤという地元のコスパ破壊オヤツラーメン屋さんもあり、僕はここのスガキヤで食事をしてソフトクリームを食べた記憶があります。

 

ただ中は広く夏ですと虫がいたりカラスが大量発生していたりとなかなかにハードな場所ではあるので水分補給や虫刺されにはご注意ください。

 

お土産も先ほどの水族館同様にぬいぐるみやお菓子が揃っています。詳しくは以下のURLで。

www.higashiyama.city.nagoya.jp

 

 

熱田神宮

 

桶狭間の戦い。間違いなく戦国時代でも与えた影響から五指に入る戦争の一つ。織田信長の奇襲により今川義元が討ち取られ、そして今川配下にいた松平元康(後の徳川家康)は織田方に寝返り、後の天下人への道が続くわけですが、その桶狭間の戦いの必勝祈願に信長が訪れた場所こそ熱田神宮

 

また3種の神器の一つ、草薙の剣も展示されていることでも有名ですね。3種の神器を抱えて逃げ惑う平家を追い詰める源氏の源平戦争の途上、壇ノ浦の戦いで沈んでしまったんですよね。これも昨年の大河ドラマ鎌倉幕府が題材でしたので、大河ファンならタイムリーな場所と言えます。

 

アクセスは

名古屋駅から東山線(藤が丘方面)で栄駅へ

そして栄駅で名城線(左回り)に乗り換えて熱田神宮西駅へ

駅に着き、2番出口を出ると徒歩で4,5分ほどで着きます。

 

参拝料は300円。中は静かで神社仏閣ですので本当に穏やかな場所です。お土産で有名なのが”きよめ餅”です。神宮内の売店にて購入出来ます。売店は結構狭いんですけどね笑。そしてもう何度も聞いたかも知れませんが名古屋駅でも買えます笑(賞味期限が数日だったのでご注意あれ)。

 

そしてグルメとしては神宮内にある”きしめん”の宮きしめんですね。さっぱりとしていてシンプルなきしめんを味わえます。

 

加えて、あつた蓬莱軒です。これは神宮外ですが名古屋のひつまぶしといえばの名店中の名店で名古屋ひつまぶし発祥のお店です。明治時代から続く変わらぬ伝統のひつまぶしを味わうならここしかないでしょうね。

 

名古屋市科学館

 

そして世界最大規模のプラネタリウムで知られる名古屋市科学館ですね。理科系の技術を体感できるアミューズメント性を持っていますが、全てプラネタリウムのおまけといっても過言でないくらいプラネタリウム激推し施設です笑。

 

アクセスは

名古屋駅から東山線(藤が丘方面)で伏見駅

4番出口から徒歩5分となっています。

 

季節の星々について案内員さんのアナウンスと合わせて繰り広げられる夜空の美しい景色を再現したプラネタリウムは一度は味わって欲しいと思います。僕も体験しましたが本当に素晴らしい体験でした。

 

詳しくは以下のURLからどうぞ。

www.ncsm.city.nagoya.jp

 

 

大須観音

 

そして大須ですね。僕はアパレル好きなので古着とかも大好物なんですが、大阪だと難波や心斎橋、南堀江といった場所で古着、アパレルを探したりするのですが(digるとも言いますね)、そんな名古屋の”心斎橋”が大須かなと考えています。

 

名古屋駅から東山線(藤が丘方面)で伏見駅

そして伏見駅鶴舞線に乗り換えて大須観音駅

駅に着き、2番出口を出ると徒歩で4,5分ほどで着きます。

 

大須観音というくらいなので神社なんですが、それはおまけで笑、大須商店街というのが圧巻の広さとなっております。

 

食べ歩きのグルメ、ファッション、雑貨とさまざまなものが集まっていて歩いているだけで楽しくなってくると思います。その周辺にもお店が乱立していたりしますし、商店街のおすすめグルメなどはインスタを漁ればおびただしい数出てきますので、各位のご興味合わせてお楽しみください。

 

詳しくは以下のURLからどうぞ。

osu.nagoya

 

ジブリパーク

 

そして最近出来た話題のジブリパーク。宮崎駿監督最新作公開もあり、多くの観光客が押し寄せることが期待されます。まずアクセスを見ていきましょう。

 

名古屋駅から東山線(藤が丘行き)で藤が丘駅

そこでリニモに乗り換えて愛・地球博記念公園駅

 

はい、ということで遠ずぎるわけですね笑。名古屋駅から電車使うと50分弱はかかるので車で行く方がいいのかな?往復で100分は辛いですね。

 

ただそもそもの目的が愛・地球博という万博会最後の跡地の有効活用方法として生まれたのがジブリパークです。この背景は実にUSJと似てるんですよね(逆にUSJは万博跡地に作った方が良かったんですけどねインフラ的に。埋立地の穴埋めとして辺境な海岸沿いに出来てしまたんですね)。

 

万博跡地ということもあり、無茶苦茶広いです。そしてテーマパークというよりは自然公園に近いかなぁと。まだ未開発のエリアもあり、また事前予約しないとチケットも取れない有様で、僕はこの争奪戦を勝ち切って無事入園したわけですが、めちゃくちゃ中は広く、ただ作り込みはまだまだかなという感じで、あと数年してからの方が行かれるのはいいかもしれませんね。

 

今は中の展示物を見つつお土産を購入するという感じです。お土産屋さんはパーク外にも一つ売っていますが種類は少ない印象です。

 

チケットは各ゾーンごとに買うスタイルで3ヶ月前からでないと購入出来ない模様なので、お気をつけください。ただ重複しますがあと数年してから行く方が落ち着きや誘導の安定化なども考えると良いかなと。

 

以下にURLを貼っておきます。

ghibli-park.jp

 

第2章 お土産編

 

前章においても述べてきた通り名古屋駅において全てが集結しているので、どこで買えばいいかというのは、もうシンプルで

 

名古屋駅(特にグランキヨスク)

名古屋駅から徒歩数分のエスカ(商業施設)

 

でほぼ全部揃います笑。

 

以下に主なものを列挙していきますね。

 

⚪︎小倉トーストラングドシャ

 

これは中京地方限定のお菓子らしくJR名古屋駅構内でガンガン売ってますので見つけるのは容易かと思います。ただ取り寄せも出来るので、そこらへん難しいですよね笑。

 

⚪︎しるこサンド

 

これは逆にJR名古屋駅には売ってないかなという珍しいもの。むしろコンビニとかスーパーの方が売っているらしいです。素朴な味わいで愛知県民に愛されてるそうな。

 

⚪︎両口屋是清

 

名古屋を代表する和菓子の名店。ま、梅田阪急にもあるんですけどねー笑。

千なり(どら焼き)に代表される和菓子各品全てレベルが高いです。お土産としておすすめなのが”ささらがた”です。季節限定のパッケージで提供され見て楽しめるものとなっています。複数の和菓子が5,6個入っていて飽きも来ず良いかと思います。

 

⚪︎青柳総本家

 

ここも名古屋を代表する和菓子の名店。青柳といえばというくらい”ういろう”が有名なお店です。もちろん看板商品のういろうに加えてカエルまんじゅうも有名です。

 

⚪︎きよめ餅

 

前章でも触れた通り、熱田神宮のお土産商品ですが普通に名古屋駅に売ってます笑。賞味期限がそこまでなのでご注意ください。

 

⚪︎大須ういろ

 

ういろでもう少しポップなものが欲しいなぁと思えばこちらかなと。ういろバーというカラフルで手頃なういろが販売されております。お土産としても良いかと。

 

⚪︎坂角総本舗

 

そして名古屋といえばのエビですね。そんなエビを使ったえびせんで有名な名店が坂角です。坂角のえびせんはお中元とかでも結構買われてる方がいるそうです。名古屋限定の金色の箱に入ったものは食べ終わった後も楽しめるかなと思います。

 

以上、軽くまとめてきましたが、名古屋土産は、ういろに代表される和菓子とえびせんと目についた名古屋限定と書かれた洋菓子を適当に買えば、事足ると思います。

 

エスカのURLも以下に貼っておきますね。

www.esca-sc.com

 

第3章 グルメ編

 

そして名古屋グルメの主だったものを以下に列挙します。名古屋駅のうまいもん通りという場所でほとんど食べられます笑。

 

⚪︎味噌煮込みうどん

 

名古屋といえばの味噌ですね。おでんも味噌ですからね。関西には不思議な現象があって餃子の王将大阪王将という2種類あるんですが違いがよくわからないと言われるんですね。関西の一部では前者を京都王将と呼ぶ傾向もあるんですが。これとよく似たものが名古屋にもあって、山本屋本店と山本屋総本家です。

 

どっちも何が違うんだろうと思う感じで、両方僕も食べたんですが大きな違いを見つけるには至らなかったですね。エスカでも名古屋駅でも食べられるのでぜひ。麺が固く独特な感じですが味噌の濃さはあまりなく最後まで飲めてしまうほどです。

 

山本以外ですと、味噌にこみ"たから"とかも有名ですね。大阪には味噌煮込みあんまりないので新鮮な体験でした。

 

 

⚪︎ひつまぶし

 

これは前章でも説明した通り”あつた蓬莱軒”が一番有名です。ひつまぶしの方法も丁寧にお品書きに書いていただいているので、それを見ながらやると良いと思います。

 

⚪︎手羽

 

これも世界の山ちゃんが全国展開しているのでご存知だと思いますが、名古屋の手羽先はコショウを親の仇のように振りかけているので辛めです。エスカの風来坊というお店で買ってホテルでビール片手に食べるのが支配層感ある楽しみ方ですね。

 

⚪︎みそか

 

そしてこれまた味噌を用いた味噌カツです。一番有名なのは矢場とんですかね。各地にいろいろな味噌カツがあるので調べてみると結構あるんですね。そしてその調べたお店に行ったところ営業休止になっていたのも僕の思い出の一つです。

 

⚪︎天むす

 

名古屋といえばのエビですね。えびせんがお土産として有名ですが千寿の天むすも有名なんですね。エスカで買えますのでぜひ。僕は千寿の天むすと風来坊で手羽先を購入しそれとビールでホテルで食べるという貴族の遊びをしてましたね。

 

あと千寿は人気なので夕方になると売り切れが発生します。ですのでお早めに購入しておきましょう。

 

⚪︎きしめん

 

これも名古屋名物ですね。新幹線おりてすぐの立ち食いのきしめん屋さんも有名なんですが、宮きしめんもいいですね。まぁきしめんは麺さえお土産で持って帰ればいつでも出来るので、好きな方はぜひ。

 

⚪︎カレーうどん

 

僕も名古屋に行く時に調べてびっくりしたのですがカレーうどんって名古屋発祥だったんですね。まぁ、なのでこれも名物ということで笑、これも山本同様に若鯱家というのがチェーン店にもあるし、普通のお店にもあるらしいです。

 

⚪︎台湾ラーメン

 

台湾ラーメンといえば味仙でしょうね。ま、味仙は台湾ラーメンというよりも中華料理店なのでその中の一つのメニューという感じです。ただ手羽先同様に名古屋人は辛さに異常に強い人類なのか、この台湾ラーメンも辛くて常人ならすすれずにむせまくり苦しみの最中に追いやられます。

 

辛さを抑えたアメリカン、辛さを足したイタリアン、激辛のエイリアンが存在していますが辛いのが苦手な方はやめておいた方がいいかと思います。

 

実は味仙は大阪にもあるんですね。梅田丸ビルに(現在は営業休止中)あり、週1ペースで通っており、そこではいつもニンニクチャーハンと青菜の炒め物をか食べていませんでした。味仙はこういったメニューの方が個人的には美味しいと感じます。

 

また台湾まぜそばの名店としては麺屋はなびが有名ですね。

 

⚪︎モーニング

 

これは全国チェーン、写真逆詐欺で有名なコメダ珈琲店のようなお店が出す朝食メニューのことを指しています。あんトーストとコーヒーのセットなどが有名ですよね。モーニングというよりもあんこスイーツが有名なのが名古屋なんじゃないかなと。

 

スイーツ繋がりだと、”ぴよりん”も有名で名古屋駅構内で食べることが出来ます。ただテイクアウトは行列があるのでイートインの方が無難かなと。

 

最後に

 

ま、つらつら名古屋のことについて書いてきたわけですが、僕は数回しか行ってないんですよね笑。なのでもっと詳しい人はごろごろいると思うので、以上の文章が誰かの助けになってもらえたら嬉しい限りです。

 

思えば救いたいシリーズもどんどん規模が縮小されてきて

 

サッカーチーム3部作

FF救いたい系3部作

 

なる様相を呈してきました。次は誰を救うのか。

 

次の3部作に乞うご期待!!!

 

ちぇるちぇるらんどさん、救えるといいですね。

#くろーぷを救うより服を語りたい

 

第1章 私的ファッション史

 

ある日突然、友人がいなくなる。

ある日突然、当たり前が消える。

 

そんな時代の残酷さをここまで感じたことはないでしょう。

 

貴重な古着ヲタクシティズンのくろーぷさんはブルーアイズさんを罵倒した結果、ツイッター社から凍結を言い渡され、帰らぬアカウントとなってしまいました。

 

ご愁傷様です。

 

くろーぷさんは服好きなので色々話したいと思っていたんですよねぇ。

 

僕も服好きになって今年で7年目。

 

あれは、僕が大学生になった時のこと。

 

2017年です。

 

そのころのファッションシーンについて語りましょう。

 

時に2010年代前半、ディオールやサンローランが支配層の時代

プチギフト dior homme ディオールオム w30 スリム スキニー エディ クリス | www.tegdarco.com

スマートなモードスタイルを提示する支配層への叛逆が始まる。

 

ヴェトモン、オフホワイトが提示したラグジュアリー+ストリート

VETEMENTS – Moggie co-op Online

 

そしてヴェトモンのデムナ・ヴァザリアがバレンシアガのディレクターに就任し、全てが変わっていきます。

新生バレンシアガを率いる異色のクリエイティブ頭脳とは。デムナ・ヴァザリア インタビュー。 | Vogue Japan

 

インスタに代表されるSNSでのフレックス(見せびらかし)→ロゴドン台頭

ロゴドンはダサい?個人的に思うこととオススメブランドについて – おしゃれ部活動記録

ストリートライクな着こなしの流行→オーバーサイズがトレンド化

2021-22年秋冬トレンド】オーバーサイズが主流? 最旬アウタートレンド5選|ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)公式

ミニマム化の加速→ノームコア(究極の普通)の支配

ノームコアとは?メンズのノームコアコーデとおすすめのノームコアアイテムも紹介!

 

そしてこの流れの中で迎えた2017年、アウトドアブランドブーム到来

 

ノースフェイス、アークテリクス、パタゴニア、、、

 

数えきれないアウトドアブランドが流行しました。

 

ヌプシ、バルトロは店頭から消え転売ヤーの食い物にされ

アークテリクスは偽物がメルカリに溢れています。

 

そんな時代に牽牛星少年は飲まれるのです。古着屋に入り浸り店員と個人的な関係を築き上げます。

 

特に脱構築的アプローチを好む僕はマルジェラに魅了されるのです。


そして2020年代、時代は繰り返す。20年周期でトレンドは巡る。

 

Y2K(2000年代ファッション)の流行です。

 

トラックジャケット、ラルフローレン、スタジャン

などは古着で飛ぶように売れている。


そして僕は着ていて楽なファッションとしてストリート、アウトドア、スポーティの世界観に魅了された服ヲタク。そんな僕がここからのトレンドを予測していきます。

 

①ノームコアの減退

②ストリートブームの終わり

③根強く残るオーバーサイズ

 

①に関しては、着飾らない無地のファッションスタイルであるノームコアは必ず減退へと向かうでしょう。それは柄物の取り入れへと至ると考えられます。

 

例えば、柄シャツ。今ならワコマリアのアロハとかですね。


そしてスカジャン。Y2Kのトレンドでもあるスタジアムジャンパーの刺繍入りです。

②に関してはストリートブームの立役者でもあるヴァージルアブローの死去に加えて食傷気味のストリート系は緩やかに減退していくでしょう。ハイブランドは徐々にスマートなスタイルへと回帰していくと思われます。

 

しかし③で述べたようにスキニーを提案するブランドが増えてはきているものの、それでも着やすさを重視したトレンドは残っていくでしょう。

 

これらのアナライズの中で、今季の僕の狙い。それは、、、

 

上品さを程よく残したスカジャンや柄シャツの購入。

 

スカジャンは一歩間違えるとヤンキーファッションになってしまう。

 

だからこそ程よく上品なもの、そうなると別珍、いわゆるベロア生地が提案されるわけです。しかし、ベロアは埃が目立ちやすい。特に黒色は。


何かいいものはないのか、そこで出会ったスカジャンがありました。

画像

lookで見て、一目惚れした黒のS'YTEのスカジャン。

 

気品を漂わせる生地感。最高!

 

そして来る日も来る日もECサイトを眺める日々

 

そしてついに商品ページが出た。

 

よし買える!

 

しかしカートに入れるボタンがない。。。

 

そして問い合わせると、このアイテムは六本木のpop up用らしい。

 

僕に選択肢はなかった。

 

よし東京へ行こう。六本木へ行くんや。

 

生まれて初めて乗った山手線。

 

そして行き着いた六本木ヒルズ

 

そして、、、、

 

購入!!!

 

アパレルって本当に素晴らしいですね(CV水野晴郎)

 

高級感のある生地、美しい刺繍、オーバーサイズのトレンド感

 

最&高

 

まるでシティのハーランドのような最後のピースがハマった感覚。

 

ワードローブの完成、到達した完成系。

 

究極の達成感、走り抜けていく快感と高揚

 

しかし感じた、リュックやデカショルダーだと刺繍が擦れてしまう。

 

そう、僕史上最高にカッコいい背中を守らなければならない。

 

その背中を、、、

 

そこで今、僕が考えてるのはボストンバッグの購入。

画像

 

愛用のmac bookが入れられて様々な荷物を持ち運べるボストンバッグ

 

それが次に狙うものです。

 

ちなみにアロハシャツもワコマリアは注視していく構えです。

 

僕の旅は終わらないんです。ファッションは完成しない。

 

だからこそ面白い。それはまるでペップシティのように。

 

欠落を埋める狂気のスカイブルーの血が僕に流れているのでしょう。

 

バッグはトレンドが回りにくい。それはメンズがバッグレストレンドなので。

 

どうせならハイブランドのいいやつ一個買っちゃおうぜ。

 

そんな悪魔が僕の脳内で囁くのです。

 

 

 

(あ、そうだ、くろーぷさん。)

 

 

そしてそんな服好きトークが出来るくろーぷさんがいなくなったこと

 

心から悲しいと思います(軌道修正に成功)。

 

いつか高円寺の古着屋で会えたらなって思います。

 

ありがとう、くろーぷさん

さよなら、くろーぷさん

 

ブルーアイズさんの毛髪を救ったように

くろーぷさんとまたツイッターで話せる日が来ることを祈りましょう。

 

夢は言い続ければいつか叶う。

 

ボリスタデビューを飾った僕は強く感じます。

 

 

おかえり くろーぷさん。

 

そう言える日が来ることを。

 

ツイッターの凍結は異議申し立てから1週間で復旧することもあるそうです。

 

僕の救いたい効果がどれほどあるかはわかりません。

 

それでも信じています。

 

くろーぷさんの復活と僕のボストンバッグの購入を。

 

果たしてくろーぷさんは帰ってくるのか。

僕は良さげなボストンバッグを買えるのか。

 

以上、服の沼に堕ちた牽牛星の救いたい第5弾でした。(続く)

 

 

 

最後に

 

こんな服ヲタクの僕のくだらない駄文をいつも読んでくださってる方々に感謝申し上げます。皆さんのおかげでフットボリスタ様で記事を書く機会を与えていただきました。それはひとえに皆さんのおかげです。

 

心より読者様に感謝申し上げます。

#LIVを救いたい2

弊ブログにてかつてこのような記事をupした。

lilin18thangel.hatenablog.com

 

文字通り、苦境に喘ぐLIVについてなぜ苦しんでいるのか。どうすれば救われるのかという観点からライバルチームのサポーターの立場から現状の報告と提言を行った。

 

そこでは無秩序配置を指摘、その上で各選手の特性に合った配置に戻すことで上手くいくとしダブルボランチや3バック導入を提言した。

 

この記事を書いた次の試合でLIVは4231を披露。シティを1-0で破り、見事に”救われた”訳である。そして時は流れシーズンは終了。LIVは結果としてはCL権を逃しクロップ政権としては黄金時代の終焉を感じさせ、かつての覇権集団は見る影もなく厳しい様相を呈している。

 

そこで今回は、LIVを救ったはいいもののLIVを救いきれなかった自分自身の贖罪として来季どうすれば上手くいくのか、そして現状の問題点は何なのか、こういった部分にフォーカスし来季のLIVの復活を願うテキストを残そうと思う。

 

前編 TAA最大化の功罪

[http://Embed from Getty Images :title]

苦境に立たされたクロップ、解任も囁かれる中で蘇生の勝負手として選択されたのは旗頭との心中、TAAショットガンシステムの導入である。

 

433の布陣からRBのTAAが絞り偽SBロール発動、布陣は325へと変形する。TAAの中距離パスを用いて多くのチャンスを創出すること、そしてファビーニョとファンダイクをプロテクトするための2ボランチと3バックの導入。そしてTAAの守備的リスクの減退という僕がかつて”LIVを救いたい”で書いた提言が受け入れられているではないか。

 

起死回生の一手でLIVはCL権獲得に向けて確かな加速こそ見せてはいたものの自分は上手くいかないのでは、と考えていた。それはこの偽SBを利用した325というシステムはシティの基本陣形であり、利点と欠点、何が必要なのか、どうすれば機能するかということを長年嫌というほど見てきたからである。

 

そんな325の先輩であるシティについて少し語らせてほしい。

 

まずシティの監督ペップについては弊ブログを通じて何度も話してきたように最終生産者の最大化からチームを組み立てることが最大の本質と述べてきた。そしてシティにおいてはアグエロの最大化が至上命題であったわけだ。

 

そして考案されたのがアグエロロークロス爆撃システムである。

 

90分間決定機を増やしたい

アグエロにボールを集めたい

アグエロにロークロスを入れたい

→サイドから手数をかけず即座にクロスを入れたい

→同足WGを置きたい、また同足WGと協調しながらニアゾーンやペナ脇侵入できる器用なIHも置きたい

→ハーフスペースで待つIH、サイドにいるWGにパスを通したい

→偽SB、偽CBを運用してサイドへの差し筋を確保したい

 

この結果生み出されたのが325システムである。

 

4バック主体のプレミアリーグで猛威をふるった5トップシステムと可変を用いた安定的なビルドアップとポゼッションでシティはLIVとリーグの覇権を争い続けた訳である。

 

ここまで話すと賢明な読者は気づくであろう。自分が言いたいこと、そしてなぜLIVの325システムに対して自分が懐疑的なのか。

 

偽SBを手段として用いているシティとは違いLIVは偽SBが目的となってしまっているのではないかという疑念である。

 

LIVの最終生産能力の高い選手はヌニェスとサラーと考えられる。両名にとって325は果たして有用と言えるのだろうか。

 

まずヌニェスについては馬力で押し続ける選手で細かい芸当は出来ない。安定的なビルドアップをするために適宜ポジションを取り直し出口役になることも求められ、それが達成されると相手は退いてしまう。それはスペースがなくなることを意味するが、そんなロールを彼がこなせるだろうか。LIVサポーターに思い出して欲しい。なぜペップシティ1年目のCFはアグエロではなくジェズスが使われていたのかを。325のCFに求められる細かいリポジショニングが出来なかったからである。

 

そしてサラー。WGで大外に貼り付けになってしまいゴールからの距離は遠くなってしまっている。シティの場合はWGでもプレー可能なIHシルバ、ベルナルド、デブ神のような選手がサイドに流れてポジションチェンジしていたがLIVのIHにその質を求めるのは困難と言わざるを得ない。それでもシーズン19得点上げるのだから凄まじいのだが、活かせているかと言われると厳しい。

 

また後方に目を向けるとSBのトランスフォームによってTAAはボランチ化し、LSBのロバートソンはLHVのプレーを求められており、これも適材適所とは言い難い。シティではデュエル最強ウォーカー、本職MFのデルフ、ジンチェンコを両SBに配置していたので無理なく使えたがLIVではそうも上手くいっていない。そもそもダイクのプロテクトをするための3バックが、これでは本末転倒な気もする。

 

シティは325を長らく運用してきた。そしてLIVを始めとする強豪チームとの対戦を通じて独自の発展を遂げてきた。そしてそこで出てきた課題を並べていく。

 

同足WGは縦を切られると詰む(TAAによってサネ封鎖の17/18CL)

5トップワクチンとして5バックで埋められると詰む(トゥヘルのCHE)

可変は守備時にリスクになる(何度もLBの偽遅れを狙われた)

 

 

こうした数々の課題に対してペップは

 

逆足WGの使用

5トップ+1となるカンセロロールの使用

偽SBより戻り距離の短い偽CBの使用

 

といった方法で対抗してきた。

 

LIVがこの後を追うのかもしれないが、自分は否定的である。LIVの新戦術はTAAの最大化であるが、それが本当にLIV全体の利益に還元されているのか、その部分に対して自分は疑問を抱いている。

 

サッカーは得点を取り合う競技であり、攻撃的SBの最大活用が目的ではない。サラーとヌニェスの両名を中心にどうやって得点機会を増やし、ファンダイクとファビーニョをプロテクトしながら失点機会を減らすか、そう考えた際に、シティが散々やったことで耐性を持っているプレミアリーグでシティライクな325を展開するのは本当に正しいのか自分は否定的な立場である。

 

なぜならそれは今のシティが325と言いながらも陣形をほとんど動かさず4バックをガチムチにした4CBの442カウンターシステムが主武器になっているからだ。シティの後追いは金銭もかかるしリターンがシティほどシティのリバイバルで見込めるかも厳しいのであまりお勧めしない。

 

 

解決編 固定3バック導入のススメ

[http://Embed from Getty Images :title]

課題編でも述べたように、確かに433無秩序配置の反省は見え、TAA最大化システムという新基軸を用いて窮地を脱しようとするのは良いと思われるもののシティライクな325システムの運用に関してはIHの質の問題、サラーとヌニェスの犠牲などを考えるとどうも厳しいと言わざるを得ない。

 

前回の”LIVを救いたい”でも書いた通り343の運用がベストのように感じる。

 

TAAとロバートソンは両翼大外にいてこそだろうし、サラーとヌニェスはなるべくゴールに近いところに置きたい。そこにジョタやカルバーリョも配置したいところだ。カルバーリョはライン間でもプレー出来る選手であり、貴重な戦力に思えるのだが。

 

ファンダイクとファビーニョのプロテクトのためにデフォで3バック2ボランチシステムは設置しておくべきだ。ベリンガムを取り逃がしたことを考えても3センターの維持が出来るほど頭数はないのだからチアゴのスペ体質を考えると獲得が噂されているマックに加えてもう一枚中盤は欲しいところ。

 

自分の主張は前回の”救いたい”から変わってはいない。素晴らしい選手たちがいるのだから彼らの得意ムーブを組み合わせたチームにすればCL権獲得どころではなくCL優勝も争うことが出来るはずだ(中盤の補強は必須だが笑)。

 

3421システムでもう一度覇権を取って欲しいと願っている。

 

しかし、それでも325システムを続けるというならば、ヌニェスの大幅なレベルアップを待たなければならない上に、加齢による突破力の減退が考えられるサラーは苦しいキャリアを送る可能性もある。出来ることとしてはIHの質の向上であるが、それだけでうまくいくか正直微妙である。

 

格下にアーノルドの戻り遅れを突かれて失点する未来が、ジンチェンコとデルフに泣いてきた自分だからこそ見えてしまうので心配でならない。

 

終わりに

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ペップシティ7年間で5度のリーグ優勝。その歴史は325システム運用の歴史そのものであった。その中で様々なエラーを見てきたし、そこで様々なソリューションの提案も見てきた。しかし、それはシティだけではなくプレミアの他のチームも知っている。だからこそLIVのシティ後追い懸念をシティ定点観測者だからこそ感じてしまう。

 

シティの所属選手を集め始めているARSやシティライクな325にチャレンジするLIVを見ているとかつてのペップバルサのようにペップシティのフォロワーがついに出現したのかと心が躍ると同時に、『その道行くと行き止まりやで』という老婆心も発揮されてしまうわけである。

 

ずっとLIVというライバルに追いつけ追い越せでシティを応援してきて今季はようやく覇権集団への道筋も立ち、ホームではハーランド抜きの布陣で4得点を挙げて勝利出来ていよいよ天下も見えてきた。今季ARSとの首位争いにおいて仮に例年のLIVが競争相手であれば優勝は厳しかっただろう。

 

シティがマドリーに逆転出来るようなチームとなり成長してきたのは、ひとえに同国に強烈なライバルがいたからであり、好敵手としてLIVには強くいてもらいたいし、その上で、その強力なライバルを打ちのめせるチームでシティにはいてもらいたいと自分は強く願っている。

 

来季、覇権集団へと再び返り咲いたLIVとシティの最高の試合が繰り広げられること、そしてLIVを今度こそ救われるこを祈念し、記事を結ぶことにする。

ペップシティは大耳の夢を見るか

ジョゼップ・グアルディオラ(以下ペップと呼称)。言わずと知れた欧州サッカー界の名将の1人であり、トップチーム監督デビュー以降、華々しいタイトルの数と様々な手筋で見るものを魅了し、多くのフォロワーと多くのアンチを生み出す男。

 

バルサで伝説を残し栄光の4年間に獲得可能な19のタイトルのうち14を獲得。事実上の世界タイトルであるチャンピオンズリーグ(CL)のタイトルは2度も獲った。それもただの戴冠ではない。バルサの歴史上最もバルサらしく勝ち取り、そのプレースタイルは多くの観客を惹きつけ、多くのコピーを生み出した

 

CLのタイトルトロフィーは持ち手の部分が大きな耳が二つ付いているように見えることからビッグイヤーと呼ばれる。邦訳すれば”大耳”。このタイトルを取るために数多の名将は頭を悩ませるわけであり、ペップも例外ではない。

 

バルサでの2度の大耳制覇、3年で2度獲ってから彼は11年もの間、大耳から遠ざかることになる。それは一体なぜなのか?

 

以前にも一度弊ブログでは”ペップの大耳10年戦争”というタイトルの記事を執筆した。

lilin18thangel.hatenablog.com

 

ここでペップという男についてずっと見続けた自分による本質的なペップという男の特徴と、大耳というタイトルを取る上で欠かせないであろうことを述べあげ、ペップの10年間の歩みに加えて大耳制覇のための3ヶ条を最後に付して記事を閉じてある。

 

そして22/23シーズンである。ペップシティはかつてないほどに大耳制覇の可能性が高くなっている。果たして大耳戦争を終結させることが出来るのか。GWでお暇な方の時間潰しにでもなればと牽牛星ブログ恒例の長文の暴力を味わってもらおうと考えている次第である笑。

 

ペップシティ7年目の現在の状況の説明に加えてペップのこれまでの挑戦と自分なりの評価や総評を付して、シティってどんなチームなのか、ペップってどういう監督なのか、知りたいと思われる方に向けてペップを14年間定点観測し続けた男の文章が役に立ってくれると幸いである。

 

弊ブログの読者様であれば、第5章から読んでいただければと思う。そこまでは初めてこのブログを読む方向けの復習パートである。

 

 

 

第1章 バルサでの殉教

 

1-1 バルサとは何か

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FCバルセロナはよく”クラブ以上の存在”と言われることが多い。チームのスローガンなのだが、自分の解釈ではこうなる。

 

オンリーワンのプロセスでナンバーワンを掴み取るクラブ

 

世界最高のクラブとはどこであろうか。定性的な議論では埒があかないだろうが分かりやすく考えると世界で一番価値のあるタイトルを獲得した数で見ようとすると当然ながらレアルマドリーとなるわけである。

 

このナンバーワンのマドリーに正面から戦っては分が悪い。なので独自の戦略と戦術を用いてゲームをハックしてしまえばいいというのがそもそもの発想となっている。そこでアヤックスのサッカーをインポートし独自解釈と発展を促し続けたのがミケルスとクライフであり、後者のサッカーは多くの人々を魅了しドリームチームと呼称された。

 

クライフバルサで4番(ピボーテ=ワンボランチ)を務めたペップが監督として君臨するとペップはクライフの思想の現代的な表現を与え、ゲームを完全にハックしてしまった。そして初年度7冠という大偉業を達成した。

 

ワンタッチで小気味よく交わされるショートパスの連続はティキタカ(チクタクという時計の針の音にちなむ名称)と呼ばれバルサの代名詞とされた。

 

しかし、それは本質的なバルサの特徴ではないと自分は考えている

 

クライフサッカーの特徴と似てはいるもののペップのそれは異形であり、その突然変異的な挙動そのものがクライフ正道の保守的表現とされてしまったことが後のバルサにおける様式美を巡る議論を喚起してしまうのである。

 

ペップがバルサでやったことはとてもシンプルである。

 

絶対的最終生産者の生産効率の最大化模型の設置

模型の無限発動を目的とする支配構造の確立

 

この2点である。

 

ペップはパスサッカーをしたのではない。メッシという歴代最高選手の得点能力の最大化から逆算されたサッカーを展開し続けただけである。

 

そしてこのアプローチそのものがオンリーワンであり、実にバルサらしいサッカーであったがゆえに様々な歪みを生じさせたのも、また事実なのである。誰も見たことのないサッカーで誰もが欲しがるタイトルを掻っ攫う、バルサの哲学でもありペップの哲学でもあるように思えてならない。

 

1-2 伝説

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ペップが就任して取り掛かった最初の仕事は綱紀粛正であった。ライカールト前政権での取り組みを見て不要と思える選手を放出し続けてチームを再編した。初年度のアンリ、エトー、メッシの3トップは猛威をふるい、中盤ではチャビ、イニエスタ、トゥレが安定感を見せ、チームはあれよあれよという間に全てのタイトルを取ってしまった。ボールを回し続けて右WGメッシが絞ってバイタルでボールをレシーブ、そこから外のアンリと裏のエトーの3点アタックが炸裂し続けたのである。

 

しかしながらCHE戦では怪しいところが複数あり、そこの修正として高さを求めよりメッシを中央で輝かせようと4231にトライした。エトー+4000万ユーロと引き換えにイブラヒモビッチを獲得し新たな次元へと向かおうとしたものの、イブラが後半戦に入るとブレーキとなり古巣インテル戦では全く役に立たずピケを前線に上げてのパワープレーで得点出来たことから高さの優位性というイブラ獲得の大義も消え失せ1年での退団となった。

 

そして迎えた10-11シーズン。このシーズンからハッキリとペップの色が明確になる。得点能力に秀でたメッシの特徴であるUT(ユーティリティ)性と狭い領域でのボールプレーの正確さとドリブル能力を見込んで偽9番というポジションを与えた。そしてメッシがいかにバイタルでボールをレシーブ出来るかの一点に全ての労力と資本を投下する仕様となった。

 

バイタルエリアを空けるために相手DFの裏を常に狙うビジャとペドロで相手を牽制し、また狭いバイタルでもボールを供給可能な中盤としてチャビ、イニエスタブスケツが選ばれた。中盤にマークが集中してもGKバルデスやCBピケが組立に参加したり、さらに本職がDMFのマスチェラーノをCBとして使った。目的はただ一つメッシの待つバイタルへ向けてボールを進めることのみだ。

 

この至極単純明快なシステムはこのシーズンに集大成を迎えリーグとCLの2冠に輝き今でも歴代最強のチームとして多くの人々の心に残り続けている。

 

1サイクル3年論者のペップは4年目に更なる高みを目指す。クライフ時代の343を復権させようとした。しかし目的は同じ、メッシのバイタルを更に開くこと。セスクを入れて裏攻めを強化、更に両翼には純正WGを入れて更に攻撃的に振る舞おうとした。しかしビジャはCWC(クラブW杯)で大怪我を負い、サンチェスも怪我で度々離脱。これにより両翼にはカンテラーノのテージョとクエンカが起用された。

 

相手からすればバイタルを極端に圧縮しそれ以外のスペースは全て捨てる。この戦略を思い切ったCHEによって実現され4年目のシーズンは終わりを迎えた。4年目のペップバルサにとって必要だったのは1年目のアンリやエトーだったというのはあまりにも皮肉かもしれない。

 

バイタルにメッシを置き、外、裏に抑止力を設置しなければならないというペップが残した”遺言”は後に外のネイマール、裏のスアレスを用いたエンリケのMSNとして具現化され、それが現在のバルサ最後のCL制覇となっている。

 

1-3 ペップバルサとは

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1-1でも述べた通りペップとは最終生産者の最大化模型を作り、そこから逆算された構造で無限ハメ技地獄を作りだす監督である。ポゼッションサッカーやティキタカというのはあくまでも表層的なものに過ぎずバルサはその好例である。

 

メッシはバイタルでボールを受けさえすれば得点が入る。バイタルにとにかくボールを入れるために延々とボールを持ち続けた。その結果、バルサはティキタカのパスサッカーと表現されてしまい、ポゼッション率で相手を下回ろうものなら教義に反するとしてスキャンダルものの騒動に発展することもペップ退任後あったこともあったが、それはひとえにペップサッカーそのものを保守本流とみなしたことのツケだろう。

 

その精算をしているのがチャビなのもなかなかに興味深い。モウリーニョがマドリーに流れていた騎士道精神を壊し実利主義的に書き換えたようにチャビがやろうとしているのはバルサらしさ=ペップバルサ、という方程式を書き換えようとしているのだと個人的には見ている。それほどまでにペップバルサとは圧倒的だったのだ。無理もない。

 

しかし、ペップバルサはクライフバルサとは挙動が微妙に異なるが、オンリーワンの方法でゲームをハックしナンバーワンのマドリーに打ち勝つという意味では精神性は間違いなく”バルサ”的であったと言えるが、実態としてはメッシにいかにゴールを取らせるかという一点に特化し続けた集団であり、クライフ時代のような強烈なWGによる突破はなかった。むしろあれば良かったのだろうが。

 

ペップバルサの偽9番とUT集合体は数多くの信者を生み出した。そしてメッシの得点能力最大化装置という本質を理解しないままに純正FWなしの成功という誘惑的な虚像に囚われた結果多くの屍が積み重なり、そうした失敗例がペップバルサという奇跡を更に輝かせるのであった。

 

しかし最大の皮肉は後のペップがシティにおいての第2サイクルにおいて偽9番というペップバルサ信者の屍の後を追ってしまったことだろう。

 

美しき共産主義的な虚像を見せたペップバルサにてメッシにバイタルエリアでボールを持たせ続けるシステムという異形のオンリーワンでナンバーワンを掴み取る、そんなクライフの精神性を支持し現代的な表現を与えて殉教へと至ったペップの遺産はいまだに輝き続けるのである。

 

第2章 バイエルンでの巡教

 

2-1 鉄の三角形

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『ここ(バイエルン)で仕事するのが容易に想像出来る』

 

そう呟いたのはペップである。バルサ4年目のアウディカップ(オフシーズンの親善試合)の後、バイエルンフロントのカール・ルンメニゲとウリ・へーネスはハインケス勇退後の指揮官を探していた。バイエルンの両名とペップの3人は強い結束で結ばれることになるのだが、ペップはバルサ後のセレソン監督就任を狙っていたが困難となったために1年の休養期間を経てバイエルン指揮官になることを決意した。

 

ハインケスの3冠チームを受け継ぎ、そして更なる高みへと導くことが求められた。ルンメニゲとへーネスが求めていたのはブランド力だった。世界中の注目を集めうる監督のもとで大きなブランドへとバイエルンを押し上げてくれる人物を求めていた。

 

ペップもバルサでしか成功したことのない指揮官という立ち位置をアップデートすべくある程度成功が約束されたクラブを求めていたので思惑は合致していた。そして3者面談の場において選手補強や移籍戦略が話し合われた。そこでペップが提案したのは実に彼らしいオーダーだった。

 

才能のある選手、特にアタッカーが欲しい。彼が列挙したと伝えられる面々はスアレスネイマールレヴァンドフスキである。スアレスは素行面からバイエルンフロントが拒否し、ネイマールは移籍に関して権利関係が面倒なのと当人のリーガ移籍願望の強さから撤退。残り契約が1年半ほどのレヴァに狙いを定める。しかし所属元のドルトムントは放出を拒否する。こうして最終生産者抜きの初めてのシーズンが確定した。

 

そして獲得されたのはゲッツェとチアゴであった。ペップのバルサでの4年間がいかに恵まれていたかはこの時からも明らかで、プレシーズンからボールは回らずドルトムントとのドイツスーパーカップではボコボコにされてしまい、ペップは早速ドイツの保守派から総スカンを喰らうことになるのである。

 

2-2 輝く両翼

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ペップとはどういう人か、それは前述した通りだ。手駒の中で最も得点能力の高い選手の得点能力を最大化させる装置を生み出す。そして生み出された装置を無限開放させるための環境を整えるバイエルンの中でそれはロッベンリベリーだった。つまり外攻めの逆足ウインガーの能力の最大化となる。

 

ロッベンリベリーにとって一番良いのは1VS1である。ここまで持ち込めば大抵は勝てるだろうしそこから中に入ってズドンというイメージであろう。だからこそWGに対しての2枚の挟み込みを殺すことが求められるわけである。ちなみにWGとSBのダブルチームでWGを殺しにかかる方法はモウリーニョの18番なわけで、モウマドリーとの対戦で疲弊したペップにとってモウの亡霊との戦いとも言えるわけである。

 

早い話がダブルチームを壊す方法はダブルチームの片方を外から剥がせばいいのである。そんなわけでペップが取った作戦がSBの内側寄せ、通称偽SB(ドイツ本国では偽IHとも言われていた。これは定義の問題でIHでないのにIHの位置に来ていることを偽とドイツでは表現するメディアが複数いたことに起因)を用いて相手サイドハーフを内側に引き付ける。食いつかなければSBが内側でボールを受けてサイドに展開する。

 

こうしてラームとアラバの2人は偽SBというUT性を用いた解決でWG開放スキームを作り上げたわけである。バイタルにとにかくボールを運び続けメッシを活かしたように、バイエルンではとにかくボールをサイドに集めロッベンリベリーを活かし続けることにしたわけだ。

 

一部ではバイエルンバルサ化と言われていたが、これも全くのデタラメであり何度も言うがペップの興味は最終生産過程にしかないのだ。そういう男なのである。

 

そして最終生産者をオーダーしていたペップのアナライズは正しかった。ロッベンリベリーでは大耳を取れるだけの耐久力と得点力に乏しかった。そこで彼らを諦めてレバンドフスキを1年遅れで獲得し組み直す。そしてレヴァの得意技と最適挙動を定めるのに1年を要したもののペップ時代3年目にシステムは完成した。

 

同足ハイクロス爆撃レバミュラ生産過程である。

 

ひたすらサイドにボールを渡す1年目のスキームに変化を加え、そこから同足のコスタとコマンが突破しクロスを放り込むスタイルだ。レバは丁度いい案配で気の利いたポジショニングの出来る選手(ミュラー)が好きでWGには外で張っていて欲しい。さらに裏抜けが大得意なのでロングキックの得意な選手を後ろにおいてほしい(ボアテン、アロンソノイアー)ということを理解し完成したのである。

 

2-3 ペップバイエルンとは

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バイエルン時代はケガとの戦いであった。それゆえ満足なスタメンを組むのにも苦労する始末で苦労をUTで埋める毎節で、それゆえに常にどんなサッカーをするのかと毎度毎度議論がなされていた。

 

しかしバルサ同様の大成功を収めることは出来なかったものの、バルサでやっていたことと本質的には同じことであった。得点能力に優れた選手の最大化、そこから逆算された支配構造の設置。これこそペップの真骨頂なのだ。サッカーという競技が得点数を競うスキームである以上、得点能力を持つ選手の最大化が得意なペップが欧州サッカー界の中心にいるのは当然と言えば当然なのだ。

 

初年度はロッベンリベリーの最大化、3年目はレバミュラの最大化。やってきたことはこれまで通り。ただ大耳に届かず3年連続4強敗退となってしまったのはやはりケガ人が多すぎて安定しなかったことも大きい。ゼロセンターバックシステムであったりクワトロSBシステムであったり、ケガ人が多いからこそ、それを埋めるペップの知恵が見れて面白くはあったのだがペップバルサを超えるチームにはならなかった。

 

ウリ・へーネスは脱税容疑で収監されてしまったことや、保守的なバイエルンファンからの批判的な論調はペップを苦しめたかもしれない。バルサ化など目指していなかったのにバイエルンはティキタカをしていると言われてもいたし、ペップ本人がティキタカはクソッタレだと怒っていたのも納得である。

 

そして自分が最も興味深かったのがノイアーのフィールドプレイヤー起用計画である。ノイアーボランチとして起用しようとしていた。これが具現化されていればサッカー界に議論を起こせた可能性もありGKの運用としてもライバルとの共存を含め様々なことが考えられたので大変残念である。この起用をしようとした時に止めたのがルンメニゲであり『敵軍への挑発行為になる』と言われたそうだ。鉄の大三角が本当に良かったのかも疑問を残すところである。

 

ソリアーノとチキとの大三角による成功の再現

生産過程の構築によるペップモデルの成功例の増加

バルサ以外でのチームの成功

 

これらを求めたペップの冒険は静かに幕を閉じたのであった。

 

第3章 始祖の地にて

 

3-1 友を追いかけて

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ペップが次に選んだクラブは、チキとソリアーノの待つシティであった。バルサ時代の再現を狙いつつ自身の夢とも語っていたプレミアリーグでの監督キャリアは幕をあける。そしてバルサ時代と同様に粛清から始める。そして各ポジションにリクエストを出しつつも微妙に第1志望からは外れたもののメンバーは揃った。

 

俺たちはグアルディオラ取ったんやでぇ的なチャントをシティズンが歌うと同時に自分は一抹の不安を隠せなかった。それは単純にこれまでのペップチームの中で最弱のメンツであったからである。さらにペップが来たんだからCL取れるっしょ的な空気感にも不安を感じていた。

 

いや、このおっさんはリーグ向きなんやけど。。。

 

しかしペップはブレない。もうしつこいだろうがあえて言おう。チームにおいて最大得点能力保持者の最大化を目指す。それはアグエロである。彼は身長はないが神出鬼没のポジショニングで一瞬の隙を見逃さずボックス内で枠を確実に捉える純正ストライカーでありアブダビシティに栄光をもたらしたクラッチゴーラーである。

 

そしてペップが選んだのはロークロス爆撃モデルである。サイドの選手にボールを入れて同足のスターリングとサネがぶち抜いてロークロス、それをアグエロが押し込む形を最終生産過程と定める。そのためにハーフスペースでIHを経由してのプレーを狙いシルバとデブ神をIHにコンバート。4番には万能のジーニョが用いられた。ここまでは良かった、そうここまでは。

 

しかし偽SBが一切機能しない。補強が足りていなかったのだ。そこに加えてアグエロは耐久力も低く、最適配置を理解出来ていない部分が散見されていた。そして冬に加入したジェズスがスタメンに抜擢されると輝きをますシティであったが、初年度はペップ史上初の無冠に終わってしまった。

 

2年目、SBをフルーツバスケットしようやくチームは機能し始める。

 

偽SB→ハーフのIH→サイドのWG→折り返してアグエロ

 

この形が猛威をふるい、4バック主体のプレミアリーグにおいて可変5トップの325システムは凄まじい破壊性能を誇った。しかしCLでは8強が限界であった。LIV戦ではアグエロの体調が不安定で機能せず、メッシ抜きのバルサ、レバ抜きのバイエルンのような夏休みのない8月のようなシティは怖さが全くなかった。

 

3-2 壁

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3年目、主な補強はマフレズのみ。そして昨季の反省を活かしてコアプロテクトを徹底する。より正確に言うならアグエロの出場時間を抑制するようにチームが管理に入ったのである。

 

リードしていればアグエロは70分を過ぎた頃から交代に入る。そしてジェズスとバトンタッチして交代。これが日常であった。LIV相手でのゴラッソを始め、大事な試合でアグエロを欠くことのないようにと気を使っていたシーズンであった。そこに加えて同足クロス爆撃のアレンジとして逆足攻撃も加えようとしていた。右に左利きのマフレズ、左に右利きのスターリング、これによって自在に相手を幻惑しようと戦った。

 

リーグではLIVの猛烈な追い上げもあり極めて緊張感のあるリーグ戦となる中で国内カップであるFAカップカラバオカップは両方制覇。リーグに関しても14連勝でフィニッシュしコンパニのラストシーズンに花を飾った。

 

しかしである。。CLである。。。

 

アグエロは無事に出場出来た。しかし1stlegでPKを外してしまい2ndlegでは2度の際どい判定もあってTOTの前にアウェイゴール差で負けてしまった。アグエロが悪いと言いたいわけではない。しかしながらアグエロで外してしまえばペップシティには成すすべはなかった。

 

アグエロの能力の最大化、それに徹した3年の答えは国内制圧は出来ても国外では厳しい。そして興味深いのがCLで負けた相手がLIVとTOTという国内の相手であるということであり、この3年間でペップシティはリーグ戦のような試行数の多い系においては機能するものの試行数の少ない系において厳しい結果を招いてしまうという現実だ。

 

バルサバイエルン時代において一度もCL4強に行けなかったことはなかったのにも関わらずシティでの3年間では一度もたどり着けなかった。優勝以前の問題であり、何かがおかしいというのは明らかである。

 

そしてアグエロはペップ政権3年目をもって事実上キャリアを終えることになる。次のシーズンからは耐久力の劣化は絶対防衛ラインを超越し戦力としてはカウント出来なくなってしまう。

 

まるでペップの1サイクル3年説に従うようにアグエロは3年の時をもってペップ時代初期3年の主人公としての役割を終えるのであった。

 

3-3 アグエロ時代とは

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メッシシステム、ロベリシステム、レバミュラシステム、アグエロシステム、この4つはペップが生み出した最終生産モデルである。過去3作品と比べ、なぜアグエロシステムはCLにおいて機能しなかったのか。それについて考えることとしよう。

 

大抵、難問というのは複数の要因が絡み合い生じるものでこれはおそらくであるがアグエロ本人の素養に加えてLBに代表される守備コア不足もあるのだ。LBメンディは論外の耐久力の低さからプロパーLBは不在。そしてDFラインの要であるラポルテとオタメンディのコンビもCLレベルにおいては厳しさがあった。

 

負け、それは得点が失点に比べて少ないということでTOT戦もLIV戦もどちらも合計スコアは派手なもので失点が多すぎる、相手の最終生産に耐えうるだけの守備力がないということがまず挙げられる。

 

そしてアグエロである。ロベリと同様に耐久力に問題があり3年目はプロテクトをしたものの残念な形で終わってしまった。そして何よりもメッシやレバミュラの時は生産までのフェーズが少ないというのがある。バイタルへの供給、サイドへの供給からの中央へのクロス爆撃、これに比べてハーフスペースからサイドへ、そしてロークロスとメッシ時代と比べると2段多いのである。

 

こうしたズレはバイエルン時代の失敗にも共通する。そもそも最終生産者の”ステージ”上にボールを供給するところからのズレはあるのだ。シティで言えばアグエロシステムというよりもIHが得点するスキームでなら上手くいくのではないかと思えてならない。デブ神とシルバに得点させることが出来れば。

 

しかしペップ自身は3年間の苦悩によって、そこを埋めうる何かを出さなければならないと感じてしまったのかもしれない。そしてここから3年間の新たな時代へと入るわけであるが自分は極めて否定的な見解をもっている。それは上述内容から明らかだろうがペップという男の本質に反しているからである。

 

アグエロ時代、それはペップにシティでの自信を失わせるのに十分な3年間だったのかもしれない。何かを変えなければいけない。普通にこれまでどおりでは通用しないしCLでは勝てない。その恐怖と焦燥が作り上げたのがゼロトップ時代という呪われた時代なのである。

 

第4章 ゼロの焦点

 

4-1 王座

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アグエロが耐久力の限界を迎え、次代のエース候補として、スターリング、そしてジェズスが列挙される。得点力から考えてスターリングが選ばれたのは必然か。そしてチームはゼロトップへと舵を切る。しかしペップシティ4年目は苦難の連続となった。

 

怪我人が連発しコロナ禍突入によりリーグも波乱を迎える。LIVが走り出すも止めることの出来ないシティはカラバオカップを取るので精一杯であった。スターリングは王位に座るにはシルバという従者が必要であり、そのシルバがペップシティ4年目をもって退団したことは事実上の王座の空位スターリングシステムの構築ではなく純粋なゼロトップへと舵を切ることを余儀なくされた

 

ペップの行動原理は一貫している。得点能力に優れた選手の最大化。ではスターリングの能力を最大化するにはどうすれば良いのか。そもそもスターリングとはどういう選手なのだろうか。アグエロ時代の同足RWGで安定感のあるプレーを見せる。また耐久力も抜群で国産のタレントとして注目度も非常に高い。

 

しかし実態としてはダビシルバがいるからこそ成り立つ選手であり、周囲の理解がなければ成立しない。EURO2020を見ると明らかなようにグリやマウント、フォーデンらが黒子となって支え、そして後ろからは気の利いたルークショーが加勢する。そして中央のケインは10番のように振る舞いスターリングは王様としてチームを決勝にまで導いたのである。この再現をシティにインストールしていたらどうなったのだろうか。

 

メッシ、ロベリ、レバミュラ、アグエロ、と来たペップシリーズは遂にゼロトップというペップバルサのフォロワー作品の本家による表現という時代を迎えた。

 

4-2 救世主と加勢

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ゼロ生産者となりスターリングシステムの構築にも失敗したペップシティは5年目に最悪の状況に陥る。優勝はおろかCL権さえ危ぶまれる状況であったがオタメンディを放出して獲得されたルベンによりチームは輝きを増し始める。ルベンのコーチングによりストーンズが復活。守備の安定感は”遊び”を許容するようになる。SBカンセロは偽SBとしてボランチ化した後に前線へとあがり5レーンに加勢する。6番目の攻撃者としてチームを盛り立てる

 

カンセロが上がり浮いたベルナルドがボールをキープし最後はギュンが決める。ゼロトップ時代のハメ技の完成である。連勝街道に乗り、いつの間にか首位に立っていたシティはその勢いのままにリーグとカラバオを制覇する。カンセロロールで復活したチームであったがいつしかカンセロの守備能力の低さからDFラインはウォーカー、ストーンズ、ルベン、ジンで固定されCLでは念願の8強超えを達成するも準優勝。

 

奇策ハゲ炎上祭り2021が開催されるわけだが、スターリングとギュンの起用云々よりも5レーンを封鎖されると生産システムを持たないシティはデブ神とフォーデンの閃き頼りになってしまう中でデブ神が負傷交代で途中離脱、そしてLBの守備力の無さを突いてきたトゥヘルによってシティはウノゼロ敗北を招いた。

 

ペップシティ6年目はスターリングシステムの構築に移行する。グリーリッシュを獲得し、そして加勢するLBとしてメンディを抜擢。さらにケイン獲得を狙った。しかしケインは取り逃がし、メンディは性犯罪者として逮捕。こうしてスターリングのシティでのキャリアは事実上終焉した。より正確に言うならば玉座に座る道は完全に閉ざされ、脇役扱いを好まずデブ神と同額レベルの年俸を要求する男はシティでの居場所を失いファンからの信頼も徐々に薄れていった。

 

ゼロトップという苦肉の策は3年目を迎え、そしてチームは耐えて耐えてデブ神とフォーフォーデンに全てを託しつつ、リスク覚悟でLBカンセロを選択した。しかしながら国内カップは全て敗退。黄金時代の集大成を狙うLIVが国内カップは総取り。リーグ戦でも肉薄されるもののスターリング、ジンチェンコ、ギュンの活躍もあって劇的逆転勝利でリーグタイトルは防衛出来た。

 

そして課題のCLである。マドリーに大逆転を喰らい敗退。一発勝負への弱さを露呈したシティはCL最多優勝クラブの前に散った。

 

4-3 ゼロトップ時代とは

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自分はゼロトップ時代については控えめに言ってクソだと思ってるが、ペップの気持ちも理解できなくはない。というよりもペップのやり方自体が通用しなくなってきているというのがあるのではないかと考える。

 

ペップがバルサ指揮官だった頃に比べてハメ技の賞味期限が短くなってきている。分析のスピードとソリューションの提案のスピードが向上することで対応されてしまうまでが極めて早くなってしまうので、最終生産過程の規定化自体が危険な行為なのではないかと考えるようになったのかもしれない。

 

だからこそ一定の空白をもたらし、そこに遊びとしての可動域を一定設定し個人能力に優れた選手の個人技による即興性を付加させることで対策を取りづらいように変えてしまう方がいい、それがペップの出した答えだったのかもしれない。

 

ペップを見続けた人間として最終生産者抜きのペップがCLを取るのは極めて困難と考えるのは納得してもらえるだろうが、ペップ自身がアンチペップ的な、ある種の生産過程の規定化の否定を決断した。それがゼロトップ時代だったのかもしれない。

 

ケインを取り損ね、スターリングシステムの構築が困難になったがゆえなのか、それとも本来の狙い通りなのかそれは謎のままであるが。

 

そしてバイエルンでのロベリーシステムの名残を受け継ぎ外への経路制作のスキームをレバミュラクロス爆撃にも応用したように、この後、ハーランドという最終生産者を獲得するものの、ゼロトップ時代に培われた構造自体は受け継がれることになるとは定点観測者の自分も全く予想だにしなかったのである。

 

こうしてポストアグエロ時代は終わり、新たな時代が開幕するわけである。

 

第5章 MCI 22/23レビュー(仮)

 

5-1 戦後処理と新時代

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ゼロトップ時代3年間が幕を閉じると同時に市場が開く前からシティ周辺は騒々しさを増していった。

 

ハーランド加入決定

 

シティズン待望の最終生産者の獲得。これでついにペップの本領発揮なわけであるが、その前にペップ恒例の粛清から夏は始まった。

 

それは、まるで戦犯処理の様相を呈していた。

 

シティが大耳を取れなかった原因は最終生産者とLBの力不足、この2点に尽きるわけである。そして前者を担ったのがスターリングとジェズスであり、後者を担ったのがジンチェンコとカンセロである。

 

奇しくもと言うべきか、22/23シーズン後半になって、以上に列挙した4名はいなくなった。カンセロは正確にはレンタル移籍なので帰ってはくるが事実上構想外に等しい。いわば、こうした戦犯を放出しチームを再建することから今季は始まった

 

シルバがいたからこそ輝けていたスターリングは要所での活躍は見込めず、ジェズスは絶対的なクオリティが欠落しておりジンチェンコは対人能力は一向に改善する兆しさえなかった。カンセロも遊びとしては機能しても格上相手ではリスクにしかならず、彼らの粛清が次への移行には必須だったのだろう。

 

スターリングはチェルシー、ジェズスとジンチェンコはアーセナルへと移籍し、彼らの残した移籍金はシティにとっての久々の売りオペ成功例となった。

 

そしてやってきたのがハーランド、アルバレス、フィリップス、アカンジである。本当ならここにククレジャも獲得予定であったが、例年のごとくチキったわけで。チェルシーの高額投資の前に戦略的撤退をしたわけである。

 

こうして、新生シティの新たな時代が始まった。

 

時代の名前はハーランド

 

ハーランドにいかにして得点を取らせるか、その一点集中のチームが誕生した。

 

 

5-2 ハーランド祭り

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耐久力に不安があり、ゴールパターンが左足シュート依存が高く、イブラの二の舞になる可能性がある

 

これがよく聞かれた懐疑論である。

 

今、改めてこれを読むと笑いが止まらない。完全に覆したからだ。

 

というよりもハーランドの成長スピードと学習能力の高さが凄まじいのだ。苦手と思われていたポストプレーも急に出来るようになったりビッグゲームで消えてしまうところがあったのに、突如としてゴールも決め出す。

 

シーズン当初は怪我を一切せず、ひたすらロークロス爆撃と裏抜けで相手DFをキリキリ舞にしハットトリックを積み上げるという祭り状態であった。しかし、その祭りの裏で悩ましい一件が起こっていた。

 

ハーランドの得意技はゲート破りのランであるが、ゲートは広いに限る。そう広大なスペースなら最高だ。さらにデブ神はポジティブトランジションの鬼であり、カウンターに転じた時の高速ドライブからの最適判断のパスを投げ放つという天下一品の武器を持っている。

 

こうなるとシティの最大値は、デブ神とハーランドのカウンターアタックとなるわけである。しかし、それは準備が整っていない状態でボールを失う危険性を内包する。このことから例年になく失点が増え、例年になく格下相手でもポロポロ勝ち点を落とす始末であった。LIVやCHEが低迷していたことも手伝ってシティには”猶予”が与えられたわけであるが、ARSはしっかりとそこを逃さず首位を走り出した。

 

リコルイスの抜擢こそあれ、チームにはどこか疲弊感が漂っており、マフレズの調子は上がらずウォーカーも万全ではない。何かがおかしい、そんなシーズンである。

 

ペップはカウンター自体は否定しない。しかしバルサバイエルン、シティ、どの指揮においてもボールを失っても良い状態をパスの連続で作り出し最適配置のもとで相手を殴ることを求めていた。全員でボールを運び、そこから群れとなって襲いかかることを理想とし、最終生産者の最適化という旗印のもとに相手を完膚なきまでに叩きのめすことを理想としていた。

 

カウンターが最大値、という課題に対してペップは頭を悩ませる。一時期は秩序とカオスのバランスについて会見で述べていたこともあったほどだ。

 

そしてペップは、この疑問に対して回答を出すことになる。

 

5-3 ゼロは死なず

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その答えは、ゼロトップ時代の精神でハーランドを取り込む

 

意味がわからないだろうから説明を加える。

 

ゼロトップ時代、それは明確な最終生産者を置かないということである。正確に言うと絶対的最終生産過程不在のままにチームを作り上げるということで、それはペップの仕事としては異形であることは前述の通りである。

 

ハーランドの理想の最終生産過程はカウンター。そう判断したペップが取ったのが、支配層選手の即興芸を最終生産過程とし、その曖昧な遊びを含んだ過程から逆算し、明確なフィニッシュパターンを設計しない、というものだ。

 

ペップは自身の理想と現実の間で折衷案を出したのだ。これはかつてサイドに生産過程を建築しようとし、その残骸をレバミュラ爆撃の際にWGへのパス経路確保として再利用したように、ゼロトップ時代の最終生産課程を規定しないという精神をそのままに即興芸を終点としたのである。

 

ハーランドとデブ神のカウンターアタック。そしてリスクとなるのはトランジション時の守備的リスクである。そのためバックスはこれまでの23ビルドに代表される偽SBダブルやカンセロを用いた6トップ攻撃は捨てられた。

 

求められたのは屈強な5人による32ブロックの構築である。そしてSBに用いられたのは純正CBのアカンジ、アケ、ストーンズといった選手たちで、カンセロは完全に構想から外れてしまいバイエルンへとレンタル放出されていった。

 

後ろをしっかりと固め、中盤でのプレスはミニマムにする。デブ神とハーランドのカウンターアタックを最大化するために、ハーランドの開けたスペースへの突撃としてシャドーに任命されたのはギュン。WGは攻撃性のないSBを後ろにおいても問題ないほどの数的不利でもボールを失わずに運べるグリーリッシュとベルナルドによる偽WGが用いられた。

 

こうして完成したのはクワトロCB+偽翼によるハーランドとデブ神のカウンター最終生産過程。これが今季のペップシティの姿である。

 

精神性としてはゼロトップ時代とまんまなのだ。確かにゼロトップ時代もスタンドアローンな挙動が最終的には複合的産物の意思のようになるスタンドアローンコンプレックス的な現象が見られたと言及したことがあったが、今回はまさにそれである。

 

今回、弊ブログのファンの方には耳が痛くなるほどにペップの仕事における本質的解釈と自分が考えるものを述べてきたが、今回、異形に見えるペップシティもよく考えると彼らしい作品であると言える。

 

最終生産者の得意戦型に合わせた生産過程を用意し、それをサスティナブルに連発させられるような装置を作り上げること。

 

これこそがペップなのである。そのためのアイデアを古典アーカイブから引用して作り出して見せる脱構築的なアプローチ。これこそペップ、これこそ僕の興味を大いに惹きつける男の正体である。

 

そしてポゼッションも捨て、ついにはサスティナブル支配のためのプレスルーティンさえ捨て去ろうとしている。異形に見えるが、これがこの男の正体なのであろう。まるでマドリーのように支配層の即興芸を軸にしており、これが本家の銀河系にどこまで通用するのか、実に楽しみである。

 

 

5-4 大耳戦争終結の確率

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長らく続いたバルサ以降の大耳戦争。オンリーワンのプロセスでナンバーワンを掴み取るというバルサの精神性の具現者がたどり着いたのは最大のライバルチームであるナンバーワンのレアルマドリーの精神を取り込むことだった。

 

こんなオチで良いのだろうか、とも思えるがこれがペップなのかもしれない。矛盾的な人間と言われる男が見せるバルサと対になる代物、マドリーライクなカウンター型のチーム。これが答えと言われたら仕方ない。

 

正直、弱点はある。カウンターが得意とはいえ、相手が引いてくるとどうしてもWGの突破力は求められるだろうし、また選手層は今季は厚くない。昨季のように離脱者が続出しマドリーに逆転される可能性も十分にある。

 

勝負はこれからで、まだ分からない。確かなことは自分は初めて即興芸を生産過程として取り込んだペップのチームを見ているということだ。もう誰もペップをポゼッションの男とは呼ばないだろう。

 

彼が3度目の大耳制覇を成し遂げた時、それは真の意味で最終生産過程構築の鬼。最終生産者に魂を売った男ペップ・グアルディオラという本質が白日の元に晒される時なのかもしれない。

 

バルササッカーの伝道師の巡礼の先に見つけたものは、レアルマドリーというペップのずっと前から近くにあったものであった。というのは実に面白い帰結でもある。

 

灯台下暗し、それも悪くはない終戦の景色であろう。

 

第6章 MCI 22/23選手評価(仮)

 

S評価

 

ハーランド

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この男なしに今季を語ることは出来ないだろう。得点力やハットトリックの数で評価されがちであるが一番の魅力は学習性能である。AIアンドロイドのように苦手なものも時間をかけて解決に至る姿は次代の支配層の匂いを存分に感じさせてくれる。

 

ゴールパターンが左足に偏っているという弱点も緩やかに解決に至っていたり、何よりも耐久力は相当に良くなっている。ドルトムント時代は怪我が絶えなかったのにも関わらずほとんど怪我することなく出場できているし、ポストプレーも上達していたりと常にアップデートを止めないところに最大の強みがある。

 

課題としては偽9番で下がってきての10番的なプレーでパスを前方に投げるといったプレーになるか。またWGに入ってのプレーといったUT性の部分にも伸び代を残している。学習した先に怪物がどのように育つのか非常に楽しみである。

 

アケ

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長年のLB不在問題に終止符を打ったかつてのベンチウォーマーは今季のコア選手としてチームに貢献してくれた。元々がSBとCBのUT混合種であったものの、チームは長年3バック可変する際はRBがRHVとなりLBはボランチ化するスキームであったために日の目を浴びることはなかった。

 

しかし、今季はウォーカーの不調とリコの台頭で右が前方遷移するようになったためにLBはかつてと逆でLHVを求められた。こうなると3バックのLHVをやらせれば最適な選手であるアケは大いに活躍を見せてくれた。

 

そもそもサラーとの1VS1に勝つなど対人性能は高かったのがチームの構造変化と同時にチームに不可欠な存在となったのは極めて素晴らしい。左利きのウォーカーの覚醒はウォーカーのピークアウトによって生まれたのは皮肉の極みではあるが。

 

KDB

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神は今季も神である。肉体疲労を上手く隠しながら相手に合わせてプレー強度を調整しておりゼロトップ時代に磨いた得点力とアシストマシーンとしての性能を合わせ当代随一のMFの称号を欲しいがままにしている。

 

ただし今季から目に見えて守備強度が落ち始めているのは確かで、ポジトラの鬼の能力の最大化となった今季はボールが早く前線に送られており、そのことも相まってデスコルガード気味のプレースタイルで守備免除とは言わないが守備能力が発揮されるシーンはあまりない。

 

ただビッグゲームになるとパスミスを掻っ攫い高速ドライブからの神パスと神クロスでチャンスを演出しており意図的なチューニングと見て取れる。これからは1日も長い延命が求められるだけに、このスタイルは仕方ないのかもしれない。

 

グリーリッシュ

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評価が追いついてきたと思えば突然罵声を浴びせれたり、得点した試合では蹴り殺されかけたりと呪われているのかと思うほどの不憫さであったが今季は相当に活躍が可視化されつつあると思われる。

 

デブ神とハーランドのカウンターのために間延びしても後ろで殺せるようにクワトロCBが準備しており、SBからの加勢は見込めないからこそ独力でボールを失わずに運び切れる能力は現在のシティのWGとしては必須の能力であり最高のコア選手である。

 

課題としては得点力といった部分での存在感もそうだが、一番はデブ神のプロテクトが可能になって欲しいと考えている。タイプ的には緩急の緩の部分の担当ではあるのだが高速でボールをドライブさせてから前方に投げるプレーに磨きをかけてほしい。またプレースキックの質も向上させてほしい。セットプレーでのデブ神依存もあるので、そこを薄められるだけでも寄与は大きいはずだから。

 

ストーンズ

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調子の良い時は誰にも止められない。最大の敵はサウスゲートで知られるストーンズは今季後半は欠かせない選手となった。これまで培ってきた偽CBとしての前方シフトのUT選手としての能力。ルベンとのコンビネーション、昨季から取り組むRBでの仕事に加えて今季はリコロールもこなすようになった。

 

リコと同様のシフトが出来て、リコの数倍守れる選手がいればリコに取って代わるのは仕方ない。対人の強さ、UT性を兼備したスーパーなDFである。怪我さえしなければ本当に本当に最高なのだ。

 

体調管理さえ出来ればワールドクラスのCBなだけにここからのキャリアにおいてどれだけイニングを食っていけるかだろう。その意味でも来季はCBの補強は欲しいところである。リコの遷移能力を盗んだようにグヴァ加入があれば彼のプレーを参考にして次はLBでも出力できると非常に面白い。

 

ルベン

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前半は不安定な体調であったがシーズン佳境にしっかりと調子を合わせてきて得意のスライディングでバイエルン戦を始め要所要所でのプレーは光っている。何よりもルベンがいないと試合終盤での気落ちから一気に崩れるというシーンもあっただけに本当に重要な選手である。

 

UT性はなくプロパーCBであるもののチームにいないと所々でボロが出始める。特に今季はクワトロCBで後ろはカチカチになったとはいえ、前半戦ではカウンタースタイルと後ろの適正の不一致から相当に失点は喫した。クワトロのリーダーとしての振る舞いに加えて昨季終盤の離脱を繰り返して欲しくないものだ。

 

対人における安定感。周囲のレベルを引き上げるコーチング、チームを鼓舞できるメンタリティ。チームが覇権を狙うに必須の選手。これからペップはこの男にUT性を付加するのか、そこに注目している。

 

ロドリ

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エンリケのCBコンバート魔改造実験の成果は相当にシティに多くを与えている。まずCBストーンズの前方遷移を可能にしているのはロドリがCBになっても計算出来るというセーフティがあることが大きい。

 

そしてロドリの聡明なところはストーンズが上がった時にCBとボランチの間に位置しながらジグザグを作り出しボールの逃げ道をしっかりと確保しながら、相手が丁度飛び込みづらい絶妙な位置どりでボールを回すところである。

 

残されたスキルはロングパスである。ハーランドは裏抜けが相当に得意なのでロング一発で得点というシーンはもう少し欲しいところだ。中盤を省略して前方に投げ飛ばすパスを出来るようになるとより面白い選手になるだろう。ペップはCL決勝を制した時MFがCBをやっていた。今季ももしかして???

 

A評価

 

ベル

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今季も恒例のバルサ行くかも、ベルちゃんはやっぱり辞めへんで2022でシーズンが幕を開けた。今季終わりにもベルちゃんはやっぱり辞めへんで2023が開催されるだろう。おそらくだが契約終了後にベンフィカに帰るのが一番リアルな気がする。RWGとIHに選手が溢れかえるバルサに行くのは意味不明だ。

 

そんなイニシエーションを終えての今季はマフレズの調子が当たり前のように前半上がってこないので偽翼としてRWGに入ることが多かった。左利きのグリーリッシュのようなロールをこなしつつではあったもののやはりIHの方が向いているような気がしてならない。

 

しかし、今のチームではRWGとしてボールを収めて運ぶというベルナルドの特性は活かされているので、ダブル偽翼システムを続ける限りは必須の選手であろう。代わりとなる選手はいないので、退団するなら根本的にシステムの作り直しになるわけであるが、どうするのだろうか?

 

アカンジ

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前半、この男がいないとチームはどうなっていたのか想像もつかない。契約で揉めていただけでドルトムントではコアレベルの選手だったと評判であったが、よく理解できた。表現として合っているか分からないがメガクラブの3番手CBとしては最高の選手と言える。

 

左右問わずプレーが可能でCBでもSBでもこなす。また卒なくプレーするので目立ったミスはなくフィジカルである程度は解決出来る。ただパスや位置どりで?となるシーンは目立ち戦術理解も少し足りてない節も見えた。

 

ただコアプロテクターとしては最高の部類でルベンとストーンズとウォーカーとアケの4人が疲弊しないように各ポジションでイニングを食わせられるバックアッパーとしてみれば十二分だろう。だからこそラポルテは完全に構想から外れてしまったわけで。まだ伸び代もあるので、これからに期待したい。

 

ギュン

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今季がラストイヤーの可能性もある元祖3番手IHは今季、意外な活躍を見せた。というのもハーランドの開けたスペースに入って得点出来る抑止力はフォーデンだと考えていた。IHフォーデンが正解だろうし、そこへ向かうだろうと。そしてそこのバックアップとしてギュンを構えさせて退団後のダメージを緩和すると見ていた。

 

しかしシャドーに抜擢されたのはゼロトップ時代のストライカーであったギュン。コアとして今季もチームを支えている。フォーデンが体調が安定しなかったというのもあるが今季はバックアップに徹して欲しかったので、ここは誤算か。

 

ただ確かに得意技ではあるのだ。IHで仕事しながら機を見て開けたスペースに飛び込みゴールネットを揺らすのは。今季限りで退団も噂されているがフォーデンに技を伝えてから出ていってもらえたらと考えている。

 

マフレズ

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前半は死んだように静かであったが後半になって徐々にギアを上げてハットトリックするまでに戻してきた。左が溜めて人を集められるグリのため右はアイソレーションでロングパスをトラップするのが大得意なマフレズの出番だったのだがスロースターターぶりが今季も健在であった。

 

助っ人外国人のようにポストシーズンクラッチすりゃエエねんろ?と言わんばかりの形であるがデブ神そうだが、加齢には勝てないのだろう。コア選手は全体的に年齢と肉体と相談してのプレー強度に落ち着きそうである。

 

ただ将来の話をするとRWG自体が枯渇気味の市場において後継者へのバトンタッチは非常に難しい問題である。今の偽翼システムをやるとしても純正WGの後継者は確保しておきたい。パーマーが伸び悩む現状において主力級選手をとっても共存も出来るはず。個人的にはドリブラーの延命には中盤コンバートが欠かせないと思っているので、いずれはIHやトップ下に移るのではないかと期待している。果たしてどうなるか?

 

フォーデン

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EDSの星にしてクラブの未来は今季は浮き沈みの激しいシーズンを送っている。怪我の影響もあって思うように体が動かないのか精彩を欠くシーンも少なくないが、やはりハーランドのシャドーとして得点能力のあるダビシルバとしての期待は大きい。

 

UTD戦でのハーランドとの協調は希望を抱かせている。そしてフォーデンはハーランドとのコンビだけでなく、その先の未来でも必要とされる。ハーランドが3,4年程度で移籍していったとき、ペップシティ初期スキームの派生系であるハーフにボールを供給するサッカーにおいては得点能力のあるIHならメッシシステムと同様に直接的に最終生産に移行できるので非常に期待している。

 

ハーランド移籍後は、シティはIHが得点を取るチームへと変貌し、そのIHコンビこそがフォーデンとアルバレスになるだろう。自分の予言であるが当たるかどうか。

 

アルバレス

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W杯での印象的な活躍とは裏腹に相当慎重な運用をなされていた印象である。ペップ自身も期待こそすれハーランドが想定以上のイニングイートを見せたので前線のUTとして便利使いしながらも得意のST起用が中心だった。

 

適性的にはトップ下やSTでストライカー周辺をうろうろするアルゼンチンの”ミュラー”のような立ち位置になろうかと思うが、いずれはデブ神の後継者となるだろう。中盤でゲームメイクとパスで試合を作りハーフでボールをレシーブすればフォーデンとの協調でゴールに迫る。そういったプレーが求められるだろう。

 

ジェズスが果たせなかったベンゼマ化の夢を追うか、それともデブ神の後継者としてSTとゲームメーカーの混合種となるか、将来が期待される。

 

エデルソン

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パフォーマンスだけなら年々下がっていると言わざるを得ない。エデルソンのおかげで拾えた試合はさほど思いつかないし、撃たれたシュートをビッグセーブするというのもあまり見ない。また得意のフィードも陰りが見えておりハーランドめがけて1発というのもなかった。

 

LBになりたいのか、本当にお前LBやるのか、そんな期待を彼には見てしまうのだが、それでも正GKとしてビッグマッチでのセーブには期待したい。パスミスも少し散見されるので勤続疲労なのか、少し真剣に見直した方が良いだろう。

 

個人的にはノイアーを取ってGKで使い、LBでエデルソンを使うとどうなるのか見たくてしょうがないのだがペップはあまり興味がないようだ。残念でならない。日本中のシティズンが期待しているというのに。。

 

リコルイス

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前半ポジティブな効果をもたらしたプロスペクトはカンセロの存在価値を無に帰すのに十分過ぎるほどの活躍ぶりであった。偽RSBとして素晴らしいプレーを見せ、ペップからもラームに形容されるほどの安定感と技術力でチームに貢献してみせた。

 

しかし、やはりというべきか、守備力に関しては一抹の不安は禁じ得ない。身長やサイズを考えるとフィジカルを鍛えて願わくばRJのような怪物守備者になってもらえると助かる。SBも人材が枯渇気味なだけにウォーカーの後継者になって欲しいのだ。

 

課題は明確で守備力である。ウォーカーよりはポジショニングセンスはいいもののビッグマッチで強烈なLWGと相対させるにはやはり怖さが残る。これでフィジカルを鍛えすぎて怪我が増えないと良いが。

 

B評価

 

ラポルテ

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昨季の優勝はラポルテの献身の賜物であることは事実だ。体調不良の中で必死に戦い続けて何とかリーグだけは防衛できた。そんな男は怪我の影響もあって、シーズン序盤はハーランドのハットをTwitterで祝うというリモート出場していた。

 

しかし残酷な現実がそこにはあって、3番手CBとしてアカンジが定着。ラポルテよりも潰しが効いて、今のクワトロCBの求めている対人性能にもアカンジの方が合っている。更にLBも幅広3バックに対応出来るエリアの広さ、LHVに対応出来る使い勝手の良さを考えてもアケには勝てず、ベンチが定位置となってしまっている。

 

得意のロングフィードでハーランド目掛けて縦1発もみせられていないので、このまま行くと売却が既定路線である。バルサあたりに売りつけられないだろうか?ついでにファティとかも取れたら最高なんだが。まぁそんな馬鹿なことはしないか。。

 

ウォーカー

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もうSBとしてほぼピークアウトした。これが自分の見立てである。マフレズのようにイニングを限定しながらスロースタートで入り、シーズン佳境に進んでからRSBで使い倒すみたいな方向性がいいのかもしれない。

 

ポジショニングは悪く235システムが2年連続で早期終了となってしまったが怪我やピッチ外での問題行動であったり放出に向けて少しずつ動き出していてもおかしくない。リコの成長次第では来季以降の去就は不安定と言わざるを得ない。

 

出来れば来季以降は入りは慎重になりながらCBで出場しつつ、調子が上がってきたらリコに変わって対人性能を使ってRBとしてビッグマッチを戦うといった運用になっていくのではないだろうか?

 

肉体は衰える。これからは賢く生きることが求められる。ピッチの中でも外でも。

 

ゴメス

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正直、戦力としては自分は初めから計算はしていなかった。今の所ジンチェンコの劣化版に過ぎず、将来換金出来たら御の字である。守備力もそうだが判断、テクニック全てにおいてシティでプレーする水準には達していない。

 

シティは上手くて当たり前で、その上で何を上乗せ出来るかで決まる。全ての面でのレベルアップがないと来季は途中でのレンタルも考えられる。このままではマズイ。悪い選手とは言わないが、何かを見せないと生き残るのさえ困難だろう。

 

左利きのリコルイスとしてプレゼンスを示す必要がある。4大リーグのどこかで武者修行するのもアリだろう。ここから本当の試練の連続だろうが、ここを乗り越えてスカイブルーのユニフォームを着続けられるか、試される時間である。

 

パーマー

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強みは体躯、弱みは体躯ゆえにボールが知らないうちにロストしてしまう。まるで長いバットを使う打者のように普通は拾えないようなボールをフェアに出来るものの近いボールには詰まる。それを自身が一番理解しているのだろう。極端にロストを怖がりプレーのリスクテイクが下手に見える。

 

WGで使われたなら挑んでナンボである。それが出来ないならキープしなければならない。体躯を用いた独特のテンポとプレースキルの高さが全く活かされていない。個人的には一度提言したがIHの方が良いのではないか。個人的にはヤヤの後継者に見える。体躯を利用しドライブしながら独特のテンポで前線にボールを放つのが良いように見える。

 

ロストが多いから中盤起用は厳しくWGということなのだろうが、このままでは良さが活かされないままに放出されてしまうだろう。ゼロトップで使われていたのも、ヤヤと似ていてペップ自身も重ねているのか?中盤で一度見てみたい。

 

フィリップス

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失望としか言えない一年である。期待されたロドリのバックアップは全く出来ず、肩の怪我の治療で前半はほぼ棒に振り、W杯後はオーバーウェイトで合流してくるといった姿勢の面でも疑問を残す結果である。

 

そもそもロドリと共存出来る差別化が可能でロドリのプロテクターとしての役割をこなしうるUTかつ国産路線にも合致する選手のはずが今季は全く良いところがなく、放出の噂もそろそろ出てくる可能性もある。

 

来季の稼働率が悪ければベンメンディコース確定なので、来季次第でシティでの命運は決まるだろう。

 

終わりに

シーズンが終われば22/23シーズンについての詳しいレビュー記事も書くつもりなので、今回はあえてそこまで踏み込まず要点だけを述べてある。しかし自分の言いたいことを伝わっていると思う。

 

ペップはこれまでの仕事の本質としての精神性は継承しながらも異形の作品を作ろうとしている。土着性やその国の持つ文化をペップは引き出し、そのチームの特色を色濃く反映したものを作り出してきた。バルサバルサらしく、バイエルンバイエルンらしく、そしてシティもシティらしくなるのだろう。

 

よくよく考えるとキックアンドラッシュのダイレクトプレーのサッカーの母国においてカウンターサッカーで天下を狙うのは納得出来る。しかしカウンターを軸として即興的に規定を拒むとは全く想像できなかった。この男の深淵はまだ底知れぬということか。

 

今回のブログタイトルは『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』という小説のタイトルを引用したものとなっている。過去アーカイブ引用を得意とするペップを表現するにこれが良いと考えた。この作品は高度なロボットと人間を識別するものなどあるのだろうかという問いであり、攻殻機動隊マトリックスに大きな影響を与えた。

 

電気羊(ロボットペット)しか飼えず本物の羊を飼いたいと願っていた主人公のようにペップは本物の最終生産者を求めていたはずだ。夢を見るのはもう飽き飽きだ。

 

大耳獲得が夢で終わるか、現実になるか。

 

その差はまるで高度なロボットと人間の差異くらい僅かなものなのだろう。

 

羊の群れを先導する巡礼者の未来に幸在らん事を祈り記事を結ぶことにする。

僕とボーリー

 

 

第0章 序

 

www.youtube.com

平気な顔で嘘をついて 笑って 

嫌気が刺して楽ばかりしようとしていた

ないものねだりブルース 皆安らぎを求めている

満ち足りてるのに奪い合う 愛の影を追っている

 

退屈な毎日が急に輝き出した

あなたが現れた あの日から

孤独でも辛くても平気だと思えた

チェルシー新オーナーのボーリー氏、グラノフスカイア氏の退任を発表 - FUSSBALL.JP

僕は脱構築中年男性ヲタクである。過去アーカイブからの引用による現状打破を目指すスタンスを示す者の挙動を追い続けてきた。サッカー界で言えばグアルディオラ。絶対的最終生産過程の構築によっての解決を示すことなくマドリーのような個人能力の即興芸というスタンドアローンで解決を図る感じにどうも乗れない中、僕を惹きつける中年男性が現れたのだった。

 

トッド・ボーリーMLBの強豪球団であるロサンゼルスドジャース(LAD)のオーナーの1人。その男はチェルシーという海外サッカークラブにおいてMLBのスキームを移植することで解決を図ろうとしている。自分はこのアプローチに強く惹かれた。

 

ボーリーのチェルシーMLBライク路線の中でどう変わっていくかを述べると同時にMLBでのトレンドやスキームや文化を紹介していくというのはどうだろうかと考え今回執筆するに至った次第である。

 

まずMLBの基本構造として全30チームを2リーグ3地区の計6つのエリアに分配しており各5チームずつのリーグ戦が行われる。

 

そうすると6チームの優勝チームが出来る、リーグ終わりの世界王者を決めるポストシーズンだと2の累乗でないと都合が悪いので、各リーグ勝率最高チームである2チームを加えた8チームでのトーナメントがシーズン終わりに開催される。

 

ここで各チームの配属先を以下に伏す。

 

アメリカンリーグ(AL)

 

東地区

ボルチモア・オリオールズ(BAL)

ボストン・レッドソックス(BOS)

ニューヨーク・ヤンキース(NYY)

タンパベイ・レイズ(TB)

トロント・ブルージェイズ(TOR)

 

中地区

シカゴ・ホワイトソックス(CWS)

クリーブランドガーディアンズ(CLE)

デトロイト・タイガース(DET)

カンザスシティ・ロイヤルズ(KC)

ミネソタツインズ(MIN)

 

西地区

ヒューストン・アストロズ(HOU)

ロサンゼルス・エンゼルス(LAA)

オークランド・アスレチックス(OAK)

シアトル・マリナーズ(SEA)

テキサス・レンジャーズ(TEX)

 

ナショナルリーグ(NL)

 

東地区

アトランタ・ブレーブス(ATL)

マイアミ・マーリンズ(MIA)

ニューヨーク・メッツ(NYM)

フィラデルフィア・フィリーズ(PHI)

ワシントン・ナショナルズ(WSH)

 

中地区

シカゴ・カブス(CHC)

シンシナティ・レッズ(CIN)

ミルウォーキー・ブリュワーズ(MIL)

ピッツバーグ・パイレーツ(PIT)

セントルイス・カージナルス(STL)

 

西地区

アリゾナ・ダイアモンドバックス(AZ)

コロラド・ロッキーズ(COL)

ロサンゼルス・ドジャース(LAD)

サンディエゴ・パドレス(SD)

サンフランシスコ・ジャイアンツ(SF)

 

()付きの部分は略称で、TV放映の際にチーム名の表示において都合が良いようにアルファベット3文字以内の略称で書かれることが多い。本記事においても、この略称を用いることにする。

 

第1章 GM主導

 

1-1 力学構造

 

まずサッカーでもそうだがNPB(日本のプロ野球)では監督が現場の最高責任者であり様々な権限を有しているケースがベターであり、監督が補強から選手運用も行うのでチームを呼ぶときに監督の名前を前につけるケースが多い(原巨人、ペップシティ)がMLBではあまりない。

 

その理由はとてもシンプルで監督の権限がそれほどないからである。まずGMを中心に戦力を固めてスカッドを形成。そして作られた陣容を監督が最大化する。これが基本方針となる。なのでチームの顔は監督ではなくGMなのだ。

 

GMが打ち出す基本方針と運用次第でチームの運命は変わる。この力学構造はMLB特有でありNPBにおいてもGMと呼ばれる職を設置することはあるが大抵がうまくいかない。それは監督が神聖不可侵の職域を犯されたと判断してトラブルになるケースが後を断たないからである。

 

例えば中日ドラゴンズ最後の全盛期を作り上げた落合博満は監督退任数年後にGMに就任しコストカット路線と人員整理に着手する。その中で監督の谷繁とは何度も軋轢が噂され、ドラフト当日に指名選手を知ってびっくりしたという谷繁の言葉を聞くにGMを”本来の意味”と認識していた落合と日本流のものと認識していた谷繁との理解の不一致が招いた悲劇であり、その後は中日ドラゴンズは光がさすことなく終わりのない低迷の中にいるわけである。

 

ちなみに立浪政権においても打撃コーチの中村ノリと指導方針をめぐって衝突したが、これも落合GM時代の反省が全く活かされていないと言わざるを得ず、結局のところ互いの権力、アクセス権の限界を明確に定めずにやってしまっていることが挙げられる。理解の余地を残すルールなど混乱のもとなのだ。

 

ルールや言葉は本来の意味を理解し組織の中で共通認識として持っておき互いの不可侵領域を決める、それがないのが中日の低迷の本質と思えてならないが。

 

横道に逸れたので話を戻そう。

 

GMを中心に戦力を固め、監督はリクエストは出せても従う義理はない。監督はヘッドコーチ、つまりはコーチ頭でしかないのだから。有能なGMは弱小チームを変革するし、無能なGMは黄金期を簡単に壊してしまう。GM次第でチームはいかようにも変わる。これがMLBなのだ。

 

1-2 CHEにおいて

 

このMLBライクなGM中心構造をインストールする可能性はある。なので監督に求められるキャラクターは与えられた戦力の最大化を図るノンポリ指揮官が理想と言える。

 

その意味でトゥヘルは最適な人物であったのだが、GM不在で事実上のGMを担っていたボーリーらからの過干渉が気に食わなかったらしく辞任した。ただ彼のこれまでの衝突を考えるとGM権力集中型であれば戦力補強に対して公の場でも平然と批判し衝突していたろうし遅かれ早かれなのだろう。

 

さきに述べた落合と谷繁の一件を見ても分かるように業界に染まりすぎているとアクセス権の変更は受け入れ難いものがあるのだろう。そうなると求められる監督像は保守的な思想に染まらず目の前の仕事にのみ集中し最大値を出すことだけにしか興味のない人物となる。

 

またGMとしては噂されているように、マイケルエドワーズ招聘となれば、エドGMを基軸とした組織が出来るだろう。何の因果か彼の前職場はBOSと関係のあるオーナーのいるLIVでSDとして黄金期をもたらしたので次はLADということなのだろうか。

 

まずエドはデータ分析の人としても知られている。トラッキングデータといった定量的指数の分析と活用が得意で分析官としてのキャリアで培った経験で独自の視点と合理性をもってLIVを復権させてみせた。

 

エドの獲得した選手たちはLIVの黄金時代を形成するわけであるが、おそらくボーリーはエドマネーボールを見ているのかもしれない。この辺は後述するのでひとまずここで結びを与えよう。

 

第2章 契約と移籍

 

2-1 高騰する市場

 

MLBのトップ選手の年俸は非常に高い。特にトップ層の年俸は積極投資を行うチームの到来によって高騰している。トップのシャーザーで年俸4000万ドル超えで、4000の大台はトップランカーのデフォになってくると予想される。

 

このように近年どんどん上がり続ける選手の年俸は球団幹部の頭を悩ませている。選手は高額年俸を目指してFA市場で勝負し続ける。誰だってそうだ、金は沢山払って欲しいが沢山払いたくはないのだ。

 

MLBではアクティブロースター(1軍くらいに思ってくれれば大丈夫)に6年いればFAとなる。ある程度育ちさぁ黄金期という時に選手はFA市場で高額年俸を目指して大勝負に打って出てしまう。なのでどうせ放出するならとFA前年にトレード放出で若手有望株(プロスペクト)と交換してしまえというのもよくある話だ。

 

チームに残留させるには自軍を除く29チームの札束構成と相対しなければならず、そんなことをしていると無尽蔵に金銭が出ていくので大変である。この高騰し続ける市場において毎度毎度的確な判断を下すべく、残すのか、トレードか、を延々と考え続けるのは嫌だ。そう考えるのは当然である。

 

この問題に最近、一つの解答が提示されている。

 

それがプロスペクトロックアップである。

 

2-2 ATLの戦略

 

その代表格が、2021年シーズンの世界王者ATLである。

 

アレックス・アンソポロスGMの典型手法、プロスペクトを囲い込むことで高騰する市場での安定的な立ち振る舞いを見せている。

 

アクーニャJr 8年1億ドル

オルソン 8年1億7000万ドル

ライリー 10年2億1000万ドル

ハリス 8年7200万ドル

マーフィ 6年7300万ドル

ストライダー 7年7500万ドル

アルビース 7年3500万ドル

 

これを見ても分かる通り、ATLは若手選手と長期契約を組んでいる。どうせFAになれば高額を放り込むのだ。それならばプロスペクトとして将来球界を代表すると見込める選手には早期に長期契約で囲い込むことでロングスパンでのチームビルドの安定とチームへの帰属意識の獲得を可能にするのだ

 

このロックアップはATLに限った話ではない。大谷翔平と共にこれからのMLBを引っ張っていくと言われていたタティスJrは14年3億4000万ドルという契約を手にしている。高騰する市場において先手先手で金を出して繋ぎ止める、というのはよく使われる手法なのである。

 

2-3 CHEにおいて

 

そしてCHEも早速移籍市場では異例の長期契約が続いている。

 

フォファナ  7年

ムドリク  8年半

バディアシル 6年半

チュクエメカ 6年

ククレジャ 6年

 

見事なまでのプロスペクトロックアップである。これは減価償却のメリットもあるのだろうが前述の安定的政権運営や海外サッカー界での金満球団の台頭も考えると今のうちから手をうつということなのだろう。

 

しかし海外サッカーでは長期契約を組んでも一定の束縛こそあれ契約途中での移籍は日常茶飯事のため束縛力がどの程度発揮されるのかは注意が必要だ。

 

また選手補強に関してはMLB同様にFA前のトレードのように、マウントをトレードの弾にする可能性があると自分はずっとみている。GKかCFを釣り上げるためにマウントや余剰戦力を用いたトレードもあるのではないだろうか。

 

イブラをエトーと4000万ユーロで獲得したペップバルサのようなビッグディールに期待したいところである。

 

第3章 セイバーメトリクス

 

3-1 OAKのマネーボール

 

ビリービーンGMの名前を聞いたことはあるだろう。『マネーボール』という映画で描かれた弱小チームOAK大進撃の物語は多くの人々に興味を抱かせたはずだ。マネーボールはわかりやすく言うとマイナー定量的指数を用いたゲームハック戦略である。

 

当時はあまり評価されていなかった出塁率長打率といった数字に注目し、あらゆる統計数値を用いて上位層が見逃してる掘り出し物を集め当時弱小だったOAKを躍進に導いたのである。

 

そしてこうした定量的数値の評価方法としてセイバーメトリクスが知られている。今ではMLBでも様々な定量的指数を見ることが可能で、選手の本質を図る基軸は様々存在しており、好き嫌いや感覚的な部分といった定性的評価基軸を捨て去る目的で導入されたのに、自分の好きな定量的指数を用いた意見表明が可能となってしまい、本末転倒感は否めないのが実情である。

 

このマネーボール戦略は多くの球団で模倣され、データ野球の時代の流れは他の競技にも浸透していった。

 

3-2 CHEにおいて

 

そしてボーリーもロナウド獲得を考えた際にもトゥヘルに量的指数を用いた提案をしたそうで、この流れはより強まるかもしれない。

 

特にCHEは若手選手大量レンタルといったそもそもプロスペクト収集には長けた集団である。なのでセイバーでかき集めるというよりも聞いたことのない選手を引っ張り一定の戦力に仕上げて転売し換金するのが現実的に思える。

 

またセイバーではないが人事評価においても定量的指数を用いた運営をしていくと考えられMLBのような役職の細分化は更に進むと考えられる。

 

意外な人物の幹部起用や掘り出し物選手の育成、更には契約査定における基準の見直しやこれから様々な変化が見られることだろう。

 

第4章 MLBトレンド

 

ここで少し野球寄りに話を振ろうと思う。今MLBで起こっていることを少しお話ししようと思う。

 

4-1 シフトとフライボール

驚きの守備隊形がメジャーで出現 極端なシフトは野球の本質を変えてしまうのか | Full-Count

セイバーや統計分析の発達で各打者の打球方向の傾向の知見が集まってくると極端なシフトを形成する球団が増えた。そしてこのシフトは守備側の極端なワンサイドへの圧縮を必要とするためサードがショートになったりセカンドがショートになったりするため何が起きるかというとUT(ユーティリティ)性の要求である。

 

攻撃は主に、出塁、拡大、得点、このサイクルで行われると思われてきた。しかし拡大フェーズにおいてバントで送るワンアウトのリスクを取るよりも、いっそ出塁と拡大を1人でやればいいのでは、という発想が生まれた。それが産んだのが2番性の喪失である。野球では好打者は3番4番5番に並べクリーンナップと呼ばれてきた。しかし今ではこのクリーンナップをずらして2番3番4番に並べコアと呼ぶ風潮がある。

 

送るだけの2番はいらない。バントをするのではなく1番が二塁打を打てばいい。そうすれば2番には”3番”を置けばいい。この2番打者最強説はNPBにおいても流行の兆しをみせ2019年シーズンの巨人ジャイアンツは2番坂本はチーム3冠王に輝く活躍を見せた。

 

そしてこうした守備側のシフトに対抗するために考えだされたのがシフト破りの最適手である内野手の頭を越える打球を放てばいいというシンプルアンサー。これがフライボール革命である。

 

そしてフライボールでヒットを生むためにバレルゾーンという最適打球角度が提唱され邪道と言われたアッパースイングが再評価され始めた。アッパーだと速球に詰まってしまうので、そこに対応するために筋力トレーニングが向上しムッキムキの打者が増えていった。

 

また前述したシフトによるUT化も合わさり、コアを担いながら複数のポジションを守ることの出来るコアUT選手も出現したのである。

 

4-2 最適投球デザイン

 

こうした打者の進化に合わせてよりアッパースイングに対抗するために速球で詰まらせられるように出力の向上が求められた。そしてストレートと思わせて大振りしてきたところで少しずらすような変化球であるカットボールツーシームを使う投手も非常に増えた。アッパーの弱点でもある高めに弱いという点に着目し、低めよりも高めの方が被打率を抑えられることも判明し、高めの4シーム、同じ位置から落とすパワーカーブの組み合わせもよく見られるようになった。

 

そして一つの到達点を見せたのが当時NYMのデグロム(現TEX)である。常時100マイルクラスの高出力直球と鋭く曲げ落とすスライダー。彼はこの2球種のみで構成されるピッチデザインである。早い話が今の投球の極致がここにある。速い球とストレートの軌道に漸近しながら手元で曲げ落とす球を投げることが理想なのだ。

 

このように打者を仕留める出力に求められるレベルが向上したことで、長いイニングを投げさせるよりも短いイニングを全力で投げていくのをリレーする方が良いのではという提案から純正先発を用いずに中継ぎ投手のみで試合を完遂するブルペンデーやオープナーも流行した。

 

このストレートの軌道のことをピッチトンネルといい、このトンネルに沿わせつついかに手元で曲げ落とすかが求められ、スライダーとカットボールの中間球のスラッターとシュート方向に曲げ落とすスプリットの鏡面構造のデザインをスラットスプリット型投球法として日本の野球クラスタの間ではよく用いられている。

 

高出力ストレートはマストとして、スライダーとチェンジアップを投げるのがよく見るMLBの支配層投手である。

 

更に高速微小変化球に目が慣れてきたバッターに対して現在は大きく横に曲がるスライダーをスイーパーと呼び注目されている。ポップフライを打たせることが出来る変化球であり、フライを打たせても抑えればいいのだという新たな提案と言えよう。

 

4-3 海外サッカーへの応用

 

こうした守り、打つ、投げるが相互に作用しながら独自の変化と攻略法が伝播し浸透していくのを見てきたが、これはサッカー界にも通づる話である。

 

例えば2番最強論というのは、いわば繋ぎのアウトソーシングであり、1番打者が出塁と拡大を担うことで2番打者を使うコストを減らすことが出来ている。サッカー界においてもかつての専門主義的な考えは捨て去られ、DFやGKの選手であっても繋ぐことが求められるようになってきた。

 

最適配置と柔軟な移動が進む無秩序度合いをもたらそうとするとMLBのシフトのようにUT選手は増え、彼らを生かした異常挙動はペップシティ、クロップリバプールでも見えるし、UTを生かした特殊変形は今や当たり前の光景である。

 

また中盤に選手を割くよりも前線に5枚並べた方が良いのではないかという観点から仮想5トップ形成が支配的だ。MCIは505、LIVは307と中盤性を後方に移行させることで前後を完全に分断させた方式にトライしているように見える。それはペップバルサ以降のデザインプレーへの対抗としての守備ブロックの向上にある。だからこそトランジション時の攻守局面を制することが重要とされるわけである。

 

個人能力の即興芸であるハーランドとデ・ブライネの2人という高出力を用いて繋ぎを後方5人に任せて”アンチ中盤”的なシステムの中で両翼には独力保持進撃出来るタイプを並べてみたりと非デザインと支配理論の両立という意味でMCIは非常に面白い試みをしていると言える。

 

ここから先の欧州サッカーはトランジション領域における支配に至るはずだ。そしていずれはセットプレーしか得失点が生まれないという時代が来ると予想している。オープンプレーの消滅という未来がやってくるのではないか。

 

そうなった時にAIやテクノロジーを使って最適なプレー選択が提案されるかもしれないし、そういった次の進化は他分野を横断するような特異性の中から生まれるような気がしている。それをボーリーのチェルシーがもたらすならそれは本当に面白く感じる次第である。

 

まとめ

 

ここまでつらつら書いてきたがボーリーに自分が強い興味を惹かれるのは他分野横断による特異的アプローチによって問題解決を図ろうとしているからだ。チェルシーは今、混迷の中にいる。成功したと思えば暗黒が始まり、知らない間に暫定監督によって大耳を掲げている。

 

この謎クラブにボーリーがやってきた。掴み損ねた栄光を確たるものとするためにLADのオーナーがやってきた

 

果たしてMLBナイズ路線は成就するのか。大いに期待している。読者様がチェルシーサポーターでなくとも、今のチェルシーには一見の価値があると思うのだ。この蒼きカオスの行き先を私と共に追ってみようではないか。

 

世間はW杯日本代表の活躍から三笘女子がブームらしい。しかし、そんなキラキラしたものなど自分は求めていない。誰もみたことのない景色を過去からの引用で解決する脱構築スキームこそ最高の喜びなのだ。ペップが嫌いになったわけではないし、彼の出した結論も納得は出来る。しかし、僕は何か違う、どこか違和感があるのだ。

 

僕を惹きつける新たな革命家を追い続けたいと思う。彼が失敗しようともどれだけの罵声に包まれようとも僕は彼を見捨てはしない。ありふれた日常に輝きを与えてくれた、心を奪われたのだから。don't you give upである。

 

本郷猛とは悲劇そのものである。改造実験を受け、元の人間には戻れなくなってしまった。そして彼は自身の同族を殺し続けることで人間に貢献している。しかし私は問いたい。本当にこれでいいのか。誰か1人が犠牲になり全てを背負うなんて

 

それが美談なのか

それがヒーローなのか。

 

仮面ライダーがいなくてもやっていける世界こそ本当に我々が大事にすべきものなのではないだろうか誰かを仮面ライダーにするのではなく、全員で仮面ライダーになる、それこそ我々に求められていることなのだ。

 

脱構築中年男性を見続けたせいで、普通のサッカーでは興奮出来なくなった。LBにエデルソンを使えと異常発言を繰り返している。もう元の人間には戻れなくなってしまった僕も仮面ライダーなのかもしれない。

 

でも、それでいいのだ。僕は仮面ライダーとしては運動神経はないかもしれない。でも僕はライダーなのだ。本郷1人に全てを背負わせはしない。

 

だからこそ、僕は、、、


ボーリー

ボーリー男子と名乗らせてもらおう

 

素人オーナーと罵られても

僕はボーリー男子という名の仮面ライダーなのだ。

 

牽牛星はボーリー男子である。

三笘女子たちは世界制覇を企む悪の秘密結社である。

ボーリー男子は人間の自由のために三笘女子と戦うのだ。

 

 

付録

 

学習が捗るMLB系YouTuberさんを紹介します。

 

116wins さん

www.youtube.com

 

MNsports さん

www.youtube.com

 

Nuts_野球心中 さん

www.youtube.com

 

メジャトピ さん

www.youtube.com